6月4日の東京株式市場では、アニメや関連企業が物色されているようだ。この日の朝、政府の「知的財産戦略本部」が新たな「クールジャパン戦略」をまとめ、アニメや和食などの関連産業の成長に向け、2033年までに今の倍を上回る50兆円以上の経済効果を生み出すことを目指し、コンテンツの海外展開やインバウンドの拡大などを図っていく方針とNHKが伝えたことが背景にあるとのこと。
子会社のウィットスタジオがキューダップの株式を取得したことを5月31日に発表したIGポート<3791>が大幅高となったほか、東映アニメ<4816>、ソニーグループ<6758>、東宝<9602>、KADOKAWA<9468>、タカラトミー<7867>、バンダイナムコHD<7832>、カバー<5253>、ANYCOLOR<5232>、日本テレビHD<9404>、壽屋<7809>、GENDA<9166>などが幅広い銘柄が買われている。
アニメ関連企業は、かつてはDVDやBlu-rayなどパッケージソフトの収益に依存する不安定なビジネスを展開してきたが、ここ数年はNetflixやAmazonプライム、Disney+など世界的な動画配信サービスの成長を背景に海外向け配信収入を伸ばし、収益を大きく伸ばしている。それに伴い、世界的なアニメファン人口の拡大、グッズなど関連商材の販売拡大、聖地巡礼などのインバウンドの伸びにつなげている。
政府の政策がこうした流れにどれだけ寄与してくるのか、クールジャパン戦略のこれまでの「実績」を考えると疑問の余地は少なくないが、相場格言「国策に売りなし」ということもあって物色されているようである。