サイバーエージェントのAI Lab、計量経済学の国際ジャーナル「Econometric Reviews」で論文採択

サイバーエージェント<4751>は、慶應義塾大学の岡達志教授とAI Labの研究員、AI事業本部の早川裕太らによる論文「Regression Adjustment for Estimating Distributional Treatment Effects in Randomized Controlled Trials」が、計量経済学の国際ジャーナル「Econometric Reviews」に採択したことを発表した。これは同社研究員にとっては初の快挙となる。

この論文は、A/Bテストにおける効果の分布を推定する「Distributional Treatment Effect(DTE)」に焦点を当てたもので、提案手法は従来の推定精度を約20%向上させる。DTEを用いることで、平均的な効果だけでなく、売上高やメディア視聴時間などの詳細なユーザーごとの効果の内訳を明らかにすることが可能となり、ビジネスにおける意思決定に有益な示唆をもたらす。

この手法は、既に同社の「価格エージェント」に応用されており、今後はEコマース、小売、メディアサービス、さらには政策評価や医療分野など、多岐にわたる分野での活用が期待されている。サイバーエージェントは、今後も実装ライブラリの整備を進め、データドリブンな意思決定の高度化を目指すとしている。

【概要】
本研究では、効果の分布を表すDistributional Treatment Effect(DTE)に着目し、A/Bテストが行われる状況で利用可能な推定手法を提案しました。提案手法は従来の手法に対して約20%推定の精度が改善されました。

従来の方法では、「施策を行ったグループの平均値がどれだけ上がったか」という平均的な効果に焦点が当てられていました。しかしDTEを用いることで、例えば「売上が高いユーザー数は増加したのか、あるいは売上が低いユーザー数が減少したのか」といった、より詳細な効果の内訳を明らかにできます。

売上以外にも、例えばメディアサービスにおいてコンテンツをプロモーションした際に、5分程度視聴するライトユーザーを何人増やせたかといった疑問にも答えることが可能です。こうした情報は、今後のプロモーション設計やコンテンツ制作において非常に有益な示唆をもたらします。つまりDTEは、施策の検証結果をビジネス的により直感的なものにすることで、検証がビジネスにもたらす価値をより大きくします。

本研究ではさまざまなシミュレーションおよび実データを用いた評価を行い、提案手法の有効性を検証しました。その結果、提案手法が既存手法と比較してより精度の高い推定を提供することを確認しました。

株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高8029億9600万円、営業利益418億4300万円、経常利益414億7500万円、最終利益162億4600万円(2024年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
企業データを見る