【転職のホントのところ:第6回】自己PRで“盛る”のはどこまでOK?ウソは人事にバレる?

転職に関する情報は世の中にあふれているが、その多くは常識として語られている一方で、実際のところ本当なのか間違いなのか、分からないまま語られているケースも少なくない。
そこで本連載では、転職にまつわる素朴な疑問や噂について、現場を知る弊社の人事担当者にヒアリングを実施。エンタメ業界に特化した求人を扱う立場から、業界ならではの視点も交えつつ、実際のところはどうなのかを紐解いていく。

【PR】

「ちょっと盛っている」は人事にバレる?違和感を持たれやすいポイント

今回のテーマは「書類・面接における“盛り”問題」。転職活動では、「少しでも良く見せたい」と考える人は少なくない。
実際、書類や面接で実績をアピールする中で、「多少盛って伝えたほうが有利なのでは」と悩むケースもあるだろう。では、人事担当者はそうした“盛り”に気づくことはあるのだろうか。

この質問に対して、人事担当者は「実際に違和感を覚えるケースはあります」と話す。そして、特に違和感を覚えるのは深掘りした際に具体的なエピソードが出てこないケース。本当に経験してきた内容であれば、質問を重ねても自然と具体的な話が出てくるというのだ。

たとえば、「どんな役割だったのか」「なぜその判断をしたのか」「どんな課題があったのか」「周囲とどう連携したのか」といった点は、実際に携わっていた人ほど具体的に説明しやすい。一方で、実態以上に大きく見せようとしている場合は、回答が抽象的になりやすいそうだ。

当事者であれば答えられるはずの具体性が出てこないと、「本当に中心人物だったのだろうか?」と感じることがあります。

もちろん、人事側も即座に「嘘をついている」と決めつけるわけではない。ただ、「実際にはプロジェクトの一部分を担当していたのかもしれない」と受け取られるケースはあるようだ。

特にエンタメ業界では、チーム単位で制作を行う仕事も多い。そのため、“どこまで自分が関わっていたのか”を整理して伝えることは非常に重要になる。

実績をアピールすること自体は悪いことではないが、必要以上に大きく見せようとするよりも、「自分が何を担当し、何を考えて動いたのか」を具体的に語れるほうが、結果として説得力につながるのかもしれない。

「これは盛らないほうがいい」人事が語る嘘のリスク

では、人事担当者は「ここだけは絶対に嘘をつかないほうがいい」と感じるポイントをどう考えているのだろうか。この質問に対しては、まず非常にシンプルな回答が返ってきた。

前提として、嘘はつかないほうがいいです。

人事担当者によると、仮に選考を通過できたとしても、その後に事実と異なる内容が発覚した場合、最終的に苦しくなるのは本人だという。
特に転職活動では、「まずは内定を取りたい」という気持ちが先行しやすい。しかし、本来大切なのは、“背伸びした自分”に合う会社ではなく、“等身大の自分”に合う環境を見つけることではないか、と人事担当者は話す。

また、内容によっては後から確認されやすいケースもある。

年収 → 源泉徴収票などで確認される
役職や業務経験 → 入社後の実務で見えてくる
退職理由 → 日常会話や周囲とのやり取りで判明する場合がある

もちろん、すべてが必ず発覚するわけではない。ただ、人事担当者は「一度でも嘘をついていたという印象を持たれること」のリスクは大きいと語る。

一度でも「嘘をついていた」という印象を持たれてしまうと、その事実だけが強く残ってしまいます。

伝え方が上手い人の特徴は?

ここまで、人事担当者は「実態以上に良く見せようとすると、具体性のなさから違和感につながりやすい」と語ってきた。
では逆に、「この人は自分の強みをうまく伝えられている」と感じるケースには、どのような特徴があるのだろうか。

この質問に対して、人事担当者は「言葉だけで終わっていないこと」が重要だと話す。たとえば、「コミュニケーション能力が強みです」と話している人が、実際の面接でも、

・質問の意図を素早く理解する
・端的に回答する
・会話のテンポが良い
・相手に合わせた受け答えができる

といった振る舞いを自然にできていると、「本当に強みとして身についているのだろう」と感じやすいという。

単に「強みです」と言葉で説明するだけではなく、その場で実際に伝わってくることが大切です。
つまり、上手なアピールとは大げさに話すことではなく、「話している内容と本人の振る舞いが一致している状態」に近いのかもしれない。


面接で整合性はどこまで見られている?

転職活動では、「面接では人柄重視」と言われることも多い。その一方で、「書類との整合性はどれくらい見られているのだろう」と気になる人もいるのではないだろうか。この点について人事担当者は、「かなり丁寧に見ている企業が多いと思う」と語る。

企業側は限られた時間の中で、「この人がどんな人物なのか」を理解しようとしている。そのため、書類だけでは見えない背景や価値観まで含めて確認していくというのだ。

たとえば、「なぜその転職をしたのか」「なぜその選択をしたのか」といった内容から、「どんなキャリアの軸を持っているのか」「一見バラバラに見える経験にどんな背景があるのか」といった点を掘り下げながら、人物像を組み立てていく。

その過程で、説明に不自然なズレがあると、評価に影響するケースもあるようだ。

話の整合性が取れていなかったり、説明に不自然なズレがあったりすると、評価に影響することはあります。

もちろん、人は誰でも多少話し方が変わったり、細かな言い回しがブレたりすることはある。
ただ、「書類に書いてある内容」と「面接で語る内容」が大きく食い違っている場合、人事側としては違和感を覚えやすいという。

一方で、キャリアが一見バラバラに見えること自体が、必ずしもマイナスになるわけではない。

一見すると一貫性がない経歴でも、「なぜその行動を選んだのか」がしっかり説明できれば、納得感につながるケースもあります。

特にエンタメ業界では、職種変更やプロジェクト単位でのキャリア変化も珍しくない。
だからこそ重要なのは、“綺麗な経歴”を作ることよりも、「なぜその選択をしてきたのか」を自分の言葉で説明できるかどうかだろう。


“盛る”のはどこまでOK? 人事が考える境界線

転職活動では、「少しでも良く見せたい」と考える人は多い。実際、自己PRや職務経歴書では、言い方を工夫したり、実績を整理して魅力的に伝えたりすることもあるだろう。

では、人事担当者は“どこまでが許容範囲”だと考えているのだろうか。この質問に対して、人事担当者は「ラッピングはOK、偽装はNG」と非常に分かりやすい表現で答えた。
伝わりやすい言葉に言い換えたり、実績を整理して魅力的に見せたり、あるいは成果を分かりやすく説明するといった工夫は、ラッピングの範囲として、多くの人が自然に行っているものだという。

一方で、実際には担当していない業務を書く、役割を大きく偽る、成果を捏造する、経歴そのものを改変するといった内容になると、それは単なる見せ方ではなく、偽装になってしまう。

事実そのものを変えてしまうと、結果的に大きく信頼を損なうことにつながります。

特に採用では、スキルや実績だけでなく、「この人と一緒に働けるか」という信頼感も重視される。だからこそ、人事担当者は「少し良く見せる工夫」そのものを問題視しているわけではない。むしろ重要なのは、“事実をベースに語っているか”なのだろう。

たとえば同じ経験でも、「何を工夫したのか」「どんな成果につながったのか」「自分がどの部分を担当したのか」を整理して伝えるだけで、印象は大きく変わる。

転職活動では、「正直に話したら弱く見えるのでは」と不安になることもある。しかし人事担当者の話からは、“盛る”ことよりも、「事実をどう整理し、どう伝えるか」のほうが、結果として信頼につながることが見えてきた。

【PR】