
東映<9605>は、2026年3月期決算説明会で、中長期ビジョン「TOEI NEW WAVE 2033」の進捗状況を説明した。2027年3月期からは、これまでの投資フェーズから実行フェーズへ移行し、実写とアニメを両輪としたグローバルコンテンツ展開を本格化する方針だ。
同社は2033年に向けて「世界で愛されるコンテンツを数多く発信する企業」を目指しており、映像事業収益の最大化、グローバル展開、人材投資、経営基盤強化の4つを重点施策として掲げている。
2026年3月期の営業利益は361億円となり、中長期目標として掲げる250億~400億円レンジの収益基盤を維持した。ROEも8.4%となり、目標としている8%を上回った。今後はROE8%超を安定的に達成できる事業基盤の構築を目指す。
■仮面ライダーのアニメ・ゲーム展開を本格化
成長戦略の中核となるのがIP活用の強化だ。
「仮面ライダーロードマップ」を策定したとのこと。映画新レーベル「THE KAMEN RIDER CHRONICLE」「THE KAMEN RIDER ANIMATED」「THE KAMEN RIDER PREMIUM」の展開に加え、ゲームプロジェクト「Game Project HENSHIN」も推進する。
これまでテレビシリーズを中心に展開してきた仮面ライダーを、映画、アニメ、ゲームへと広げることで、IP価値の最大化を図る。
同社では2023年にキャラクター戦略部を設立しており、仮面ライダーをはじめとしたキャラクターIPのマルチユース展開を強化している。また、映画企画部とドラマ企画制作部の企画機能を統合した映像企画部を新設。メディア単位ではなくIP単位での企画開発を進める体制へ移行している。
■『新幹線大爆破』『宇宙刑事ギャバン』を再活用
東映は既存IPの再活性化にも力を入れていく。
Netflixで世界配信された『新幹線大爆破』や、2026年放送開始の『超宇宙刑事ギャバン INFINITY』など、過去作品のリブートを推進。新規IP創出に加え、長年蓄積してきたIPライブラリーを活用することで継続的な収益創出を目指す。
映画やアニメはヒットの有無によって業績が左右されやすいが、配信、商品化、イベント、ゲーム、海外展開などのマルチユースを進めることで収益の安定化を図る考えだ。
■海外展開を加速 『仮面ライダーゼッツ』は世界同時展開
グローバル戦略も実行フェーズに入る。
『仮面ライダーゼッツ』では世界サイマル放送・配信を実現したほか、香港やタイ、マレーシアで仮面ライダー展やポップアップストアを展開している。
また、タイ大手エンターテインメント企業M STUDIOとの提携や、韓国での玩具ビジネス展開も推進。海外パートナーとの協業を通じて事業拡大を図る。
さらに、東映ビデオ製作の映画『百円の恋』を原作とした中国リメイク作品は、現地で700億円超の興行収入を記録。東映IPの海外展開の成功事例として位置付けられている。
■太秦映画村を「大人の没入体験パーク」へ刷新
経営基盤強化策として進めている太秦映画村の再開発も大きな柱となる。
2026年3月28日に第1期リニューアルを実施し、名称を「UZUMASA KYOTO VILLAGE」へ変更した。新コンセプトは「江戸時代の京へ、迷い込む」。従来のファミリー向け施設から、20代・30代や訪日観光客も楽しめる「大人の没入体験パーク」へ転換した。
営業時間も21時まで延長し、ナイトエコノミー需要の取り込みを図る。2028年にはフルリニューアルオープンを予定しており、2030年3月期には年間動員100万人の達成を目指す。
■政策保有株式の縮減とROE向上を継続
資本効率改善にも引き続き取り組む。2026年3月期には上場株式3銘柄、非上場株式1銘柄を売却したほか、一部保有株式を縮減した。今後も政策保有株式や不動産ポートフォリオの見直しを進め、ROE向上につなげる考えだ。
東映は今後、新規IP創出と既存IP活用を両立させながら、実写・アニメの両輪によるグローバル展開を加速し、2033年に向けた成長戦略を本格的に実行していく。
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会社情報
- 会社名
- 東映株式会社
- 設立
- 1949年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 多田 憲之/代表取締役社長 吉村 文雄
- 決算期
- 3月
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9605
