
10月31日、東京都立産業貿易センター浜松町館にて、インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン14」が開催された。
数多くのゲームが並ぶ展示会では、作品の面白さはもちろん、来場者の目を引くブースづくりも重要だ。凝った装飾でゲームの世界観を再現したり、ユニークな展示物を用意したりと、限られたスペースの中にも出展者それぞれの工夫が詰まっている。
今回は、会場で見つけた個性豊かな個人開発・サークルのブースをピックアップ。ゲームの内容にも触れながら、展示方法や装飾のアイデアを写真とともに紹介していく。今後イベントへの出展を考えている方も、ぜひ参考にしてほしい。
目次
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『在りし日のわたし達へ』(Studio To:NEMO)

Studio To:NEMOが開発する『在りし日のわたし達へ』は、終わりゆく世界を舞台に、記憶を失った少年と理想の大人を目指す少女の物語を描くジュブナイルADV。穏やかな日常の裏に隠された世界の真実を、物語の中で手に入る記録や手記を通じて読み解いていく作品だ。
同作のブースでは、特別企画としてゲームのエンディングスチルを先行公開。その一枚のイラストから物語の結末を想像し、ヒロインの少女が「報われる」か「報われない」かを予想する投票企画が行われていた。
さらに、投票展示を撮影してXに投稿すると、くじ引きに参加できるSNSキャンペーンも実施。景品にはアートブックやポストカードが用意され、ブースには景品となるアートブック『DaysGoneBy』も展示されていた。
作品の核心に迫るイラストをあえて公開し、来場者の想像力を刺激するユニークな試み。投票やSNS投稿を通じて、ゲームを知らない来場者にも作品への興味を持ってもらう工夫が感じられる展示となっていた。



『SocialSideQuest』(丸山里紗)

個人開発者の丸山里紗氏が手掛ける『SocialSideQuest』は、SNS疲れした人々のつぶやきを覗き見しながら、クエスト受付係として適切なクエストを割り振っていくアートゲーム。名作『Papers, Please』から影響を受けているという。
丸山氏は今年から独学でUnityを学び始めたばかりで、本作が2作目の作品となる。Steamストアページは現在準備中とのこと。
ブースは落ち着いたエスニック調の装飾で統一されており、小物を収めた棚なども設置。まるで静かな個室のような、独特の空間が演出されていた。

また、ピンバッジやタトゥーシールなど、丸山氏が自ら制作したオリジナルグッズも販売。ブースの片隅にはSNSのタイムラインを流すタブレット端末も設置されており、こちらはゲームの内容に合わせて用意したものだという。
派手な装飾ではなく、統一感のある小物やデジタル機器を組み合わせることで、作品の世界観を表現しているのが印象的なブースだった。

『Danchi Days』(sandy powder)

『Danchi Days』は、2000年代の日本の団地を舞台にした、どこか懐かしい雰囲気のアドベンチャーゲーム。主人公の少女・ホシノが、認知症のおばあちゃんを元気づけるため、個性豊かな住民たちと交流しながら団地の夏祭り復活を目指す。10月末にSteamで発売されたばかりの作品だ。
ブースはキービジュアルにも描かれているひまわりを随所にあしらい、テーブルクロスも黄色で統一。明るく温かみのある空間が広がっていた。
さらに、作中に登場するカッパの「モロキュウ」のぬいぐるみも展示。モロキュウは頭にお皿ではなくメロンパンを載せているというユニークなキャラクターで、ブースにも本物のメロンパンが置かれていた。


試遊にはSteam Deckが2台用意され、来場者がじっくり遊べる環境を整備。感想を書き込めるノートも設置されており、さまざまな感想に加え、キャラクターのイラストを描き残している人もいた。
作品のイメージカラーやキャラクターを生かした装飾に加え、来場者が作品への愛着を表現できる仕掛けも用意された、温かみのあるブースとなっていた。

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『アルゴフォニア』『ロポコ』(Tookato)

個人ゲーム作家・Tookato氏のブースでは、1980年代のレトロパソコン向けに開発されたゲーム2作品が展示されていた。
『アルゴフォニア』は、1984年にシャープから発売された8ビットパソコン「MZ-1500」向けに開発中の3DダンジョンRPG。アシスタントAIとともに巨大な恒星間移民船を探索し、船に隠された謎を解き明かしていく作品だ。
ブースではMZ-1500の実機を使用してゲームを展示。発売から40年以上が経過した珍しいハードだけに、操作方法も丁寧に案内されていた。ちなみにこの実機、ジャンク品を手に入れて自身で修理し、使えるようにしたとか。
もうひとつの展示作品『ロポコ』は、MZ-700向けに開発されたコマンド入力式アドベンチャーゲーム。ロボットのロポコを操作し、会話で覚えた言葉を使いながら、迷宮と化した研究所からの脱出を目指す。2025年10月にはSteamとNintendo Switch向けの移植版も発売されている。
今回はオリジナルのカセットテープ版が展示されており、こちらもレトロPCならではの魅力を感じさせるものだった。
現代のゲーム展示会で、40年以上前のパソコンとカセットテープを目にするという意外性。最新のゲーム機やPCが並ぶ会場の中でも、ひときわ異彩を放つブースとなっていた。

『HOLE WAR -The Abyss-』(アキハラターミナル)

アキハラターミナルが開発する『HOLE WAR -The Abyss-』は、「職」と「食」をテーマにした長編ファンタジーRPG。転職によるスキル習得や、料理による能力強化などのシステムを駆使しながら、主人公の秘められた力と正体を巡る物語が展開される。
今回のブースでは、1〜3分程度で気軽に楽しめるミニゲーム「山が動いた!」を試遊できた。プレイヤーは山を操作して敵をなぎ倒しながらパワーアップし、最終的には巨大なドラゴンの討伐を目指すという、なんともユニークな内容だ。
ゲームは短時間でプレイできるうえ、ハイスコアも確認可能。ブースにはランキングボードも設置され、来場者同士でスコアを競える仕組みになっていた。
さらに、試遊した来場者には、キャラクターが描かれたオリジナルデザインのチロルチョコをプレゼント。手軽に配布できるノベルティとしても参考になるアイデアだ。


『モーキス』(福田コーポ)

福田コーポが手掛ける『モーキス』は、1999年6月の東京都国分寺市を舞台にした恋愛アドベンチャーゲーム。ノストラダムスの大予言が現実味を帯び、世界の終末が迫る中、主人公と6人のヒロインたちの青春と恋愛模様が描かれる。実写の背景と手描きのキャラクターを組み合わせた、1990年代を思わせるビジュアルも特徴だ。
ブースにはPCの試遊台が2台用意されていたほか、ブラウン管テレビでもゲームの映像を上映。1999年を舞台にした作品だけに、ブラウン管特有の映像の質感がゲームの雰囲気と見事にマッチしていた。

また、登場キャラクターを紹介するチラシの配布や、オリジナルポストカードの販売も実施。来場者が作品の世界観やキャラクターに親しめるよう工夫されていた。
最新のPCゲームでありながら、あえてレトロな映像機器を取り入れることで、作品の時代設定を視覚的に伝える展示となっていた。
『水上スラムのラーメン屋』(あるみど)

あるみどが開発する『水上スラムのラーメン屋』は、日本風の水上スラムを舞台にした一人称視点のラーメン屋経営・生活シミュレーション。無一文から小さなラーメン屋を開業し、食材の調達やラーメンの開発、店舗の経営を行っていく。街を探索して買い物や釣りを楽しむなど、自由度の高い生活要素も特徴だ。
今回のブースは、ゲームの舞台となるスラム街を再現したような、非常に凝った装飾が印象的だった。錆びついたような加工を施した看板に、無造作に貼られた大量のチラシ。チラシにはアルバイト募集や水道トラブル、合鍵作成といった、いかにも街中にありそうな情報が書かれており、細部まで世界観が表現されていた。
さらに、来場者向けの「SNS投稿OK!」という案内まで、周囲のチラシに違和感なく溶け込んでいたのが面白い。
看板はテーブル上だけでなく頭上にも設置されており、ブース全体を使った立体的な展示は遠くからでも目を引くものだった。実際に周囲には多くの来場者が集まっており、今回の会場でも特に賑わっていたブースのひとつだ。
ゲームの世界観を再現するだけでなく、来場者への案内表示まで演出の一部に取り込んだ、こだわりの感じられる展示となっていた。
『八部寛のホームページ』(CAEN Games)

CAEN Gamesが開発する『八部寛のホームページ』は、有名俳優「八部寛」のホームページを8日間にわたって観察し、そこに発生する異変を調査する「8番ライク」のホラーゲーム。2027年春にSteamで発売予定で、ストアページは現在準備中とのこと。
ブースはテーブルクロスからポスター、チラシに至るまで黒で統一されており、作品の不穏な雰囲気を演出。シンプルながらも、ホラーゲームらしい独特の存在感を放っていた。
なかでもユニークだったのが、アルバイトの求人広告を模したチラシ。「夜間モニタリング業務」と題され、「“あの”ホームページをチェックするだけ」という意味深な文言が並んでいた。
ゲームの内容をそのまま求人広告に落とし込むことで、来場者の好奇心を刺激する仕掛け。ブースの装飾だけでなく、配布するチラシにも作品の世界観を反映させた、遊び心のある展示となっていた。


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