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【NDC18】日本版『HIT』の成功から見るカルチャライズの手法を伝授…制作への考え方の違いから語る「日本人は面食い」の真相とは

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ネクソン<3659>連結子会社のNEXON Koreaは、4月24日~26日の3日間、韓国最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 18(NDC18)」を開催した。

本稿では、25日に行われたネクソンジャパン プロダクトデザイン室 室長の水野太介氏によるセッション「日本における『HIT』のカルチャライズ手法」をレポートしていく。本講演では、日本版『HIT』のデザイン施策を中心に、どのようなカルチャライズが加えられたかという話を展開した。

 

■各国の文化に合わせたカルチャライズ事例を紹介



▲ネクソンジャパン プロダクトデザイン室 室長の水野太介氏。フリーのイラストレーターとして活動した後、2008年にデザイナーとしてネクソンジャパンに入社。2015年以降は現在の立場で日本運営タイトル全般のゲームデザインを監修している。


▲制作部 プロダクトデザイン室では、これまでに『メイプルストーリー』や『テイルズウィーバー』、『マビノギ英雄伝』といったタイトルで、日本ユーザー向けにイベントに合わせたイラストの作成などを行ってきた。

近年、モバイルタイトルが非常に増えたことによって、配信前にカルチャライズを行う業務にかける工数が増えてきたと水野氏は語る。その最たる理由として、モバイル市場は変化が非常に激しく、ユーザーの幅も広いことから準備に掛けるリソースが大きくなっていると説明した。

ちなみに、言語の翻訳や規則への対応を行う「ローカライズ」に対して、「カルチャライズ」は地域の文化に合わせてコンテンツを改変していくことだと改めて紹介した。


▲同じキャラでも国の文化によって印象が異なるという。例えば、韓国人から見て可愛いと思えるキャラも日本人にとって同じように見えるとは限らない。その際、日本人の嗜好に合わせてキャラを変えていく作業がカルチャライズと呼ばれる。


▲また、韓国では可愛いと思われるキャラも、日本では綺麗なキャラとして出した方がユーザーに響きやすいと判断されるケースも。このように、目的が変更されてデザインに反映されるパターンもあるという。

配信されるまでの主な流れは、分析・試作・検討・制作・配信となる。まずは「実際にどういった問題に直面するか」、「成功させるためにはどうすればよいか」という分析が行われ、試作・検討で予算や仕様の確認が行われる。カルチャライズを行うタイミングはタイトルによってさまざまで、開発途中から入るものもあれば、既に他国でリリースされているタイトルで行うこともあるので判断は難しくなる、と水野氏は語った。

ここからは実際に今までカルチャライズ対応を行った事例を紹介。

●『ドミネーションズ』


元々はかなり濃いイラストを採用していたが、日本で目標のKPIを達成するにはターゲットの幅を広げる必要があると考え、イラストを下記のように日本向けに変更した。なお、ゲーム内に関しては従来のものをそのまま採用している。



●『HIDE AND FIRE』


重厚感のある印象から、ゲーム内UIのイメージに合わせてサイバーで明るい印象に。主人公も日本向けに調整を加えているほか、今現在も日本で制作したキャラを定期的にリリースしている。

 
▲縦長な顔のイメージを少し丸顔へ変更。髪型や色も日本人が好む方向性へ。こうした調整を各キャラに反映して展開している。

●『マビノギ英雄伝』


新キャラ「デリア」追加の際には、デザイナーの見解や韓国での評判を考慮して新規アバターを制作し、よりキャラクター性を際立たせるプリプロモーションを行った。


▲動画などでは新たに作成した衣装で展開し、ゲーム内ストーリーに登場する際は元となったコスチュームで登場させることでコストバランスを整えたという。

 

■日本版『HIT』のカルチャライズでは主にデザイン面を改修


そして、ここからいよいよ日本版『HIT』のカルチャライズについての発表を行った。

まず、日本の運用チームを中心に韓国版ヒットの分析を行ったという。そこで、よりユーザーのニーズに合わせるためストーリー性やキャラクター性、ゲームシステムの変更が必要だという判断が下された。水野氏は、それらの問題を解決するためにも、デザイン面でいくつか解決したい問題があったと続ける。

 
 
▲韓国版『HIT』は、イラストのクオリティは高かったものの、かなりコア向けな印象だったほか、会話シーンに主人公が登場しない、キャラの見た目が固定されていない、アバターの数が足りないという問題があった。

韓国版はアクションと世界観を優先した構成となっていたが、日本では長期的にゲームを定着させるためにも、より主人公に愛着を持ってもらうための施策が必要だったとのことだ。


▲韓国版『HIT』のグラフィックからどの辺りまで日本向けに調整していくか、違和感のないデフォルメのラインを探る。


▲流行していたアニメ・マンガ・ゲームを調査して衣装を確定。写真右側のデザインはテイストの模索を行っていた際の参考例で、もしかしたら日本版に実装されていたかもしれないと水野氏は当時の裏話を明かした。

 
▲さらに、キャラがより認知しやすくなるようにテーマカラーを設定。ゲーム内の情報量が多いことや、デフォルメやディティールを考慮して決定したという。完成したイラストは、背景に負けない描き込みと、日本人が抵抗なく受け入れやすいバランスとなっている。


▲そのほか、表情やポーズの追加差分も日本で作成している。


▲NPCはポージングなど原画から大きく変わっていないが、テイスト変更のため線画からしっかりと描き起こしているとのこと。よく見るとマントのシルエットや腰のくびれといった点に特徴が表れている。

こうした調整を全キャラに施し、6カ月ほどの期間で制作が完了したと水野氏は話す。


▲こうして、韓国版ではNPC同士の掛け合いが中心だったところに、主人公を登場させられるようストーリーも改修し、よりキャラ性が膨らむような展開に変更した。


▲また、ストーリーのボリュームアップに伴い登場する背景やイラストが増えるため、ゲーム内イラストも日本で新規作成している。


▲ネクソンのグループ会社であるgloopsのイラストレーターと連携して、定期的に壁紙を制作している。内容はアバターのアップデートやイベントに合わせたものとなっている。


▲こちらはゲームのロード中に表示されるマンガだ。SNSで展開されていたSDキャラのスタンプをベースに、コアな印象を受けすぎないようにという狙いで制作したとのこと。


▲『OVERHIT』に登場する「飛燕」が『HIT』にも追加。カルチャライズに関しても両タイトルで同じ担当者が担当していたためスムーズに進行できたという。


▲既存イラストの改修を行った一例。顔立ちや髪型、衣装を日本で設定したものに近付けるという対応が行われている。全体的に視線が上半身や顔に集中するようにライティングなどの調整が施されている。


▲日本ではアバターはガチャ販売が主流で、パッケージ販売はほとんど行われていない。売り上げ割合的にも、韓国では育成アイテムが中心となっているが、日本ではアバターと育成アイテムが同じくらい人気ということだ。

また、水野氏は『HIT』以外のタイトルにも通じる話として「日本のユーザーはアップデートやイベントを重要視する傾向があるため、非常に速いペースでアバターの更新が必要となる」とコメントした。

その後、水野氏はこれまでに紹介してきた調整を行うことで発生する問題点を挙げた。

『HIT』に関しては、カルチャライズを行うことで、開発会社で制作されたグラフィック素材がそのまま使えないという問題が発生するという。この点に関しては、全てのグラフィックを統一するだけでコストがかさんでしまうので、サービスの状況や費用対効果を考えて随時判断が必要になると説明した。


▲こうした施策を経て、配信から3ヶ月でApp Store売り上げランキングのトップ10入りを果たした(関連記事)。

水野氏は、『HIT』に関してはカルチャライズを行わずとも成功したかもしれないと謙遜したが、現地化に向けてネクソンジャパンとネクソンコリアが密に連携したことでより大きな成功へ導いたことは確信していると結論を述べた。


▲なお、日本では2018年夏に『OVERHIT』の配信が予定されている。こちらの続報も楽しみに待ちたい。
 

■日本と韓国における制作についての考え方の違い


さらに水野氏は、自身の経験から個人的な見解として日本と韓国の制作に対する考え方の違いに言及。

まず、韓国のデザインを確認したときに懸念される傾向として「過去に日本で流行ったような気がする」、「違和感はないが古い印象を受ける」といったポイントが挙げられるという。これは、国によって流行り廃りのタイミングが異なるため生じる違和感であると水野氏は分析する。中には、韓国の制作者が1990~2000年代の日本のデザインから影響を受けてクリエイティブに反映されている可能性もあると話した。

また、漫画やアニメの文化の違から、絵やデザインに対するディティールにも変化が現れるとのこと。水野氏は、ディティールが異なること自体は問題ではないが、これによってターゲットを狭めてしまう可能性があることを認識しておいてほしいとコメントした。

配色にしても、韓国では緑寄りの青を多く使う傾向があるが、中国では黒や赤、黄色といった原色が多い。一方、日本では彩度が低めの色を選択してシルエットを優先しがちという傾向があるため、各国の違いを考慮しながらイラストにも反映していると語った。

 
▲等身の違いについても同じく、どちらが悪いという話ではないため、その時々によって判断しなければならないという。日本では5.5~7等身で顔立ちが縦長、ぷにっとした可愛いキャラが好まれる(写真左)。一方、韓国では8等身で下半身のボリュームが大きく、骨盤から太ももが強調されている(写真右)。

こうした特徴から水野氏は「日本人は面食いである」と主張する。日本のキャラは顔に目が行きやすい造りとなっており、顔の印象が非常に重要視されていると説明した。それに比べて韓国のキャラは等身が高く小顔なので顔に目が行きにくいバランスとなっていると話す。もし、日本向けにリリースした際、キャラをアピールしたければ顔をアップにしたカットイン表現を入れるといった工夫が有効ではないかと紹介した。

そのほか、イラストに関して日本ではコンセプトやモチーフを優先するが、韓国では作家表現が優先されている印象を受けるという。これは、日本人の「カテゴライズが好き」という傾向から、見た目でどのようなキャラか分かりやすいことがカテゴライズのしやすさに繋がるからだと分析した。

最後に、日本と韓国で見られる進め方の違いについても自身の見解から互いの国がどういった印象を受けているかを明かした。

制作において韓国では、行動力が高くアクションを優先してものを完成させてから問題点を改善していくという流れが多く見られるという。こうすることでスピード感のある進行で幅広く展開できるが、統一感を取るのが難しいという問題も発生する。

一方、日本は目的や計画を重要視し、そこに則った形でプランニングして着地点に向けてブラッシュアップを行っていくので、イメージとしてはどんどん絞り込んでいく作業になるという。そのため、目的にはコミットしやすいが、スピードが遅く方向転換が苦手というケースが多く見られると話す。


▲こうした違いから、例えば開発会社から「製作図や参考画像をください」という要望があった際、日本では「先に狙いや意図を明確にしたい」と思う人がいる一方、韓国側では「何故、動いてくれないんだろう?」という感触があるかもしれないと水野氏はコメントした。

最後に水野氏は、進め方の部分で噛み合わないという問題は、どちらが優れている・劣っているではなく、得意・不得意によるところが大きいので、共に仕事をするうえで互いに足並みを揃えることが最重要であるとして講演の締めとした。

 
(取材・文 編集部:山岡広樹)



■関連サイト
 

NDC公式サイト(韓国語、英語のみ)

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企業情報(株式会社ネクソン)

会社名 株式会社ネクソン
URL http://www.nexon.co.jp/
設立 2002年12月
代表者 オーウェン・マホニー
決算期 12月
直近業績 売上収益2349億円、営業利益905億円、最終利益567億円(2017年12月期)
上場区分 東証一部
証券コード 3659

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