TIWのゲーム株レポート(10月5日-10月15日)

 今回は、調査会社である株式会社ティー・アイ・ダブリュ(TIW)のアナリスト・レポートの要旨です。TIW社は、幅広い業界をカバーしている調査会社ですが、ゲームやアミューズメント、インターネット業界の分析力の高さには定評があります。アナリスト・レポートは、日興コーディアル証券、マネックス証券、ひびき証券、岡地証券、アーツ証券、アルバース証券、八幡証券等に口座があれば、たぶん無料で閲覧することができるかと思います。

■コナミ<9766>

 10月12日付けレポートで、「2+(ニュートラルプラス)」から「2(ニュートラル」に格下げ。株価の上昇や同業他社のPER水準低下で割安感が薄れているため。注目されるのは、PS3やXbox360向けの「メタルギアソリッドライジング」の発売日であろう。発売される期の営業増益の余地が増加し、市場コンセンサスは切り上がると予想されるため、株価の上昇へと結びつくだろう。その一方、同社のゲームソフトの販売本数が「メタルギアソリッドシリーズ」に左右される状況にあるため、「メタルギアソリッドシリーズ」に代替するタイトル(新規IP)の創出が求められている状況には変わりはない。

 

■バンダナムコHD<7832>

 10月12日付けレポートで、「2-(ニュートラルマイナス)」の継続。トイホビー事業の収益性改善の効果が一巡すること、トイホビー事業の伸びが低位にとどまると予想されること、ゲームソフトによる収益増が見込み難いことなどにより、2012年3月期の業績の伸びは低くなると予想する。TIW社が、ゲームソフト事業の寄与が小さいと見る理由について、中小型のゲームソフトが中心となる状況が続くため、業績を牽引する力強さに欠けており、小売店等が仕入れに対して慎重になると考えられるため、とのこと。「ニンテンドー3DS」への取り組みについては、既存コンテンツの横展開と見られ、同社がゲームソフトの販売本数を独力で増加させるきっかけにはならないのではないかと指摘している。

 

■セガサミーHD<6460>

 10月12日付けレポートで、「2(ニュートラル)」の継続。上方修正幅が想定以上で、株価の水準には割安感があるといえるが、好材料出尽くし感から株価を上昇させるカタリスト(触媒)に欠ける状態にある。また、上方修正については、遊技機事業以外の収益がほとんど寄与していないと見られるうえ、2011年3月期第1四半期の業績から推参すると、原価低減効果はほぼ株価に織り込まれたと考えられ、中長期的な評価点は乏しい。遊技機の販売台数の継続的な増加や、ゲームソフトなど海外での収益増が確認できない限り、株価上昇は難しいだろう。2012年3月期以降の業績は伸び悩むと考えられる。

 

■カプコン<9697>

 10月5日付けレポートで、「2+(ニュートラルプラス)」の継続。「デッドライジング2」と「モンスターハンターポータブル3rd」は同社の計画並みに販売本数を記録する可能性が高まってきたことに加え、「ニンテンドー3DS」用の新作「ストリートファイターIV 3D EDITION」が業績の下支えをする可能性を考慮すると、2011年3月期の業績が会社計画に対して大幅な未達となる可能性は低いと指摘。新作の販売計画未達による下ブレ懸念は残るものの、短期的には悪材料出尽くし感から株価の上昇が期待できると考える。

 

■スクウェア・エニックスHD<9684>

 10月5日付けレポートで、「2+(ニュートラルプラス)」の継続。「ニンテンドー3DS」に投入するゲームソフトのラインナップとして、新たに「とびだす!パズルボブル3D」を発表。収益への寄与は大きなものとならないだろうが、ゲームソフトの開発体制の見直しや人員削減、中途採用などを行い、環境への対応を図っていることは評価できる。現有するコンテンツを生かして収益を稼ぎつつ、収益源となるコンテンツの創出はできるものと考えている。さらに、中国シャンダゲームズと提携し、「ファイナルファンタジーXIV」の独占販売を許諾したが、2012年3月期以降の業績拡大に向けた土台が築かれた評価できよう。