KLab<3656>は8月12日、2014年12月期第2四半期(2Q、4~6月)の決算を発表し、都内で決算説明会を開催した。売上高は前四半期比16%増の51億円、営業利益は同6倍の6億円と増収増益を果たした。主力タイトル『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』の月商が、アニメ2期の放映効果もあって、毎月過去最高を更新するなど好調。コスト削減も利益改善に寄与した。
足もとの実績に基づいて第3四半期(3Q、7~9月)は月商20億円と見積もる。真田哲弥社長によれば、この予測は『ラブライブ!』が「9月まで伸び続けないという前提の保守的な売り上げ予想」とのこと。
また真田社長は今後の方針として、『ラブライブ!』で培った「音ゲー」のノウハウを活用し、「西洋でヒットする音ゲーを作る」方針だと言う。加えて他社(サードパーティ)のゲームを配信する「パブリッシング支援事業」を成長ストーリーとして語った。(以下、かぎ括弧内は真田社長の発言)
2Qの売上高は51.6億円と、2013年9~12月(4ヶ月決算)を3ヵ月換算した場合、実質的に四半期として過去最高となった。『ラブライブ!』だけでなく、バンダイナムコと共同で提供する『テイルズ オブ アスタリア』や自社オリジナルタイトル『天空のクラフトフリート』といった、今年リリースしたばかりのタイトルも堅調な売り上げを示した。なお、新作タイトルのひとつ『かぶりん』は課題点を改良中とのこと。
売上に占める比率はGoogle Playが4割、App Storeが4割と、ネイティブゲーム系が売上全体の8割を占める。その主軸である『ラブライブ!』の月商は4、5、6月と過去最高を更新し、今も伸び続けているという。『ラブライブ』は「女性ユーザーが意外と多いのが(嬉しい)誤算」という。
なお、Mobage、GREEといったブラウザプラットフォーム向けの売上減少は「歯止めがかからない状況」といい、ネイティブの比率拡大基調が続くとの見方を示した。
海外の売上比率は6.8%。「売上規模の大きい韓国での(『ラブライブ!』の)リリースが2Qの後半だった」といい、さらなる成長に期待を示した。
コスト削減も進展し、固定費全体で前四半期から9300万円減少したという。第1四半期で実施した人員整理で人件費を8200万円削減、米国子会社もオリジナルタイトル『Crystal Casters』の不振を受けて現地社員を削減した。オフィスも、昨年度末に六本木ヒルズの本社オフィスの1フロアの返却を決め、2Qにも残る2フロアのうち1フロアの返却を決めた。今後も、コスト削減については「タイトルを絞らないと一段の削減は難しいが、できる限りの努力をしていきたい」とのこと。
なお、フロア返却に伴い、2Qに特別損失2100万円を計上している。2Qに実施した1フロアの解約で、後々、月額約1300万円の賃借料を削減できるという。
3Qの業績予想は直近の実績値をベースとして、売上高60億円、営業利益6億円を見込む。売上高が増えているにも関わらず利益が2Q比で横ばいなのは、広告宣伝費を5憶円(2Qは2.96億円)に増額することが理由だ。
広告宣伝の上積み分は『ラブライブ!』に充て、「テレビCMを大きくやろうと考えている」という。「2Qは(『ラブライブ!』の)アニメ放映があったのでユーザーを拡大することができた。アニメが終了したため、テレビCMを再開し、ユーザーと売上拡大を維持する」ことを目指す。
利益は「最低限、2Qの利益水準を維持するという意思の表れ」として、横ばいの利益予想を出したという。売上高は『ラブライブ!』が9月までに伸び悩む前提の売り上げ予想といい、「上方修正を出せるように頑張りたい。広告宣伝の効果があれば、予想より良い数字が出てくる」と述べた。なお、7月のKLabの月商は20億円を超えていると明かした。
真田社長は今後の方針を語るなかで、『ラブライブ!』のヒットにより、「音ゲー」というジャンルを開拓できたと指摘。「音ゲー(のモバイルゲーム)は世界にあまり例がなく、『ラブライブ!』が先行しているような状況。我々は音ゲーに関して一番のノウハウと技術を持っているので、良いIPを獲得し、西洋でヒットする音ゲーを作ろうと考えている」と述べた。
また、これまでのゲームディベロッパーとしての成長段階から、「ゲームディベロッパー+ゲームパブリッシャー」としての成長段階に移行していく方針も語った。「ゲームディベロッパーだけでなく、ゲームパブリッシャーとして動いていく」「サードパーティのゲームタイトルの配信を計画している」という。ヒット作を出すために多くのタイトルをリリースしたいが、自社ですべてのタイトルを作るとコスト負担が重くなる、という判断からだ。
世界で自社パブリッシュ体制が確立できたのち、サードパーティのゲームを自社のパブリッシングネットワークに乗せ、パブリッシング支援事業を展開していく。現時点で、IP獲得や海外有力パブリッシャーとの提携という、「交渉力」の強化を進めている。社員削減を進めるなかで「ビジネス・ディベロップメント(事業開発)」の人員は増やしているという。「KLabがIPを獲得し、サードパーティと共同でゲームを作るという形もある」という。
現在、海外ではパブリッシャー経由でタイトルを配信しているが、今後は徐々に自社 パブリッシュに切り替えていく方針だという。この秋リリース予定の『Age of Empires: World Domination』は全世界で自社パブリッシュを実施する。「すでにコアファンがあり、ファンコミュニティがあるため、 ファンに訴求する経路が見えているため」という。
サードパーティにとって、パブリッシュでKLabと協力するメリットは何か、という質問には「運営ノウハウとプロモーションノウハウ、そしてIP取得ノウハウだ。また多くの資金を要するネイティブゲーム開発において、資金面の支援もありうる」と語った。
■関連資料
・決算説明会資料
足もとの実績に基づいて第3四半期(3Q、7~9月)は月商20億円と見積もる。真田哲弥社長によれば、この予測は『ラブライブ!』が「9月まで伸び続けないという前提の保守的な売り上げ予想」とのこと。
また真田社長は今後の方針として、『ラブライブ!』で培った「音ゲー」のノウハウを活用し、「西洋でヒットする音ゲーを作る」方針だと言う。加えて他社(サードパーティ)のゲームを配信する「パブリッシング支援事業」を成長ストーリーとして語った。(以下、かぎ括弧内は真田社長の発言)
■四半期売上高が過去最高…『ラブライブ!』や今年リリースのタイトルが好調
2Qの売上高は51.6億円と、2013年9~12月(4ヶ月決算)を3ヵ月換算した場合、実質的に四半期として過去最高となった。『ラブライブ!』だけでなく、バンダイナムコと共同で提供する『テイルズ オブ アスタリア』や自社オリジナルタイトル『天空のクラフトフリート』といった、今年リリースしたばかりのタイトルも堅調な売り上げを示した。なお、新作タイトルのひとつ『かぶりん』は課題点を改良中とのこと。
売上に占める比率はGoogle Playが4割、App Storeが4割と、ネイティブゲーム系が売上全体の8割を占める。その主軸である『ラブライブ!』の月商は4、5、6月と過去最高を更新し、今も伸び続けているという。『ラブライブ』は「女性ユーザーが意外と多いのが(嬉しい)誤算」という。
なお、Mobage、GREEといったブラウザプラットフォーム向けの売上減少は「歯止めがかからない状況」といい、ネイティブの比率拡大基調が続くとの見方を示した。
海外の売上比率は6.8%。「売上規模の大きい韓国での(『ラブライブ!』の)リリースが2Qの後半だった」といい、さらなる成長に期待を示した。
コスト削減も進展し、固定費全体で前四半期から9300万円減少したという。第1四半期で実施した人員整理で人件費を8200万円削減、米国子会社もオリジナルタイトル『Crystal Casters』の不振を受けて現地社員を削減した。オフィスも、昨年度末に六本木ヒルズの本社オフィスの1フロアの返却を決め、2Qにも残る2フロアのうち1フロアの返却を決めた。今後も、コスト削減については「タイトルを絞らないと一段の削減は難しいが、できる限りの努力をしていきたい」とのこと。
なお、フロア返却に伴い、2Qに特別損失2100万円を計上している。2Qに実施した1フロアの解約で、後々、月額約1300万円の賃借料を削減できるという。
■3Qの利益は横ばい想定…「広告宣伝の効果あれば予想より良い数字に」
3Qの業績予想は直近の実績値をベースとして、売上高60億円、営業利益6億円を見込む。売上高が増えているにも関わらず利益が2Q比で横ばいなのは、広告宣伝費を5憶円(2Qは2.96億円)に増額することが理由だ。
利益は「最低限、2Qの利益水準を維持するという意思の表れ」として、横ばいの利益予想を出したという。売上高は『ラブライブ!』が9月までに伸び悩む前提の売り上げ予想といい、「上方修正を出せるように頑張りたい。広告宣伝の効果があれば、予想より良い数字が出てくる」と述べた。なお、7月のKLabの月商は20億円を超えていると明かした。
■西洋で受ける「音ゲー」を作る、「ゲームパブリッシャー」としての行動も
真田社長は今後の方針を語るなかで、『ラブライブ!』のヒットにより、「音ゲー」というジャンルを開拓できたと指摘。「音ゲー(のモバイルゲーム)は世界にあまり例がなく、『ラブライブ!』が先行しているような状況。我々は音ゲーに関して一番のノウハウと技術を持っているので、良いIPを獲得し、西洋でヒットする音ゲーを作ろうと考えている」と述べた。
また、これまでのゲームディベロッパーとしての成長段階から、「ゲームディベロッパー+ゲームパブリッシャー」としての成長段階に移行していく方針も語った。「ゲームディベロッパーだけでなく、ゲームパブリッシャーとして動いていく」「サードパーティのゲームタイトルの配信を計画している」という。ヒット作を出すために多くのタイトルをリリースしたいが、自社ですべてのタイトルを作るとコスト負担が重くなる、という判断からだ。
世界で自社パブリッシュ体制が確立できたのち、サードパーティのゲームを自社のパブリッシングネットワークに乗せ、パブリッシング支援事業を展開していく。現時点で、IP獲得や海外有力パブリッシャーとの提携という、「交渉力」の強化を進めている。社員削減を進めるなかで「ビジネス・ディベロップメント(事業開発)」の人員は増やしているという。「KLabがIPを獲得し、サードパーティと共同でゲームを作るという形もある」という。
現在、海外ではパブリッシャー経由でタイトルを配信しているが、今後は徐々に自社 パブリッシュに切り替えていく方針だという。この秋リリース予定の『Age of Empires: World Domination』は全世界で自社パブリッシュを実施する。「すでにコアファンがあり、ファンコミュニティがあるため、 ファンに訴求する経路が見えているため」という。
サードパーティにとって、パブリッシュでKLabと協力するメリットは何か、という質問には「運営ノウハウとプロモーションノウハウ、そしてIP取得ノウハウだ。また多くの資金を要するネイティブゲーム開発において、資金面の支援もありうる」と語った。
■関連資料
・決算説明会資料
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656