
国内外でアニメ市場の拡大が続く一方、業界の関心は近年、「制作本数」や「制作会社の人手不足」から、より根源的な課題へと移りつつある。それがアニメ化可能な原作IPの不足だ。
■制作本数は高水準、だが「次の原作」が足りない
日本のテレビアニメ制作本数は、1クールあたり70本、年間300本前後という高水準で推移している。配信プラットフォームの台頭により、国内放送だけでなく、グローバル配信を前提とした企画も増えた。一方で、ヒットが見込める原作IPは限られており、人気作品のアニメ化はすでに一巡しつつある、との見方が出ている。
とりわけ近年は、
・長期連載が続く人気漫画のストック消化
・ライトノベル原作のアニメ化集中
・ゲームIPのアニメ展開の一服
といった動きが重なり、「次に何をアニメ化するか」という企画段階での競争が激化している。
結果として、制作会社や出資者にとっては、制作力以上に“原作を確保できるかどうか”が事業成否を左右する構造になりつつある。アニメも手掛けるある上場企業が決算説明動画で出版社との関係強化を謳っていたのは象徴的だった。
■製作委員会モデルが原作争奪を加速
日本のアニメ産業の特徴である製作委員会方式も、原作不足を助長する側面を持つ。製作委員会では、出版社、広告代理店、放送局、配信プラットフォームなど複数のプレイヤーが出資し、リスクを分散する。一方で、委員会に参加するためには「原作」「資金」「販路」など、明確な役割が求められる。
この中で、原作を保有する出版社やIPホルダーの発言力は年々高まっている。原作を持たないプレイヤーは、人気IPの獲得競争に参加せざるを得ず、結果として企画コストの上昇や条件の悪化につながるケースも少なくない。
■原作IPを内製するエディアのポジション
こうした構造変化の中で、エディアの立ち位置は特徴的だ。同社は、ライトノベル・コミックを中心に自社IPを継続的に創出し、出版子会社である一二三書房などを通じて原作IPを内製できる体制を持つ。
出版事業は、短期的な爆発力こそ限定的だが、
・シリーズ化によるIPの育成
・電子書籍による長期販売
・アニメ化前後での売上増
といった特性を持つ。エディアはこの出版基盤を活かし、アニメ製作委員会に「原作提供+出資者」として参加する戦略を取る。
出版社からアニメへという動きは、アニメスタジオを買収したアルファポリス、幹事会社としてアニメプロデュースも行うオーバーラップ、一部大手出版社が先行しているが、エディアも単なる原作供給にとどまらず、出資者として関与することで、放映後のグッズ、電子書籍、海外配信といった二次・三次利用まで含めた収益最大化を狙う構えだ。

■アニメ事業は“短期の利益”ではなく“IP価値の増幅装置”
アニメ事業は、企画立ち上げから放映までに数年を要し、制作費も高額になる。短期的な収益貢献という観点では、オンラインくじや電子書籍と比べて不確実性が高い。
しかし、業界構造を踏まえると、アニメはIP価値を一気に押し上げる増幅装置として機能する。アニメ化によって知名度が飛躍的に向上し、原作の販売部数増加、グッズ展開、海外配信、イベント開催など、複数事業へ波及効果が広がる。
エディアが想定する回収期間は約6年と長期だが、これはアニメを単体事業としてではなく、IPエコシステム全体の中核として位置付けていることの表れといえる。

■原作不足時代における「持つ者」の強み
原作不足が進む中、アニメ業界では「制作会社」や「配信プラットフォーム」以上に、原作IPを持つ企業の戦略性が問われる時代に入りつつある。
エディアは、出版による原作創出、オンラインくじやグッズによるマネタイズ、ゲーム化やイベント展開によるIP拡張をすでに実行してきた。アニメ事業への本格参入は、これらを束ねる“最後のピース”ともいえる。
制作本数が多いだけでは差別化できない現在のアニメ業界において、原作を内製できる企業がどこまで持続的にIPを育てられるか。エディアの取り組みは、その一つの試金石となりそうだ。

会社情報
- 会社名
- 株式会社エディア
- 設立
- 1999年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 賀島 義成
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 売上高36億700万円、営業利益2億6200万円、経常利益2億3700万円、最終利益2億3400万円(2025年2月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3935
会社情報
- 会社名
- 一二三書房