
グリーホールディングス<3632>の2026年6月期 第2四半期決算は、売上高は127億円、営業利益は4億円、経常利益は5億8000万円、最終利益1億5000万円と前年同期比、前四半期比で減益となった。為替差益の計上もあり、経常利益は営業利益を上回った。4セグメント(ゲーム、VTuber、IP、DX)の合計では売上高121億円、営業利益6億円となり、収益性改善により想定を上回る水準で着地した、としている。
大幅な減益となったが、固定費は前四半期比で約6億円増加したことによる。人件費の一過性増加や、コンシューマーゲーム開発およびVTuberプロダクション事業への先行投資が主因という。
・売上高:127億0600万円(前四半期比0.5%減)
・営業利益:4億円(同62.6%減)
・経常利益:5億8200万円(同61.0%減)
・最終利益:1億5300万円(同85.9%減)

■ゲーム事業:売上71億円・営業益5億円 超大型タイトル開発を継続、FY26新作は3Q発表へ
・売上高:71億5000万円(同5.0%減)
・営業利益:5億円(同36.0%減)
ゲーム事業は売上高71億円、営業利益5億円。収益認識の異なるタイトル構成比の変化により売上は微減となったが、前回想定からは改善した。
同社は、ゲーム事業を「長期投資事業」と位置づける。現在、超大型IPのライブサービスゲームを複数本開発中で、投資を継続しながらも黒字を確保している点を強調した。



特に注目されるのが、FY26リリース予定のコンシューマーゲームだ。四半期あたり2~5億円規模の開発投資を行っており、第3四半期中に正式発表を予定しているという(※決算発表の翌日に発表した『アナザーエデン ビギンズ』のことと思われる)。パイプライン自体に変更はなく、27年以降の大型IPライブサービス案件も進行中という。

▲パッケージゲームとライブサービスゲームの損益を合わせると4000万円の黒字にとどまるが、ブラウザゲームの利益をあわせてセグメント利益5億円となっている。

一方、既存タイトルの足元推移を保守的に織り込み、通期見通しは下方修正した。第3四半期は主要タイトルのプロモーション投資や開発本格化により、営業利益は微減見通しとした。
【通期見通し】
・売上高:303億円(前回予想354億円)
・営業利益:29億円(同34億円)

中期計画では、新規タイトルの貢献により26年度を底に反転を目指す構えだ。短期的な既存タイトルの変動はあるものの、将来のヒット創出に向けた仕込みは着実に進んでいる。

■VTuber事業:過去最高売上、営業益20億円見通し REALITYのマネタイズ多角化へ
・売上高:22億7000万円(同6.0%増)
・営業利益:2億円(同42.0%減)
VTuber事業は過去最高の四半期売上を記録した。プロダクション事業の急成長が牽引し、イベントやグッズ販売の拡大でセールスミックスも改善した。

プラットフォーム「REALITY」は安定収益を生みつつ、新たなマネタイズポイントの検証を開始したそうだ。従来のアバター課金・ギフティングに加え、グッズ販売やイベント収益化機能を導入し、所属タレントに限らず一般配信者にも展開する方針だ。法人向けマーケティングソリューションも開始している。

通期では売上高109億円、営業利益20億円(前年比約2倍)を見込む。プロダクション事業は年度末に単月黒字化、来期通期での利益貢献を想定しており、成長ドライバーとしての存在感を強める。
【通期見通し】
・売上高:109億円(同116億円)
・営業利益:20億円(同18億円)

■IP(アニメ)事業:黒字化、シリーズ積層モデルを構築 『無職転生』ゲーム化も決定
・売上高:5億1000万円(同41.0%増)
・営業利益:6000万円(前四半期は8000万円の損失計上)
IP事業は売上5億円と前四半期からの40%増収と大きく伸び、営業黒字に転換した。前回期ずれしたアニメ配分収益が計上されたことが主因だ。

同社のアニメ戦略は、「版権収益」と将来的な「制作収益」の二層構造を目指しているという。特に版権収益では、新作単発型ではなく、第2期・第3期へとシリーズ化され長期的に収益が積み上がる“ミルフィーユ型"構造を志向している。
出資作品の投資回収は概ね計画通りに進行している。さらに、出資アニメである『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のスマートフォンゲーム『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ クロニクル・オブ・エコーズ』の配信が決定した。これはIP事業セグメントのアニメ事業収益として計上される予定で、来期以降の収益貢献が見込まれる。
また、アニメ制作機能の獲得については内製・M&Aの両面で検討しており、2~3年以内の実現を目指す。制作ラインを自社でコントロールすることで、有力作品のプロデュース力を高める狙いだ。

マーチャンダイジング事業は仕込み段階で、来期からの寄与を見込む。

【通期見通し】
・売上高:21億円(同22億円)
・営業利益:0(黒字)(同0:赤字)※いずれも1000万円以下

■DX事業:エンタメ特化型で成長継続、AI進展も影響限定的
・売上高:18億4000万円(同4.0%減)
・営業利益:1億8000万円(同32.0%減)
DX事業は売上18億4000万円、営業利益1億8000万円。大型案件のあった前四半期比では減少したが、ベースラインは着実に積み上がっている。

同社のDXコンサルは、基幹系ではなく「エンドユーザー向けサービス」「エンターテインメント開発支援」に特化。生成AIの進化については、定型的保守業務には影響が出る可能性を認めつつも、“ユーザーの心を動かす"領域では人間のクリエイティビティが不可欠とし、現時点でネガティブな影響は限定的との見方を示した。またロールアップ型M&Aも視野に入れ、非連続成長を目指す。
【通期見通し】
・売上高:85億円(同89億円)
・営業利益:9億円(同7億円)

■投資事業
・売上高:6億円(同27%減)
・営業損失:2億円(前四半期は損失0)※1000万円以下の損失計上
投資事業については、当四半期の説明は限定的にとどまった。投資損益は評価益やEXITの有無によって振れ幅が大きく、業績のボラティリティ要因となりやすいセグメントである。

■通期業績見通し
2026年6月期の通期の4セグメント(ゲーム、VTuber、IP、DX)の業績見通しについては、ゲーム事業における既存タイトルの足元動向を精査した結果、売上高を下方修正した。一方で、コストコントロールの徹底や継続成長事業(VTuber、IP、DX)の伸長を背景に、営業利益の確保を目指す方針としている。
・売上高:524億円(前回予想581億円)
・営業利益:44億円(同36億円)

ゲーム事業では、既存タイトルの推移を保守的に織り込みつつ、周年施策などに伴う一時的なマーケティング費用の増加も見込む。ただし、来期以降の成長に向けた大型IPライブサービスゲームやコンシューマー新作の開発は順調に進んでおり、将来収益の種まきは継続するとのこと。
VTuber事業は通期売上高109億円、営業利益20億円(前年比約2倍)を見込むなど、全社収益を下支えする存在へと拡大中。IP(アニメ)事業も概ね計画通りに進捗している。
■中期目標(中期経営計画)
4セグメントの中期目標については、今回の通期見通し修正を受けても変更はない。
【28年6月期中期目標】
・売上高:657億円(前期実績比22%増)
・営業利益:96億円(同81%増)

同社は、ボラティリティの高いゲーム事業への依存度を低減し、VTuber、IP、DXといった継続成長事業の構成比を高めることを中長期の基本戦略として掲げる。足元ではゲーム既存タイトルが一時的に軟調だが、継続成長事業は計画通り拡大しており、事業ポートフォリオの転換は着実に進行しているとの認識を示した。
IP事業ではシリーズ化による版権収益の積層モデルを構築し、さらにアニメ制作機能の内製化・M&Aも視野に入れる。VTuber事業はプロダクション黒字化を経て収益拡大フェーズへ移行。DX事業もロールアップ型M&Aを通じて非連続成長を狙う。
ゲーム事業では新規大型タイトルの投入により反転を図る方針であり、26年度を底として27年度以降の成長トレンド回帰を目指すシナリオに変更はないとしている。
短期的な業績変動と、中長期的な構造転換を明確に切り分けながら、安定収益基盤の拡大を進める構えだ。
会社情報
- 会社名
- グリーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高571億1100万円、営業利益48億6000万円、経常利益37億6000万円、最終利益11億9400万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632




