
東映アニメーション<4816>は、2027年3月期の連結業績について、売上高1000億円(前期比6.8%増)、営業利益250億円(同19.4%減)、経常利益256億円(同23.5%減)、最終利益181億円(同27.8%減)を見込んでいる。売上高は過去最高水準に迫る一方、利益面では中期経営計画や「VISION2030」に基づく戦略投資の拡大により減益を予想した。
同社は、業績予想の前提として、主力IPの新作映像展開や二次利用の活性化による売上拡大を見込む一方、新作映像投入による製作原価の増加や、将来成長に向けた投資負担の拡大を織り込んだとしている。
戦略投資は約150億円を計画しており、制作体制の強化やIP投資、海外展開、顧客接点の拡充などに充てる方針だ。具体的には、ベトナムでの新スタジオ設立準備や、全世界IPの北米マーケティング施策、ドバイ拠点の設立、海外ストア展開、在庫管理システムの導入などを進める。また、M&Aや出資案件の検討も加速させる考えだ。
■映像事業は大型作品投入で増収見込む
セグメント別では、映像製作・販売事業の売上高を344億円(前期比10.4%増)と予想する。劇場アニメの上映本数増加に加え、2027年以降に配信予定の大型作品の納品が進むことで、国内配信などの売上が大幅に伸びる見込みだ。
【TVアニメ作品】
・「ワンピース」
・「名探偵プリキュア!」
・「おしりたんてい」
・「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」
・「DIGIMON BEATBREAK(デジモンビートブレイク)」
・「ドラゴンボール超 ビルス」
【劇場アニメ作品】
・「映画名探偵プリキュア!」 (2026年9月18日公開予定)、
・「楽園追放 心のレゾナンス」(2026年11月13日公開予定)
一方で海外映像は197億円と前期から減少する見通し。足元の政治・経済環境や大型契約更新に関する不透明感を考慮し、保守的な前提を置いたという。
版権事業は508億円(同3.9%増)を計画する。国内版権では「ドラゴンボール」シリーズの新作テレビアニメ放送に連動した商品化施策などを見込むほか、海外版権では「ワンピース」を中心とした商品化権販売の好調継続を前提としている。
商品販売事業も、「ドラゴンボール」や「プリキュア」シリーズのショップ事業やEC事業の拡大により95億円(同19.9%増)を見込む。
■中計では総額1300億円超を投資
同社は中期経営計画において、「世界の子どもたちと人々に『夢』『感動』『希望』を届ける“創造企業"」を掲げる。2030年度に売上高2000億円、営業利益500億円超を目指しており、その実現に向けて大規模な投資を進める。
投資計画では、IP分野に約700億円、スタジオに約240億円、地域展開に約200億円、顧客接点に約190億円を投じる方針だ。制作能力の増強とグローバル展開を両輪に据え、IP創出とIP価値最大化の両方を強化する。
IP戦略では、「ワンピース」や「ドラゴンボール」といった世界的IPのさらなる拡大に加え、新規IP創出にも積極的に取り組む。海外発IPの育成やライブラリ活用も進め、海外売上比率70%を目指す方針を示している。
■2030年までに90作品超へ投資
作品投資では、2026年度から2030年度にかけて計90作品超のポートフォリオを想定する。既存IP向けが41作品、新規創出向けが53作品で、投資額は既存IP向け約485億円、新規創出向け約215億円を見込む。
特に世界市場向けの投資を重視しており、既存のグローバルIP強化に約300億円、新規創出の海外向け作品に約150億円を投じる計画だ。会社側は世界市場の主流である海外アニメーション分野への挑戦も進めるとしている。
今後の主なラインアップとしては、「ドラゴンボール超 ビルス」(2026年秋)、「THE ONE PIECE」(2027年2月配信予定)、「ガールズバンドクライ」完全新作映画、「MONKEY QUEST」、「怪獣デコード アイダラの指輪」などを挙げている。ゲーム分野でも「ドラゴンボール ゼノバース3」や「ガールズバンドクライ First Riff」などの展開を予定している。
東映アニメはこれまで、「ワンピース」や「ドラゴンボール」といった世界的人気IPを軸に高収益体質を築いてきた。27年3月期は利益成長を一旦抑えてでも制作体制や海外事業基盤への投資を優先する姿勢を鮮明にしており、次の成長ステージに向けた先行投資の一年となりそうだ。




