家庭用ゲーム大手、第3四半期決算まとめ リピート好調のカプコンが力強い伸び Rovio減損で損失計上のセガサミー戦略転換 光るバンナムHDのIP戦略

家庭用ゲームソフト大手6社の決算が出揃った。本業の儲けを示す営業利益が増益だったのは3社だった。カプコン<9697>とスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>、コナミグループ<9766>が増益となった一方、コーエーテクモホールディングス<3635>、セガサミーホールディングス<6460>、バンダイナムコホールディングス<7832>が減益となった。ゲーム事業にフォーカスしても同様の状況だった。

【ゲーム事業のみの業績】

今期は、第4四半期に期待の新作を投入するため、第4四半期に売上、利益が集中する会社が多いとみられるが、第3四半期までで明暗を分けたのはリピート販売やカタログタイトルの販売状況だ。これらは前期以前に発売したゲームであるため、開発費やマーケティング費用の計上が完了しており、販売の単価こそ下がる傾向にあるものの、新作タイトルに比べて収益性が高い。セールといった施策だけでなく、映像やホビー、新作発表効果など、クロスメディアなど「IP」として運用することで効果を発揮したようだ。
総じて見ると以下のような傾向があった。
【既存(カタログ / リピート)タイトルによる収益の下支え】
多くの企業で、過去に発売した既存タイトルのデジタル販売が堅調に推移し、利益の源泉となっている。カプコンは大型タイトルの発売を控えていたが、リピートタイトルの販売本数が大きく伸長して過去最高を達成し、スクウェア・エニックス・ホールディングスもカタログタイトルの売上が前年を上回ったことで増益を実現している。
【IP(知的財産)の多面展開とグループ横断の相乗効果】
ゲーム事業単体に依存せず、強力なIPを軸とした多角的なビジネス展開が業界全体のトレンドとなっている。バンダイナムコホールディングスは「ガンダムシリーズ」を映像作品、プラモデル、カードゲーム、アミューズメントなどでグループ横断展開し売上を拡大させた。カプコンやコナミグループも、主力IPとeスポーツ、映像展開などを連携させ、IPのブランド力向上と収益拡大を図っている。
【新作タイトルの不確実性とタイトル編成によるボラティリティ(変動性)】
大型新作の有無やヒットの状況が業績に直結する傾向が強い。バンダイナムコホールディングスやスクウェア・エニックス・ホールディングスは、前年に大型タイトルがあった反動等による「タイトル編成の違い」が売上や利益に影響を及ぼした。セガサミーホールディングスは、フルゲームやF2P(基本プレイ無料)新作が想定を下回ったことを課題として挙げている。
【事業ポートフォリオと投資戦略(M&A)の明暗】
ゲーム事業への依存度が高い企業がある一方で、バンダイナムコホールディングスはトイホビー事業が、コナミグループはスポーツ事業やアーケードゲーム事業が業績を力強く牽引する「ポートフォリオ経営」が強みを発揮している。また、多くの企業が堅調な業績を維持する中、セガサミーホールディングスはM&Aで買収した企業ののれん減損損失等により巨額の赤字を計上し、大型M&Aを当面凍結するという、他社とは異なる厳しい戦略の転換を余儀なくされている。
■各社の第3四半期決算概況
【バンダイナムコホールディングス】
・業績: 売上高1兆0022億4300万円(前年同期比4.9%増)、営業利益1573億9500万円(同12.2%減)。
・概況: 第3四半期として初めて売上高1兆円を突破した。トイホビー事業では『ガンダムシリーズ』(ガンプラ、カードゲームなど)の拡大に加え、『DRAGON BALL』『ONE PIECE』が高水準を維持し、『たまごっち』関連商品(『Tamagotchi Paradise』等)も人気を集めた。デジタル事業(ゲーム)では、新作の『ELDEN RING NIGHTREIGN』や『たまごっちのプチプチおみせっち おまちど~さま!』『デジモンストーリー タイムストレンジャー』が好調だったものの、前年同期とのタイトル編成の違いにより減益となった。一方、ネットワークコンテンツでは新作『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』が好調に推移している。映像音楽事業では新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が新たなファン層を獲得し、グループ全体に波及効果をもたらした。
【セガサミーホールディングス】
・業績: 売上高3352億3200万円(同4.0%増)、営業利益198億4400万円(同54.6%減)。
・概況: エンタテインメントコンテンツ事業において、買収したRovio社(主力IP『アングリーバード』)ののれん等の減損損失を計上し、大幅な最終赤字に転落した。コンシューマ分野では新作『Football Manager26』や『ソニックランブル』を投入したものの想定を下回った。今後は新作『龍が如く 極3/ 龍が如く3外伝 Dark Ties』や『プロサッカークラブをつくろう!2026』の展開に注力する。一方、遊技機事業は減益だが、パチスロ『スマスロ 化物語』、パチンコ『e 北斗の拳11暴凶星』等が計画を上回っており通期では大幅な増益となる見通し。第4四半期には『スマスロ 北斗の拳 転生の章2』等の主力タイトルを投入するとのこと。
【カプコン】
・業績: 売上高1153億1500万円(同29.8%増)、営業利益543億0200万円(同75.1%増)。
・概況: 全てのセグメントで同増収増益を達成した。中核のデジタルコンテンツ事業では、新作として『カプコンファイティングコレクション2』『鬼武者2』『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』などを発売した。特筆すべきはリピート(既存)タイトルで、『ストリートファイター6』(累計600万本突破)や『バイオハザード RE:4』『バイオハザード ヴィレッジ』『デビル メイ クライ5』などが続伸し、販売本数を大きく押し上げた。前期発売の『モンスターハンターワイルズ』は累計1100万本を突破している。モバイルでは『バイオハザード サバイバルユニット』が累計300万DLを突破した。
【コナミグループ】
・業績: 売上高3530億2000万円(同13.6%増)、事業利益1018億1700万円(同16.8%増)。
・概況: 主力のデジタルエンタテインメント事業が引き続き好調に推移し、利益も2期連続の過去最高を更新した。「eFootball」は累計9.5億ダウンロードを突破し、eスポーツ大会「FIFAe World Cup 2025」の開催などを通じてグローバルで存在感を高めた。家庭用・モバイルでは「桃太郎電鉄」シリーズの新作投入や、「プロ野球スピリッツA」「実況パワフルプロ野球」など長期運営タイトルの周年施策も寄与した。アーケードゲーム事業では、アニメ初のアーケードゲーム『鬼滅の刃 日輪バトルスラッシュ』を出展したほか、メダルゲーム『桃太郎電鉄ワールド ~地球もメダルもまわってる!~』や『カラコロッタ トロピカルリゾート』を市場に投入して好評を得ている。
【コーエーテクモホールディングス】
・業績: 売上高517億2900万円(同1.6%減)、営業利益145億7100万円(同3.3%減)。
・概況: オンライン・モバイル分野の既存タイトル減少により第3四半期累計では減収減益となった。オンライン・モバイル分野が既存タイトルの反動減により減収となったことや人件費などの先行投資が響いた。しかし、第3四半期単独で見ると、コンソール・PCで大型新作『真・三國無双 ORIGINS』や『ゼルダ無双 封印戦記』(累計出荷100万本突破)を発売し、業績は前年同期を大幅に上回った。また、パッケージゲームでは『三國志8REMAKE with パワーアップキット』『Winning Post102026』を発売予定。モバイル・オンライン分野では、新作『キングダム 覇道』の配信を開始した。第4四半期には『仁王3』をはじめとした複数タイトルの発売を予定している。
【スクウェア・エニックス・ホールディングス】
・業績: 売上高2154億5500万円(同13.3%減)、営業利益463億8700万円(同39.0%増)。
・概況: HDゲームにおいて前年に『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を発売した反動により、新作からの売上が減少した。また、MMO(オンラインゲーム)においても前年に『ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー』を発売した反動で減収減益となった。しかし、新作タイトルの販売が底堅く推移したことや高採算のカタログタイトルの売上が前年を上回ったこと、さらにスマートデバイス・PCブラウザ等における決済手段の多様化など運営コストの最適化により、大幅な増益を達成している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1696億400万円、営業利益657億7700万円、経常利益656億3500万円、最終利益484億5300万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3245億0600万円、営業利益405億8000万円、経常利益409億3900万円、最終利益244億1400万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4216億200万円、営業利益1019億4400万円、最終利益746億9200万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高831億5000万円、営業利益321億1900万円、経常利益499億8800万円、最終利益376億2800万円(202年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 浅古 有寿
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆2415億1300万円、営業利益1802億2900万円、経常利益1864億7000万円、最終利益1293億100万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4289億4800万円、営業利益481億2400万円、経常利益531億1400万円、最終利益450億5100万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460




