
松竹<9601>が公表した2026年2月期第3四半期(25年3月1日~11月30日)の決算は、映像関連事業と演劇事業の好調を背景に、大幅な増収増益となった。映画興行の回復に加え、歌舞伎座を中心とした演劇事業の安定的な集客が利益を押し上げ、通期業績予想も上方修正されている。
■売上高は約25.0%増、営業利益は前年差50億円超の改善
第3四半期累計の連結売上高は747億5600万円と、前年同期比で25.8%増加。営業利益は54億9600万円と、前期の7400万円から大きく改善し、事実上のV字回復を果たした。経常利益は56億1000万円、最終利益は49億6400万円と、いずれも大幅な増益となっている。
【第3四半期の業績】
・売上高:747億5600万円(前年同期比25.8%増)
・営業利益:54億9600万円(同7327.0%増)
・経常利益:56億1000万円(前年同期は41億9600万円の損失計上)
・最終利益:49億6400万円(同10億1800万円の損失計上)
■映像関連事業が収益成長を牽引
セグメント別では、映像関連事業が売上高410億900万円(同35.8%増)、営業利益24億3900万円(前年同期は5億4800万円の赤字)と、全体成長を牽引した。
劇場運営ではヒット作に恵まれたことに加え、売店部門も好調を維持し、売上高は249億8600万円と大幅に増加。映画配給では、「Snow Man1st Stadium Live Snow World 映画館生中継!!」や「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX」、「事故物件ゾク 恐い間取り」などが動員を伸ばした。
また、映像版権許諾事業では、「ババンババンバンバンパイア」「366日」「事故物件ゾク 恐い間取り」などがAmazon Prime Videoで独占配信され、定額見放題サービス向けライセンス収入が堅調に推移した。
■歌舞伎座を中心に演劇事業も回復基調
演劇事業は売上高201億8900万円(同17.9%増)、営業利益12億8500万円と、前年から大きく改善した。歌舞伎座では尾上菊五郎・菊之助の襲名披露公演をはじめ、新作歌舞伎「火の鳥」や三大名作の上演が好評を博し、高い稼働率を維持した。
新橋演舞場や大阪松竹座、南座での公演も順調で、劇場運営全体の売上高は146億円に達している。シネマ歌舞伎も新作が想定以上の動員を記録し、安定した収益源として機能した。
■不動産は安定収益を確保、その他事業も拡張
不動産事業は売上高110億2400万円と5.6%の増加となった一方、営業利益は賃料改定などの影響で8.7%減の41億5400万円とやや減少した。ただし、「歌舞伎座タワー」を中心とした高稼働の維持や、東銀座エリアでのエリアマネジメント活動を通じ、資産価値向上に注力している。
その他事業では、「劇場版 忍たま乱太郎」や「すみっコぐらし」関連の劇場プログラムやキャラクター商品が貢献し、営業利益1億1800万円と黒字転換。イベント事業やゲーム事業(東京ゲームショウ2025への初出展)など、新たな収益機会の創出も進められている。
■通期業績予想を上方修正、配当は30円を維持
好調な業績を受け、松竹は2026年2月期の通期連結業績予想を修正。売上高は970億円で据え置いたものの、営業利益は55億円、経常利益は57億円、最終利益は50億円へと引き上げた。
【26年2月通期の業績予想の修正】
・売上高:970億円→970億円
・営業利益:43億円→55億円
・経常利益:45億円→57億円
・最終利益:40億円→50億円
・EPS:291.03円→363.80円
■映画・演劇ともに豊富なラインナップを控える
第4四半期以降も、「映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』」や「ヤマトよ永遠に REBEL3199」など話題作の公開が予定されているほか、歌舞伎・演劇公演も各劇場で多彩な演目が控えている。
東宝や東映に比べて収益回復が遅れていた松竹も、映像と演劇の両輪がかみ合い始め、コロナ禍からの正常化局面にようやく追いついたと言えそうだ。同業が高い成長を示す中、今後、松竹がどういった成長軌道を描いていくのか大いに注目される。
会社情報
- 会社名
- 松竹株式会社
- 設立
- 1920年11月
- 代表者
- 代表取締役会長 会長執行役員 迫本 淳一/代表取締役社長 社長執行役員 髙𣘺 敏弘/代表取締役 副社長執行役員 武中 雅人
- 決算期
- 2月
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9601