2015年11月12日(木)~15日(日)、韓国釜山広域市のBEXCO において韓国最大のゲームショウ「G-STAR2015」が開催。本稿では、ネクソン<3659>の新作モバイルゲーム『野生の地:Durango』の試遊レビュー・開発者インタビューをお届け。
■開拓型オープンワールドMMORPGがモバイルで…
本作では、『マビノギ』や『マビノギ英雄伝』を開発したディレクター、イ・ウンソク氏の新作タイトル。謎の事故で空間がねじれ、現代から先史時代へワープしたプレイヤーが、未開拓の土地を切り開き、 他のプレイヤーとともに仮想社会を作り上げていく開拓型オープンワールドMMORPG。プレイヤーは生き残りをかけて、探険、狩り、コミュニティの構築など多様なサバイバルゲームが楽しめる。
ネクソンコリアの開発スタジオ「WHAT! STUDIO」は、2012年から本作を開発している。しかし、今回のバージョンでは、その内容にさらに磨きがかかっており、実現困難と言われてきたゲームスタイルがいよいよ現実味を帯びてきている印象を持った。
また、実際の自然現象をモチーフにした生態系シミュレーションにより、多様な地形と気候、そしてその風土に合った植物や鉱物がゲーム内に存在することによって、現実感溢れる生き生きとした世界がゲーム内で構築されている。プレイヤーはゲーム内の世界で生存、探険、狩りを繰り返したり、コミュニティを構築したりすることで、社会を形成していく。現代人の経験と知能を持ちながらも活用できる文明が何もない状況で、ゲーム中で様々な経験をし、新たな物事を見つけていく ことで、より早く社会を構築することが可能になるのだ。
その過程において、恐竜を含めた野生動物はもちろん、他の社会(NPC または他のユーザー)と対立して戦ったり、仲間にしたり、協力し たりしながら領域を広げていく。さらに、料理、ファッション、 建築、牧畜、リーダー制度、コミュニティなど生活に密着した多 様なコンテンツが用意されており、プレイヤーの好みに合わせて 社会を発展させることもできる。
■奇妙で不気味なプロローグをいち早くプレイ
今回の「G-STAR 2015」で初めて試遊台が設けられた『野生の地:Durango』。今回プレイできるテストプレイ版では、本作のプロローグにあたるパートを遊ぶことができ、ゲームの操作方法や世界観、キャラクターのカスタマイズなどが体験可能だった。
■ プロローグ
現代社会を生きるプレイヤーは、旅行客として列車に乗車。プレイヤーの乗った列車は目的地へ向かう途中、謎の事故にあってしまう。列車のもとに荒々しい恐竜がやってきて乗客を攻撃。プレイヤーは皆の命を救うため、武器を手にして恐竜に立ち向かう。こうした過程で列車とプレイヤーは不慣れな地にワープし、『野生の地:Durango』の本舞台になるサバイバルワールドにやってきたのだ。
▲プレイヤーは列車に乗車する旅行客。はじめに老若男女いる旅行客から、自身が動かすキャラクターを選ぶことになる。
▲操作方法は、画面上をタップすると出てくるパッドで移動が可能。
▲プロローグでは、右画面に表示されるミッションを通して進めていく。特定のキャラクターとの会話では、きちんとイラストが表示されて、それ以外のキャラクターの際は近づくと自動的に会話の吹き出しが出てくる形。
▲突如、謎の事故に巻き込まれてしまうプレイヤーたち。列車の内装や突然生えてきた木々など、クオリティの高いグラフィックに終始目を奪われることだろう。
▲遂にモンスターである恐竜の登場。戦闘では、対象にターゲットを決めると自動的に攻撃を繰り出していく。回避やスキルなどは右画面のボタンを通して行える。
▲そして、謎の巨大な恐竜が乱入して事態は悪化……と、ここでプロローグが終了。
▲最後にアバターの設定ができた。
なお、当日は『野生の地:Durango』を試遊すると、韓国で12月9日より開始となるCBTへの参加チケットが渡された。「G-STAR」に参加できないユーザーの方には、「G-STAR」閉幕後クローズドベータ版へのアクセスキーを数量限定にて追加配布する予定という。
■「MMORPGの概念を根底から覆す」…ユーザー個々の役割にも注目
「G-STAR」会期中に本作を手掛けたイ・ウンソク氏のメディア向け合同インタビューが行われた。
そもそも本作は、「開拓プレイが出来る新しい形のMMORPG」というビジョンのもと開発されたタイトル。従来のMMORPGは依頼を受けて敵を倒したり、お使いに行かされたりとミッション制のところを、イ氏は「ユーザー自らが目的を見つけて開拓していく。MMORPGの概念を根底から覆すゲームになっている」と説明した。つまり、ゲームの世界にはあからじめ作られた街が存在せず、自分たちが荒地を直接開拓し、私有地を確保したり共有したりしていくのだ。
物語は不思議な世界にワープするところから始まる。それが時代を超えた世界なのか、はたまた別の星に移動したのか明確な世界観は分からないという。物語は存在するようだが、お膳立てした一直線のメインストーリーは存在せず、各所に物語の真相に近づく要素が随所に散らばっているとのこと。イ氏は「ゲーム開発者側が物語を提供するのは面白くない。ユーザー自らが体験して物語が紡がれていくもの」と持論を展開した。ちなみに“Durango(デュランゴ)”というタイトルの由来は“水の地”という意味合いで、メキシコに実在する地域の名前でもあるという。「本作では水が特別な資源。生きていくために必要だし、交通インフラとしても使える。そのため、水を語源としたこの名前にした」とイ氏。
ワールド規模は、すべてがクライアントに入っているわけではなく、サーバでリアルタイムに処理していくため、言うなれば無限のスペースを作ることが可能とのこと。実際に10km×10kmの大陸でライブテストもできたというが、ゲームとしての面白味を追求した結果、大きな大陸ではなく小さな島単位に分けることにしたようだ。
では、具体的にどのようにゲームは進行していくのか。試遊版で描かれたプロローグを終えると、今度は島から脱出するチュートリアルに移るという。ここでは、基本的なアクションやゲームサイクルを学んでいき、最終的に仲間たちとイカダを作成し、島から脱出するとチュートリアルが完了となる。その後、すでに友達が遊んでいた場合は、友達の名前を入力すると隣の島に流れ着き、イカダに乗っている仲間たちと進めることと、選択できるようになっているようだ。
ここからは本編に移っていくのだが、島には俗に“安定した島”と”不安定な島”が存在するという。安定した島は、いわゆるホーム画面のような場所で、おもにユーザーが長く住まうところであり、ゲームで死んだ場合も復活する場所となっている。そして不安定な島とは、言わばダンジョンに赴くといった形が正しいだろう。ここでは長く滞在することができなく、疲労度に気を配りながら有用な資源を獲得して安定な島に帰っていくことになる。面白いのが、不安定な島は毎回同じ場所ではなく、1週間〜2週間でまた別の島に切り替えるというセッション制をとっており、毎回新鮮な気持ちで遊べる。
エンドコンテンツとしては、私有地を拡大したり、部族を作り上げたりすることにあるようだ。後者の部族とは、いわゆるギルドのような存在。部族同士で領土を巡って対立するなど、GvG要素も存在するという。従来のMMORPGとは異なるのが、全員が戦闘に特化したポジションにならなくてもいいところ。たとえば、ひとりは部族のインフラを支える農業施設に特化し、ひとりは商業施設に特化するなど、各々が部族における担当を務めていることで強固な部族が作られていく。「各々の方向性により、様々な形の部族が出来上がることだろう」とイ氏は言葉を添えた。
これだけクオリティの高いMMORPGにも関わらず、何故PC向けではなくモバイルでリリースされるのか。イ氏はモバイル技術の発達を取り上げながら、「MMORPGをいつでもどこでも遊べるようにしたい」との思いでモバイルリリースを決めたという。なお、あくまでも非同期の形ではなく「モバイルでフルMMORPGを目指している」と意気込みを語ってくれた。
また、具体的なビジネスモデルは決まっていないようだ。大きなポリシーとしては、10年以上続くサービスにしていくため「目先の収益を考えるような、無理なビジネスモデルにはしない」とコメント。
韓国では、12月よりβテストが開催される。その後も何度かテストを行い、グローバルβテストも計画しているという。日本リリースの時期は未定。
■『野生の地:Durango』
(C)2014-2015 NEXON Korea Corp.
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659