電通<4324>は、テクノロジー起点の新しい表現開発に取り組む制作集団「Dentsu Lab Tokyo」(電通ラボ東京)が、CGキャラクターやロボットの動き(モーション)をデータ化したモーションデータの編集・再生を柔軟かつ効率的に実現できる新技術「MotionScore」(モーションスコア)を開発(特許出願中)したことを発表した。
この「MotionScore」は、CGキャラクターやロボットの動きを、パラパラ漫画のような画像(コマ)の羅列として記録・管理するのではなく、音楽における楽譜のように、テンポごとのポーズを記号化して記録・管理する。
特に、音楽(BGM)に同期させたモーションデータを編集する場合、「MotionScore」は音楽データの国際規格「MIDI」に組み込むことができるため、テンポの異なる音楽に変えても、CGキャラクターやロボットがそのテンポにピタリと合ったモーションを再現でき、編集の効率と自由度が格段に向上する。また、これまで困難であった生演奏とCGキャラクター/ロボットによるダンスでの共演や、その場にいるディスクジョッキー(DJ)ならぬダンスジョッキー(ダンス映像をその場で振り付け再生する人)が即興でダンスをアレンジしたりするなどの展開が可能になる。さらに、プロの振り付けを基にしたダンス教育への活用も視野に入れている。
活用の第1弾として、既にDJ機器メーカーへの採用が決定しており、3月11~20日には米国テキサス州オースティン市で開催される世界最大規模のIT技術展示会「SXSW」(サウス・バイ・サウス・ウエスト)の国際コンペティション「ReleaseIt at SXSW」にエントリー。日本企業初のファイナリストに選ばれた(最終審査は3月11日に行われる予定)。
また、今回の「SXSW」では、3月13~16日に開催される「SXSW Trade Show」において、オーディオデータからBPM(ビート・パー・ミニット=テンポを示す単位)を逐次検出するヤマハ<7951>の技術と連動し、CGキャラクターがダンスをするというデモンストレーションも行う。
電通では、音楽だけにとどまらず、歩行などのテンポのある人の動きを柔軟に再現できるこの新技術を、歩行サポートなどのヒューマン・オーグメンテーション(人間の能力を機械によって拡張させる技術)に活用していくことで、将来的には医療分野にも応用していけるのではないかと考えているとしている。今後は、CGキャラクターやロボットの動きに着目するハードウエアメーカーやソフトウエアメーカーなどとの連携を図りながら、「MotionScore」をさらに進化・発展させ、社会に普及させていくための活動を推進していく方針だ。