【新連載】Google先生に聞いてみよう! 第1回「Google Play ストアでゲームアプリを展開するとき、気を付けるべきポイントはどこですか?」
数多くのゲームアプリがリリースされている昨今、どれだけユーザーの目に触れさせるかなど、プロモーション手法の難しさが取り沙汰されている。頭ひとつ飛び抜けるためには、的確なユーザー層に向けた広告、それに伴うクリエイティブの創出など、日々デベロッパーの悩みは尽きないことだろう。
そこで本連載では、悩めるデベロッパーに代わって、実際にGoogle Play ストアや、Android、クラウドプラットフォームを展開するGoogleに直接質問をぶつけてきた。
■評価(★マーク)が低いアプリの巻き返しは
【今回のお悩み】
「Google Play ストアでゲームアプリを展開するうえで、気を付けるべきポイントはどこですか?」
Google Play Apps&Games コンテンツ開拓担当
国際ゲーム戦略統括部長 兼 日本統括部長
吉嗣 浩隆 氏
Google Play Apps&Games コンテンツ開拓担当
ストラテジック パートナー デベロップメント マネージャー
金 清司 氏
――:本日はよろしくお願いします。はじめにおふたりの業務担当を簡単に教えてください。
吉嗣浩隆氏(以下、吉嗣):私はGoogle Playでゲームやアプリを展開するデベロッパーに対して、開発・運用を含むビジネス面を円滑に進められるよう様々なアドバイスを行う部署に所属しています。また、現在は新たなミッションとして、Google Playの一番の強みであるグローバルなプラットフォームであるという点を活かし、デベロッパーの皆様にビジネスの幅を広げていただけよう模索しています。
金清司氏(以下、金):私も同様に、Google Play コンテンツ開拓担当としてデベロッパー向けにビジネス面のサポートを行っています。そのなかでも、ゲームアプリに特化しています。
――:ありがとうございます。それでは早速本題ですが、「Android/Google Playでゲームを展開するうえで、気を付けるべきポイントや意識するべきことについて」、お聞きできればと思います。
吉嗣:まずAndroidがどういうものなのかを、きちんと把握することが大事です。たとえば、Android 搭載端末にはディスプレイに3つのボタンがあると思います。そこに描かれているバックボタンはOSに紐づいているため、アプリやWEB上で利用する際は、基本的には「戻る」ボタンと同じように動作します。
ですが、アプリ内では必ずしもすべての画面で「戻る」ことが出来るわけではありません。例えば、アプリ内でダイアログボックスが表示された際に、バックボタンを押すと「閉じる」と同じ動作にするなど、OS レベルの基本ルールに沿った形できちんと対応する必要があります。
このように、Android ユーザーの行動を想定しながら最低限のルールを理解した上で、アプリの画面遷移を作るようになど、デベロッパーには促しています。
――:ひとつのアプリを開発しているとはいえ、複数のOSで展開することを考えると、最低限各々の端末やUI・UXを理解することが大切だと。
吉嗣:ええ。これは必ず開発する際に覚えていただきたいポイントです。これを意識すれば、ユーザーがゲームアプリで遊んでいても違和感を覚えることはないでしょう。
UI/UX の基本ルールを理解いただくには、まずAndroid Developers サイトに掲載されている「Core App Quality Guidelines」をご確認ください。アプリの品質を保つために、引っかかりがちなポイントについてまとめています。
金:ゲームデベロッパーは、UnityやCocos2d-xなどのクロスプラットフォームエンジンを用いて開発されていますが、OSを分けて考えるということを見落としがちなところがあります。そこをGoogleとしては、Androidのユーザーにとって、より良い体験になるよう注意する点をガイドライン化しています。
――:とはいえ、あくまでも面白いコンテンツがあったうえでの施策かと思います。
吉嗣:大前提としてはそうですね。ただ、良いアプリにも関わらず、細かいUI・UXの不備によってきちんと評価されないのは、我々としても重大な機会ロスにつながります。
――:アプリストアでひときわ目が行くのは、ユーザーからの評価(★マーク)についてだと思います。Googleではデベロッパーに対してどのようなアドバイスをしていますか。
吉嗣:ゲームの面白さについてはもちろんですが、バグや不具合でログイン出来なくなるなど、低評価につながるような問題は、すぐに対応することで、高い評価につながる可能性があります。
金:ローンチの際に、日本は事前登録の文化がある国のため、一気にユーザーが集まる傾向があります。加えて、リセマラ(リセットマラソン – 初回無料のプレミアムガチャで希少価値の高いものが出るまで、再インストールを繰り返す行為)なども行われるため、サーバに負荷がかかり、ゲームが一日遊べなくなってしまうこともままあります。
ゲーム自体は面白いにも関わらず、結果として「重い(遅い)」「遊べない」「強制終了する」という印象を持たれて悪い評価が付いてしまう。
それらを解消するために、Google Playではデベロッパーに対して、アルファ版/ベータ版のように事前のユーザーテストが出来るような環境も用意しています。ここでは評価がつかないため、事前にユーザーからの声をもらったり、負荷テストを行ったりと、ローンチ後に陥る問題点を防ぐこともできます。
――:やはり評価(★マーク)が低いアプリは、当然のようにインストールには繋がらないのでしょうか。
吉嗣:いえ、評価自体はユーザーさんの好き嫌いで見られているかどうかで、インストールに繋がるかどうかは、アプリ自体のクオリティの良さに関わってくると思います。
金:評価が著しく低い場合は、面白さはもちろん、別の問題があるケースが非常に多いと思います。それこそクラッシュをたくさんしたり、不具合があるなど、やはりそれぞれ理由があります。良いコンテンツであれば、デベロッパーがきちんと評価を得られるように、最初から準備をする必要があります。
吉嗣:先ほども出たように「重い(遅い)」「遊べない」「強制終了する」…「だから★1」。これらの不具合は、Google Playが持つ事前のテスト版で確認をすることで本来は事前に対処ができるのではないかと思っています。
――:実際にゲームが面白くないものはさておき、ローンチ時に「重く(遅い)」が原因だった低評価のアプリが今後巻き返すことはよくあるのでしょうか。
吉嗣:巻き返しの可能性は十分あると思います。我々としては、「ユーザーのことを考えて事業を展開してください」と常にお伝えしています。例えばユーザーが不満に思っているポイントをケアすることで★1から★3に、不具合が修正された際には★5になることもあります。
――:なるほど。
金:また、不具合を修正したアップデート後、それらがきちんとユーザーに伝わらなければ意味がないので、コメント機能を使って修正した旨は周知した方がいいでしょう。きちんと伝えることで、ユーザーも「ちゃんと見てくれている。改善してくれているんだ」という前向きな印象にもつながりますし、何よりGoogleとしてはユーザーと対話できるような機能を用意しているので、積極的に使っていただけると嬉しいですね。
吉嗣:そうですね。たとえば、最新のアップデートで不具合を修正した際に、「bug fix」で済ませるのではなく、対応した場所をこと細かく書くことをお勧めします。その後、すぐに★1を付けているユーザーへフォローすることで、評価も変わることもあります。デベロッパーとユーザーとのやり取りが見やすいのも、Google Playで重宝されている特徴の一つです。
金:Google Playでは、評価が高いアプリのほうが、概ね収益性も高い傾向があります。そのため、デベロッパーはビジネスのためにも“評価を上げる”ための努力をすることは、すべての側面でプラスにつながります。
(第2回につづく)
(取材・文:編集部 原孝則)
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