【インテージ調査】『ポケモンGO』の利用実態を分析…M1層・F1層で利用率がジワジワ上昇 スマホ利用時間は23分純増、残りは他アプリから奪取

インテージは、8月3日、インターネットやテレビなどの広告・情報視聴と購買行動や生活者の属性情報の関係性を捉えることができる「i-SSP」(インテージシングルソースパネル)によって、スマートフォンアプリ『Pokémon GO』の利用実態分析を行い、その結果を公表した。

今回の調査では、「i-SSP」のログデータによって『Pokémon GO』がスマートフォンの利用実態にどのような影響を与えているかを分析した。『Pokémon GO』に関する集計対象期間は7月22日から24日としている。

(以下、プレスリリースより)

<分析結果のポイント>
1. 『Pokémon GO』の利用率は、リリース初日の22日から24日で23%(1000万人以上)に達する。これはFacebookやTwitterといった主要アプリに並ぶ利用率である。22日に突出して利用率が高かった10代では翌日には離脱が始まっているようだが、初代ポケモン世代のM1層・F1層(男女20~34歳)では利用率はジワジワと上昇している。

2.『Pokémon GO』の平均利用時間は46分(『Pokémon GO』の利用者ベース)であり、そのうちの23分は総利用時間として純増している(残り23分は他のアプリの利用時間から奪取している)。『Pokémon GO』利用者の利用時間を減少させていないアプリは、『Pokémon GO』と親和性が高いと思われるTwitterやInstagramであった。

3.『Pokémon GO』に関する検索行動を見ると、インストール後1時間以内は「ポケモン go」といった抽象的検索やダウンロードやアカウントに関する検索が多く、翌日や翌々日になると、より具体的な操作方法や攻略情報といった検索行動に変化する様子が浮かびあがる。


<分析結果の詳細>
1. インストール数/利用率の推移
『Pokémon GO』のインストール状況をリリース後3日間のスマートフォンアプリ接触ログにて確認した(図1)。 7月22日 10時に『Pokémon GO』アプリがリリースされると、インストール数が爆発的に発生し、7月22日の昼休みの時間帯がピークとなった。リリース後3日間(7/22~24)のインストールの内、約7

割がリリース初日に集中しており、リリース後24時間で延べインストール数が1,000万を超えたと推計できる。

[図1] 『Pokémon GO』インストール数の推移


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者: i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) 集計方法:Pokémon GOアプリの初回利用時点をインストールとみなし、時間帯ごとのインストール数を算出
(4) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウェイトバック

『Pokémon GO』の利用率の推移を確認すると、配信直後に上昇した後、昼休みの時間帯後に一旦落ち着くものの夕方以降利用率が上昇している。2日目以降も昼から夜の時間帯まで継続的に7%程度の利用率を維持している(図2)。延べ利用率としては3日間で23%にも達している。これは「Facebook」や「Twitter」に並ぶ利用率である(図3)。 

[図2]『Pokémon GO』利用率の推移


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者:i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) 集計方法:1時間内に1度でも利用があった場合に利用とみなし、1時間毎の利用率を算出
(4) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウェイトバック

[図3]『Pokémon GO』利用率と主要アプリ利用率の比較


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者:i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウェイトバック

つぎに、利用率の推移をメディアターゲット区分別に確認した(図4)。 

[図4] メディアターゲット区分別の『Pokémon GO』利用率の推移


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者: i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) 集計方法:1時間内に1度でも利用があった場合に利用とみなし、1時間毎の利用率を算出
(4) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウエイトバック

リリース初日は全時間帯でT層(15~19才の男女)の利用率が他の層より突出して高く、次いでM1層・F1層(20~34才の男女)と続いており、若年層の利用率が高いことが確認できる。しかしながら、リリース2日目以降、T層の利用率は減少している一方で、M1層・F1層がゆるやかに上昇しており、その差の乖離がなくなることが確認できる。T層はリリース日の盛り上がりの中でいち早くインストールしたものの、その後離脱が見られる。その一方で、初代ポケモン世代であるM1層・F1層が週末に腰を据えて楽しんでいることが確認できる。また、多層の利用率が減少する深夜帯においてもM1層では利用率が高く、寝る間を惜しんで『Pokémon GO』に”ハマっている“様子がうかがえる。

2.スマホ利用時間への影響
『Pokémon GO』リリース後(7月22~24日)の平均利用時間は利用者全体で46分である。これをメディアターゲット区分別に分析すると、前章で見られた若年における利用率が高い傾向を端的な数値として確認できる。 また、利用率ではT層が高いものの、利用者当たりの利用時間ではM1層がT層を上回っている。(図5) 

[図5] メディアターゲット区分別の『Pokémon GO』利用率と利用者当たりの平均利用時間


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者: i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)。
22日時点の『Pokémon GO』インストール者を『Pokémon GO』利用者としている
(3) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウエイトバック 

次に、上図のように長時間利用される『Pokémon GO』がスマートフォン総利用時間や他のアプリの利用状況にどの程度影響を与えているのかを紹介する。『Pokémon GO』リリース前後のスマートフォンの利用時間を、『Pokémon GO』利用者に絞ったデータで確認した(図6)。

 [図6] 『Pokémon GO』利用者のスマートフォン総利用時間のリリース前後比較


(1) 集計期間:直近の3週末平均(7/1~3、7/8~10、7/15~17)と7/22~24
(2) 集計対象者: i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)。22日時点の『Pokémon GO』インストール者を『Pokémon GO』利用者としている
(3) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウエイトバック

『Pokémon GO』利用者のスマートフォン総利用時間はリリース後、+23分(+9%)と急増し、そのうち『Pokémon GO』の利用時間が全体の18%を占めている。スマートフォン総利用時間に占める『Pokémon GO』プレイ時間の割合としてはM3層(29%)、F3層(50%)が大きい。普段ゲームをあまりしないM3層・F3層(50才以上の男女)はリリース前のスマートフォン総利用時間が比較的短いことから、『Pokémon GO』利用時間が大きく影響したと考えられる。

総利用時間として23分が増加した一方で、『Pokémon GO』利用者の平均利用時間(46分)の残る23分は他のアプリの利用時間から「奪った」と解釈することができる。では、『Pokémon GO』によって具体的にどのようなアプリで利用時間の増減が発生したかを、主要アプリの利用時間の推移によって検証する。(図7)

 [図7] 『Pokémon GO』利用者のスマートフォン総利用時間の比較


(1) 集計期間:直近の3週末平均(7/1~3、7/8~10、7/15~17)と7/22~24
(2) 集計対象者:7/22~24に「Pokémon GO」を利用したi-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウエイトバック

直近の3週末の平均利用時間と同水準で推移するアプリ(「Stayアプリ群」)であるTwitterやInstagramでは『Pokémon GO』に関する話題や写真が多く投稿されていることから、新しい話題のゲームの楽しみを友達に シェアするという楽しみ方がマッチして、利用時間の減少には繋がらなかったと考えられる。

一方で「Downアプリ群」では、同様のゲームカテゴリであるツムツムや動画視聴アプリのYouTubeなどで利用時間の減少が目立った。

3. 検索ログデータから見る「Pokémon GO」ユーザー
ここまではアプリの利用率や利用時間による分析を紹介した。ここでは、i-SSPの“検索ログデータ”を用いて『Pokémon GO』利用者の関心事や困り事を、インストール時点を基準にして時系列で紹介する。(図8)

 [図8] インストール後に『Pokémon GO』ユーザーが検索している言葉の区分別割合


(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月24日
(2) 集計対象者:集計期間中に「Pokémon GO」をインストールしたi-SSPスマートフォン計測モニター
(3) 対象ブラウザアプリ:スマートフォンのブラウザアプリ(Safari、Androidのデフォルトのブラウザ、Google Chrome)
(4) 検索語の抽出条件:「Pokemongo」や「ポケモンgo」など、明らかに「Pokémon GO」を示す言葉を含んだ検索レコード
(5) 区分の分類:検索ワードにより恣意的に判定し、分類を行った。また、同一ユーザーの同一経過時間区分内の同一検索ワードは重複をカットした。
(6) ウェイトバック:なし

インストール後1時間以内は、「ポケモンgo」などの言葉のみで抽象的に検索したレコードが47%と目立ち、浅い情報探索行動が多く見受けられる。また、ダウンロード関連(16%)やアカウント関連(14%)といったアプリの利用開始のための検索行動が目立つ。その後、時間が経過していくと抽象的な検索行動が減少し、より具体的な操作方法や攻略情報といった検索行動に変化している。

最後に、実際のアプリユーザーの検索行動を個人ベースで紹介したい。一例として、30代女性の検索行動を図示する。(図9)

[図9] 『Pokémon GO』インストール後の検索行動の例(30代前半女性)


アプリリリース後、1時間以内にアプリをインストールしている。検索行動としては、22日は抽象的な検索ワードによるブラウジングであったが、23日夜には「イーブイ」といった特定のポケットモンスター(キャラクター)の名前のような具体的な検索ワードでの検索行動になっている。アプリの利用時間を見ると、23日には累積で200分以上となり、検索を行いながら情報を収集してゲームを上手に進めていることがよく分かる。このように、検索ワードを見ることでアプリの中でユーザーがどのような状況にいるのかを垣間見ることが可能であり、アプリの利用ログと合わせて見ることで、さらに状況を理解することができた。

以上、『Pokémon GO』に関してi-SSPを用いたログデータによる分析を紹介した。弊社のクライアント企業含め、『Pokémon GO』への注目度が高いことから、引き続きアドホック調査などの弊社ソリューションと掛けあわせた分析にも取り組んでいく。

<調査概要>
調査方法:i-SSP(インテージシングルソースパネル)
調査対象デバイス:スマートフォン
調査実施機関:株式会社インテージ