サイバーエージェント<4751>の連結子会社CyberZは、6月6日、新宿・OPENRECスタジオにて、ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」(オープンレックティービー)において本日より受付を開始し、7 月上旬にスタートする動画配信者向け収益プログラム「OPENRECクリエイターズプログラム」についての説明会を開催した。
当日は、CyberZ取締役の青村陽介氏、同社のOPENREC事業部 開発責任者の中村智武氏が登壇。OPENREC.tvのこれまでの歩みや、「OPENRECクリエイターズプログラム」についての紹介を行った。本稿では、その様子をレポートしていく。
■OPENRECのこれまでの歩み
▲CyberZ取締役の青村陽介氏。
「OPENREC.tv」は、ゲームに特化した動画配信プラットフォームで、現在、iOS・Android向けに配信しているアプリ版を始め、PC / スマホに対応したWebバンなど、様々なOSや機種で展開している。
OPENRECとしてのサービスは動画録画SDKとして2014年に開始しており、現在のようなゲーム実況動画配信プラットフォームとしては2015年よりスタートしていると、青村氏はこれまでのサービスの歩みを紹介した。
また、現在のOPENREC.tvの状況については、2017年5月の時点でMAUが140万で、現在進行形でどんどんと増加している。また、OPENREC.tv立ち上げからの成長ぶりについては、本サイトで3月に公開した下記の関連記事を参考にしていただきたい。
【関連記事】
・【インタビュー】CyberZ山内社長が明かすOPENRECの急成長 DAUは13倍・MAUは110万人を突破 ライブ配信強化とスマホのeスポーツタイトル登場が契機
さらに青村氏はOPENREC.tvが持つ特徴として、下記の3点を挙げて紹介した。
1.フルHD、60fpsに対応した高画質ライブ配信可能な環境を提供
2.見ごたえのあるゲームコンテンツへのこだわり
(esports/オリジナル番組/プロゲーマー/配信者登録時の審査)
これまでに3回、現在vol.4を進行中の次世代esportsイベント「RAGE」では、6月10日に、ベルサール高田馬場にて、『SHADOWVERSE』『ストリートファイター5』『ウイニングイレブン2017』の3タイトルで頂点を競うGRAND FINALを開催。エイベックス・エンタテイメントとの協業により、esports市場のさらなる盛り上げと共にイベントとしてのエンターテインメント性を追求している。
▲タレントや声優、プロゲーマーを起用したオリジナル番組を多数展開。
そのほか、さまざまなジャンルで活躍するプロゲーミングへのスポンサードを行っている。本説明会では、実際に公式スポンサードを行っている相手として、Unsold Stuff Gaming、DetonatioN Gaming、TOPANGAの名前が挙げられたが、今後もまだまだ拡大していく予定とのこと。
さらに、配信者登録時の審査により、健全で良質な配信が行われる仕組みを構築していると紹介した。審査については、利用規約を順守できるかが基準となっており、過去にOPENRECで問題があったか、動画内に暴言があるかといった部分を確認しくという。なお、現在、配信権限を保持しているのは約7000名で、毎日20~30件の問い合わせがあるということが明かされた。
3.配信者様コミュニティを大切に
(OPENRECスタジオ、配信者オフ会、オリジナルスタンプ)
定期的にリアルな場で配信者が交流可能なオフ会を実施。配信者がスタッフに直接「こういった機能が足りない」と意見をぶつけられるため、メディアとの距離が非常に近く、サービス運営にもスピーディに活かすことができているとのこと。
また、配信者の新たな番組出演機会の創出や、配信手法の拡張としてOPENRECスタジオの貸し出しを行っている。
▲実際に収録が行われているOPENRECスタジオの様子。6体6のチーム戦が可能なスペースから、ひとりで配信できる個室まで、さまざまな環境が用意されている。また、配信の際にはスタッフの方のサポートも。
▲こちらはライブ配信中に視聴者が利用可能なスタンプ。人気配信者やRAGE出場選手など、種類を拡充している。
最後に青村氏は「(OPENREC.tvは)ゲーマーの皆さんが輝ける場であることがキーポイントになると思い、その強みを活かしていけるように磨いているという状況です」とコメントした。
■動画配信者向け収益プログラム「OPENRECクリエイターズプログラム」とは
ここからは、中村氏が「OPENRECクリエイターズプログラム」についての詳細を紹介。
▲CyberZのOPENREC事業部 開発責任者の中村智武氏。
「OPENRECクリエイターズプログラム」は、OPENREC.tvでのライブ配信や動画投稿を収益化することができる配信者向けプログラムとのこと。中村氏は、そもそもOPENREC.tvを展開している経緯として「ゲームの上手い人や、実況が上手い人が、より賞賛されるような場を作っていきたい」という想いがあると、本プログラム発足の意図を説明した。
▲プロゲーマーとしての活動を生活の一部に取り入れる方が増えてきたタイミングで、より実況者をサポートできる環境作りとして始動しているという。こちらのプログラムは7月上旬より開始し、収益化が可能になるとのことだ。
続いて、収益を上げる構造について、「配信画面上に掲載される広告」や「エール」によって発生した収益が、プログラムに参加している配信者に分配されると説明された。
▲これまでは著作権の関係で動画再生によるマネタイズは行っていなかったが、本プログラムでは、動画が再生される前に広告動画が流れるようになる。
一方、「エール機能」は、視聴者が有料アイテムを購入することで、配信者を応援することができる機能。メッセージを投稿することも可能で、一定時間チャット画面上に応援メッセージが掲載される。また、不適切なメッセージが表示された際には配信者が削除することが可能で、エールを購入したユーザーが応援したという履歴のみが残るとのこと。
【配信者への収益の分配について】
収益の分配については、まず全ての配信で発生した広告収益、エール収益が原資としてプールされ、そこから月ごとに視聴者数やランキング、獲得エール数などの活動実績において報酬が分配されていく。ここで注意したいのは、獲得したエールを直接受け取れるわけではないということ。
また、報酬は「OPENRECポイント」(仮想通貨)として付与され、こちらはエールの購入や任意のタイミングで現金として指定の銀行口座に入金してもらうことができる。ただし、報酬として付与されたものではない「OPENRECポイント」については、現金化ができない。さらに、月に1度以上の配信を行い、収益額の合計が200円に満たなかった場合は、200円分のポイントが付与される。
【プログラムの参加条件】
「OPENRECクリエイターズプログラム」に参加するには、下記4つの条件を満たしている必要があるとのこと。
・日本国内に居住している
・18歳以上である(未成年は、親権者もしくは法定代理人の同意が必要
・OPENREC.tvのプレミアム会員である
・OPENREC.tvの配信権限を保持している
その後、コンテンツの権利保護に対する取り組みや配慮について以下の3点を紹介した。
1.著作物の特定と管理
まず、OPENREC.tvでは、ゲームの実況動画プラットフォームという特性から、動画配信時にゲームタイトルを必ず選択するという仕様を取り入れている。これにより、配信とゲームタイトルをシステム的に管理することを可能にしている。
また、ゲームタイトルの選択については規約で徹底していく。もし、不適切なゲームタイトルが設定された配信にはユーザーへのアラートを行い、悪質な場合には動画の削除やアカウント停止という対応を実施して不適切な配信を抑制していくとのこと。なお、リストにないタイトルに関しては、問い合わせをすることで対応されるという。
2.ゲームの規約やガイドラインに準じたコンテンツ管理
2つ目は、配信を行う際にはメーカーやゲームに規定される利用規約や著作物利用ガイドラインに準じて配信を行ってもらうというもの。動画配信禁止タイトルはOPENREC.tv上で配信することができないようになっており、配信開始前のゲームタイトル選択時に下図のようなアラートが表示される。
▲収益化禁止タイトルについてもアラートが表示され、OPENREC.tv上での収益化をすることができなくなっている。
そのほか、ガイドラインによって配信に関する明示がないタイトルについては、窓口を用意してメーカーの意向に合わせた対応を実施していく。
3.24時間監視
24時間監視体制により、ガイドラインに違反する不適切なコンテンツを削除する。
■ライブ配信では初の任天堂作品を利用した配信者の収益化を実現
説明会の最後には、任天堂<7974>と著作物利用に関して合意し、同社と包括的な著作物利用に関する許諾契約を締結したことが発表された。ライブ配信において任天堂の著作物を利用したマネタイズが可能になるのは、OPENREC.tvが初とのこと。
また、現在は国内のみのサービスとなっているが、構想としては海外展開についても考えており、近いうちに市場展開も開拓していきたいと明かした。OPENREC.tvは、今後もゲーマーの方々が輝ける場を提供し、ゲーマーに愛されるメディアを目指していくとして本発表会の締めとした。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
■ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」
© CyberZ, inc. All Rights Reserved.
会社情報
- 会社名
- 株式会社CyberZ
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 山内 隆裕
- 決算期
- 9月