KLab<3656>は、9月21日に「東京ゲームショウ2017」で、開発中のスマートフォン向け新作ゲーム『禍つヴァールハイト』を発表した。
本作は、3月25日に行われた「KLabGames NEXT VISION」新作ゲームラインナップ発表会において、「Project FORCE」として発表したタイトルで、TGS2017の「KLabGames」最新情報発表で正式タイトルが明らかにされた。
『禍つヴァールハイト』は、「機動兵団」と呼ばれる調査組織の一員として、他のプレイヤーと協力してバトルするRPG。豪華クリエイター陣を迎え、リッチなグラフィック表現、壮大さを感じるフィールド、魅力的なキャラクターやストーリーを実現。コンシューマーゲームに匹敵するような体験をスマートフォン向けに制作した完全オリジナルタイトルとなっている。
【キャスト】
レオカディオ:小山力也 / ローラント:川澄綾子 / イグナーツ:森川智之
ゲロルト:柿原徹也 / ヤスミン:沢城みゆき / ユルゲン:鳥海浩輔
今回、TGS2017のKLabGameブースの最新情報発表会に登壇した、KLabの坂尻一人プロデューサー、シナリオを担当した生田美和氏、メインテーマ曲を手掛けた横山克氏、キャラクターデザインを担当したThird Echoes(Shingo Sugimoto氏、Wataru Katsuo氏)という、『禍つヴァールハイト』制作陣へのインタビューを実施した。
(写真左から)
【シナリオ】生田 美和氏
【メインテーマ曲】横山 克氏
【キャラクターデザイン】Third Echoes(Shingo Sugimoto氏、Wataru Katsuo氏)
【プロデューサー】坂尻 一人氏
■一流のスタッフが集結して紡がれる“呪われた真実”の物語
――:本日はよろしくお願いいたします。「Project FORCE」の正式タイトルとして発表された『禍つヴァールハイト』ですが、どのような意味が込められているのでしょう。
坂尻 一人氏(以下、坂尻):「禍つ」は禍々しいの「禍」、「ヴァールハイト」はドイツ語で真実という意味でして、“呪われた真実”という意味合いでとっていただければと思います。今回、世界観のコンセプトとしまして、“光”という正義の象徴みたいなものを逆説的に悪として描いています。真実だけど少しダークな雰囲気が漂っているというイメージで“呪われた真実”という意味を持たせています。
そもそも、なぜこういうタイトルにしたかというと、あまり王道作品にしたくなかったということが根本としてありました。ちょっと背伸びをしていると言いますか、既存のゲームの世界観よりも、映画やアニメに寄せてラノベを意識していたということが経緯としてあります。
【『禍つヴァールハイト』コンセプトアート】
――:世界観やストーリーを手掛けられている生田さんですが、一番こだわられたところは。
生田 美和氏(以下、生田):企画当初から関わらせていただいたときに1つあったのが、「大人の鑑賞に堪えるような作品にする」というものでした。それがハッキリとした方向性として打ち出されていたので、奇跡が都合よく起きるようなことはない、現実を融通しながら生きていかなければならないなど、とてもリアルで困難に満ちた世界になっています。そういった困難な状況と人々の戦いをドラマの軸にすることで、プレイしてくださる皆様がどこかで自分を感じられるようにと。現実世界を生きるプレイヤーの皆様の心に届くような世界感とストーリーをやろう!と、そこに力を入れています。
――:横山さんはゲーム音楽のお仕事が初ということですが、実際に制作してみていかがでしたか。
横山 克氏(以下、横山):ゲーム音楽をしっかり作るのは初めてでしたが、まだゲームの完成形を触っていないので本当に楽しみです。実際、僕自身の作業については、資料(シナリオ、デザイン等)を見て、妄想を働かせて曲を作るという、先に音楽を作る連続ドラマや連続アニメといったメディアと同じような流れでしたので、ゲーム音楽だからやり方が変わったということはありませんでした。ただ、ファンタジーの世界なのでスケール感は必要でした。例えばそのスケール感をプログラミングで乗り切るという手もあったんですけど、そこはオーケストラをハンガリーで収録しました。演奏に関わってくれたミュージシャンもメインテーマ曲だけで70人を超えていました。
ゲームの世界が非常に広いので、音楽だけ狭い世界の中だけで終わらせないことが大事かなと思って、音楽もそこに合わせていきました。曲だけじゃなく、演奏も録音も壮大なゲームの世界観に合わせることにトライしました。『禍つヴァールハイト』のコンセプトムービーで音楽を聴いていただければ、僕がやりたかったことが表現されていると思います。
ゲームの世界が非常に広いので、音楽だけ狭い世界の中だけで終わらせないことが大事かなと思って、音楽もそこに合わせていきました。曲だけじゃなく、演奏も録音も壮大なゲームの世界観に合わせることにトライしました。『禍つヴァールハイト』のコンセプトムービーで音楽を聴いていただければ、僕がやりたかったことが表現されていると思います。
――:Third Echoesのお二人は、キャラクターデザインを担当されてみていかがでしたか。
Wataru Katsuo氏(以下、Katsuo):ファンタジー系のデザインは、これまでやったことがありませんでした。ファンタジーは、昔から様々なゲームで扱われてきた題材なので、どうしても手垢が付いてしまっている。その中で今回は、いかに記号性のあるデザインにするか、ということをすごく考えました。すごいゴリゴリのリアルな絵でもなければ、可愛らしさを前面に出した絵でもない。金色の装飾が色々付いているというのも違うなと思いながら、ユーザーの方たちが“どういうものを見たいのか”というところを考えて、落としどころを探しました。
――:デザインの作業では、お二人で分担されているそうですが。
Shingo Sugimoto氏(以下、Sugimoto):キャラクター衣装の大まかなコンセプトですとか、この部分にこういうアイテムやパーツを入れてみようという仕組みを彼が考えていて、僕はそこに対して、金属ならこの質感、布ならこの質感といったディティールをブラッシュアップしていく作業方法をとっています。
――:今回描いた中で思い入れが強いキャラクターはいますか。
Sugimoto:ローラントというキャラは、全身がしっかり鎧で包まれている感じなどを含めて、装飾やデザインで描き応えがあっただけに思い入れがあります。
Katsuo:デザインという意味だと、それこそローラントは、Sugimotoが最後の最後でいろいろなデザインを詰めてくれたなということがありました。客観的に見たときに、良いデザインだなという印象は大きかったです。そしてこのローラントのデザインには秘密がありますので、今後を楽しみにして頂ければと思います。
▲こちらが、ローラント。
▲ローラントを含む、隊長たちの集合絵。
――:『禍つヴァールハイト』のゲームとしての側面からユーザーに伝えたいことはありますか。
坂尻:ゲームとしては、人類が滅亡しそうな世界の中で、プレイヤーが機動兵団の一員となって、仲間と共に生き抜くというところをコンセプトに開発を進めていますので、その体験をぜひしていただけたらなと思っています。
▲機動兵団が乗り込む起動車両。
――:それでは最後に『禍つヴァールハイト』を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いいたします。
生田:シナリオでは、本作のキャラクターを本当に(現実世界に)いるような人間として捉えて書いています。それぞれ価値観がズレていたり、衝突することが多いキャラもたくさんいる中で、自分は誰と仲良くなれそうだろう? ぶつかりそうだろう? と想像しつつ、お気に入りの隊長を1人見つけてほしいなと思います。
横山:相当気合を入れて音楽を作りました。どれくらい気合が入っているかは、コンセプトムービーの音楽を聴いていただければ僕の思いは伝わると思います。音楽も世界観もキャラクターも、ゲームという体験を通して育ててもらうものだと思っているので、実際にゲームをプレイしたときに自分がどう感じるのか楽しみですし、プレイされる方々もそこを楽しみにしていただきたいです。いまコンセプトムービーを見て感じていることと、ゲームをやり終えたあとに感じたことが、どう違うのかを楽しみにしてください。
Katsuo:やはりゲームは遊んでなんぼだと思っていて、ユーザーさんが遊ぶことによって僕らの中でも変わる部分というか、そこから先のお仕事で変化を出していく部分も当然あると思います。そういった体験が自分たちにはまだないので、『禍つヴァールハイト』はユーザーさんに触れてもらってからが、本当のスタートだと思っているので楽しみにしています。
Sugimoto:これからどんどんキャラクターも出てきますし、イラストだけじゃなく3D上でキャラクターたちが動くと思います。コンセプトムービーでもイラストが魅力的に再現されているので、今後出てくるキャラのイラストや、ゲームで動く姿も期待していただければと思います。
坂尻:豪華な制作陣とチームで作っています。続報は2018年の春頃にお伝えできると思うのですが、『禍つヴァールハイト』がリリースするまでの間も、皆さんに楽しんでもらえるようなサプライズとイベントを用意していますので、ご期待ください。
――:本日はありがとうございました。
■『禍つヴァールハイト』
(C)KLabGames
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656