セガ・インタラクティブは、3月1日、同社内にて「新作スマートフォンタイトル発表会」を開催し、『リーグ・オブ・ワンダーランド』(以下、『リグワン』)を今春リリースすることを発表した。本稿では、同発表会にて明かされた本作のコンセプトに対する意図や、ゲームシステムの詳細についてお届けしていく。
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■アーケード中心のセガ・インタラクティブがスマホ市場に乗り出した理由とは?
発表会が始まると、まずはセガ・インタラクティブ コンテンツ研究開発本部の本部長である大原徹氏より、「セガ・インタラクティブ」についての紹介が行われた。
▲セガ・インタラクティブ コンテンツ研究開発本部で本部長を務める大原徹氏。
同社は、セガグループの中でもアーケードゲームを中心に活動している。過去には『ハングオン』や『アウトラン』といった体感筐体や、UFOキャッチャーなどのプライズマシンを作り上げてきた。中でも、アーケードならではのリアルタイム対戦ゲームの制作数が非常に多い。そのため、アーケードならではの「短時間で気持ちの良い対戦ゲームを創造する」というノウハウは他社にも負けていないと大原氏は話す。
▲『バーチャファイター』や『アヴァロンの鍵』、『三国志大戦』、『ボーダーブレイク』、『Wonderland Wars(ワンダーランド ウォーズ)』などがその代表例である。
加えて大原氏は、昨今、スマートフォン市場にもリアルタイム対戦型のゲームが増加してきたことに言及。数年前までは細かく同期を行わない非同期型のゲームが主流であったが、ハードウェアや通信環境の進化によりリアルタイム対戦ゲームが拡大してきたと述べた。
そこで、セガ・インタラクティブは「リアルタイム対戦ゲームに対する制作ノウハウが蓄積されている」という強みを活かすため、今回、スマホ市場でリアルタイム対戦ゲームを制作しようと考えたのが企画の発端となったようだ。
企画発足後は、『三国志大戦』や『Wonderland Wars(ワンダーランド ウォーズ)』に見られる、同社の得意ジャンルでもあるRTS(リアルタイムストラテジー)のノウハウを活かすために、大原氏を含めた開発メンバーでライバルとなる海外産RTSの分析・研究を始めたという。
▲Supercellの『クラッシュ・ロワイヤル』(以下、『クラロワ』)などを中心に研究を進めたが「本当に良くできている」と尊敬しっ放しだったと話す。
大原氏は、研究対象のタイトルを参考にしたところも多数あるため、『リグワン』がリリースされた際にはユーザーから「『クラロワ』系のゲームだね」と言われることも自覚している」と続ける。その中でも、RTSジャンルとして課題を抱える2つのポイントへの対策が『リグワン』には取り込まれていると紹介した。
課題①「待つ時間」が多い
▲ひとつ目に考えられたのは「待つ時間」が多いのではないかということ。このジャンルでは、相手の手札を読んで対応していくのが戦術の基本となるため、序盤に操作する時間が少ない。そのため、サドンデスが発生してしまいプレイ時間が長くなってしまう。
課題②アクション性がもっと欲しい
▲2つ目に、同社がアーケードゲームを開発する際に大切にしている「操作をする気持ち良さ」を感じて欲しいと考えたという。特に、若年層に関してはアクション性が増すことでより楽しんでもらえるのではないかとのこと。
そこで、『リグワン』では、
①より短い時間で楽しめる
②総会アクションを楽しめる
という2点をコンセプトに1vs1のRTS型対戦ゲームの制作を進めてきた。
▲このコンセプトからキャッチコピーは「ケリつけようぜ。2分で。」に決定。
また、短い時間の中でも、あえて"2分"にこだわった要因として次のような理由が挙げられると大原氏は紹介した。スマホゲームによくありがちな「手軽に」「気軽に」といったふわっとした言葉で終わらせるのではなく、「2分」という時間にこだわりがあることから、『リグワン』ではより明確にユーザーの可処分時間の隙間を突いていきたいという想いがあるのではないかということが伺えた。
▲『リグワン』では、短い時間の中に凝縮されたアツい対戦を提供したいとのこと。
さらに、爽快アクションに関しては「指で技を繰り出す」という要素が取り入れられているという。こちらの詳細については、後述するディレクターの田勢誠氏より改めて紹介が行われた。
最後に、大原氏は「セガ・インタラクティブが持つリアル対戦ゲームやRTSのノウハウを基に、海外産RTSを分析してより良いゲームシステムを検討し、新しいゲームを作り上げました。より多くの皆様に、爽快で楽しくアツい対戦を味わってもらいたいという気持ちで『リーグ・オブ・ワンダーランド』を作っております」とコメントし、降壇した。
【新作】リーグ・オブ・ワンダーランド 先行プロモーションムービー
■RTSで"攻め"を促進させる特徴的なバトルシステムを紹介
ここからは『リーグ・オブ・ワンダーランド』ディレクターの田勢誠氏が登壇し、ゲームシステムの詳細について発表を行った。
▲『リーグ・オブ・ワンダーランド』ディレクターの田勢誠氏。
基本ルールとしては、2分という制限時間の中でお互いにMPを消費してユニットを場に出し、それぞれ3本あるタワーのうち多くを破壊した方の勝利となる。ユニットの配置はドラックで行い、進軍や戦闘はオートで行われる。同ジャンルではレーンが3本存在するのが特徴で、ひとつ壊されると負けになる、いわゆる拠点や城のような施設はないと説明した。
しかし、単純に試合時間を2分にしたところで、RTSが抱える「待ち」有利の戦術を覆せるわけではない。ここに、攻め有利で進める『リグワン』ならではのシステムへの工夫が取り入れられているのだという。田勢氏は、『リグワン』において、短時間決着だからこそ感じられる戦略性をはっきりと形にできるよう考えたと述べる。また、短時間で気持ちの良いアクションを盛り込むというところにも重点を置いたと話した。
繰り返しにはなるが、RTSでは相手の出方を伺い、メタとなるキャラで対抗してカウンターを決めるのが定石となることが多い。実際、同ジャンルの上位プレイヤー同士の対戦ではお互いに1分以上ユニットを出さないということもよくあるのだとか。そこで、『リグワン』では、この「待ち」を短縮すると共に新たな駆け引きのタネとなる仕組みを実装している。それが、積極的に攻めることが勝利に繋がる「ガン攻め推奨のRTS」という対戦コンセプトだ。お互いに待つ時間が無くなれば、自然と対戦時間も短くなることから、「守り」や「受け」による戦法がベースになるのではなく、派手に攻めることが楽しくなるようなRTSを目指したとのこと。
続いて、『リグタワ』において"攻め"が有利となる理由をシステムと共に紹介した。
▲本作に登場するミニオンは両軍のタワーから一定間隔で出現して自動で戦う。
▲ミニオンはお互いに同じ戦力であるため、何も操作をしなければマップの中央で相手のミニオンとぶつかって相殺されてしまう。1体あたりの戦力も高くはないが、相手のタワーに到達することで大ダメージを与えることができる。攻城手段としてはかなり有用なため、相手より先にミニオンを守ってタワーまで届けることが有利に働くのだ。加えて、ミニオンは自動生成されるため、隙があれば少ないMPで攻められるような仕組みにもなっていると田勢氏は説明した。
▲また、本作ではマップの形もひとつの特徴となっている。タワーまでの距離が短く、3レーン存在するため、複数のレーンで攻防が発生しやすくなっているのだ。既存のタイトルでは、戦力が1レーンに集中してお互いに押し合うケースが多く見られるが、本作では複数のレーンで戦闘を発生させることで後手に回って守り勝つことが困難になる。時には、守らずに1つタワーを捨ててでも相手のタワーを2本倒しに行くというスリリングでスピーディーなバトルも展開できるとのこと。
こうしたミニオンやマップ構成に特徴があることから、独自の戦略性をもとに、守りに固執せずガンガン攻め合うことができるバトルシステムに仕上がっている。そのため、タワー破壊が発生しやすく短時間で決着できるゲームになっているという。また、自分から攻めるため短時間の中にも駆け引きの熱さが凝縮されていると田勢氏は語る。
次に、爽快なアクションについて紹介。上記で紹介したガン攻め短時間決着の対戦型RTSにマッチしたアクションとはどのようなものが考えられているのだろうか。田勢氏は、アクションに関しても、本作のコンセプトに沿うためには「"攻め"の要素を自分の手で押し進めて戦略を実現していくようなものになる」と話す。それが、指先で描く「ドローショット」と呼ばれるシステムだ。
▲リアルタイムに進行するバトルの中で「ここだ!」と思ったタイミングで場に介入できる強力なアクションとなっている。そのため、ユニットを配置したらあとは見ているだけというRTSに起こりがちな事態を回避し、より派手で気持ちの良い瞬間を作り出せるのではないかとドローショットを取り入れた経緯や理由を説明した。
▲また、このドローショットに関しても先に仕掛けることが重要なトリガーとなっている。ユニットはマップに配置されてから一定時間が経過しなければドローショットを撃てない仕様となっているため、相手より先に配置することで先に仕掛けられるようになっている。さらに、相手にドローショットを当てることで「ブレイク」が発生。相手のドローショットを封印・キャンセルできるのでバトルを有利に進められる。
▲ドローショットには「突進」や「貫通弾」、敵の「妨害」、味方の「強化」など様々な種類が用意されている。また、ドローショットは各々触り心地が異なるアクションが備わっているため、いろんなキャラクターを触ってみたいと思えるようなものになっているとのことだ。
ここで田勢氏は、これまでに発表したバトルシステムの詳細や狙いのまとめを公開し、実際の対戦動画を上映した。なお、ここまでに紹介したのはあくまでも『リグワン』としてのRTSの特徴であり、RTS本来が持つユニットの特性に対するメタや、配置タイミングや位置の駆け引き、残り時間が少なくなった際のMP増加量促進など、同ジャンルに見られるベースの駆け引き的な要素もしっかりと入っているとのこと。
▲他のレーンに移動できる「ドローショット」など、攻撃だけに留まらない戦略を組むことができる。レーン間を跨いで干渉できるようなアクションも数多く取り入れられているとのことだ。そのほか、タワーを破壊するとユニットを置ける位置が広がり、2方向から攻めるなどユニットの置き方にも工夫ができることが紹介された。
■アーケードのノウハウを活かした『リグワン』の長期運営に関する展望も
ここからは、リリース後の運営イメージなど、これまでに明らかになったバトルシステム以外の要素についても紹介を行った。対戦ゲームの長期運営に関しては、セガ・インタラクティブがアーケードゲームで培ってきた部分でもあるため、かなりの期待が持てそうだ。
リリース時には、55種類のユニットが登場。その内、19種のドローユニットが実装される。なお、ユニットは同じものを一定数集めることでゲーム内リソースを使用してレベルアップされられるとのことだ。ユニットの入手に関しては、他タイトルにも見られるバトル後に入手できる宝箱のほか、課金でも手に入れられるようになっているという。また、お互いの資産量が近いプレイヤーとマッチングするよう検討中であることが質疑応答で語られた。対戦ゲームにおいては、多彩なデッキやユニットが存在することが重要となるが、まずはこれらのユニットを収集・育成しつつ、この量でゲームの本質的なところを楽しんで欲しいと田勢氏は意図を明かした。
しかし、もちろんユニットの定期的な追加は考えられている。ユーザーが飽きないよう、定期的に対戦環境に刺激を与えるスパンで提供されるとのことだ。特に、ドローユニットの追加は戦い方やデッキ編成に大きな変化を与えるため、ユーザーにも楽しみにしていただけるタイミングになるのではないかと述べた。
ユニットだけでなく、マップも定期的に新たなものが配信される。地上ユニットの侵入不可エリアや、索敵されないエリアなど、マップギミックによって有用な戦い方も異なるため使用ユニットにも変化を与えられるのではないかとの話だった。
続いて紹介された「SPタワー」は、デッキに入れることで自軍のタワーの内どれかひとつが特殊能力を持つものに変化するというもの。「HPが多く耐久性が高い」「ミニオンが多く配置される」「MPを定期的に生み出す」など、自分の戦略に合わせて選択してデッキに入れることができる。また、相手の陣地のどの場所に何のタワーがあるかによっても戦略を変えられるため、対戦における読み合いの深さが増している。SPタワーに関しても、ユニット同様に収集や定期的な追加を考えているとのこと。
観戦に関しても、リアルタイムで視聴ができるほか「3D/AR カメラ」が実装されていることで、対戦時とは異なる迫力のあるアングルで試合を見ることができる。また、どちらが勝つかを予想して「エール」を送り、見事に応援したユーザーが勝てば報酬をもらうことができる。これにより、ただ見るだけでなくより熱意を持って応援ができるようになっているという。勝者を考えながら試合を見ることで、自然と戦局を見抜く目が鍛えられ、ゲームの知識も養っていけるのではないかという狙いもあるようだ。
また、「リアルタイム対戦」や「観戦」というワードからeSportsへの展開に対してどのように考えているのかも伺ってみたが、「まずeSportsありきではなく、ゲームを遊んでいただいたうえでたくさんのコミュニティが生まれることが何よりも大事だと考えている」とのこと。その先の展開については検討中のため、まずは多くの方に『リグワン』を楽しんでいただきたいとの回答だった。
舞台は架空の漫画「リーグ・オブ・ワンダーランド」の中という設定ということも明らかに。あらゆる物語の登場人物たちが、物語が完結した後にひとつの場所に集められ、再び輝きを放つためにバトル競技に参加して激闘を繰り広げるという世界観であるとのこと。なお、デザインは対戦ゲームの主なユーザー層である若年層男子の趣向を見据えてコミックテイストに仕上げているとの話だった。
▲巨大な剣を持つ「キング・アーサー」や、太陽で攻撃する「アマテラス」など、バトル中にもキャラの特徴を活かした演出が取り入れられている。
その後、本日より公式サイトがオープン、事前登録キャンペーンを開始したことを発表した。また、3月20日14時~3月27日10時59分に先行テストプレイが開催されること、参加者を募集中であることが明かされた。こちらの詳細に関しては、下記の関連記事の内容を参考にしていただきたい。
▲事前登録で「1000ゴールド&100クリスタル」をプレゼント。3万件突破で「斉天大聖 美猴」がもらえるほか、今後も登録者数に応じて様々なプレゼントを予定している。
▲参加人数限定の先行テストプレイの募集期間は本日(3月1日)~3月8日まで。公式サイト、公式SNSで応募を受け付けているので、気になる方は是非、チェックしてみよう。
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発表会の最後には、SEKAI NO OWARIがタイアップアーティストに決定したことが発表された。SEKAI NO OWARIの結成の地であり、先日までセガ・インタラクティブ本社があった羽田大鳥居が2つの発祥地であるという共通点があったという。タイアップ曲には、2月27日にリリースされたばかりのニューアルバム「Eye」に収録されている「Monsoon Night」が選ばれた。さらに、会場ではSEKAI NO OWARIからのビデオメッセージが上映されイベントの幕締めとなった。
【『リーグ・オブ・ワンダーランド』タイアップソング『Monsoon Night』/SEKAI NO OWARIビデオメッセージ】
・SEKAI NO OWARI の公式サイト:https://sekainoowari.jp/
・SEKAI NO OWARI の公式 Twitter:https://twitter.com/SekaiNoOwariOFC
▲今後はコラボ企画やYouTuber連動企画、各種キャンペーン企画も予定しているとのこと。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
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