mixiアプリでリワード広告を導入する際の注意点

 PC版「mixiアプリ」の新しいマネタイズ手法として、一時期、「リワード広告」が注目されましたが、最近、サイバーエージェント<4751>がリワード広告を専門に取り扱う会社を設立したように、再び注目されてきているように思います。  リワード広告とは、「アプリを利用するユーザーが、広告スポンサーのサイトで、会員登録や商品購入などのアクションを起こすことにより、そのアプリ内で使う通貨やポイント、アイテムを得る仕組み」のことです。  Facebookアプリでは、SAPの売上の40%程度をリワード広告に係る収益が締めているといわれているのに対し、mixiアプリのSAPの売上は直接課金が80%-90%。mixiアプリにおけるリワード広告の売上はまだまだ伸びる余地が大きいと思われます。   「mixiアプリ」に限った場合、リワード広告の最大手は、恐らくアドウェイズ<2489>で、CAリワードやドリコム<3793>、セプテーニ<4293>、インタースペース<2122>等が追走している、といった状況かと思います。  この記事では、リワード広告導入の際の注意点を書いています。私きむほめが個人的な経験の範囲をまとめたものなので、大なり小なりバイアスがかかっているかもしれません。    ■小さな差こそが重要  前の職場で、リワード広告を導入する際、ある業者さんから「仕組みが単純だし、ぶっちゃけ参入障壁が低いので、業者間の大きな差はないんですよ」と聞かされましたが、私は会社ごとの「小さな差」が営業成績に大きく影響すると感じています。  例えば、業者によって取り扱う広告に「得意分野」があります。モバイル広告を得意としている会社、物販系に強い会社、リサーチや会員サイトへの無料登録に強い会社、コンテンツ系販売に強い会社などです。  業者選定にあたって、業者の得意分野や考え方と、ゲームのジャンルやユーザー属性、ゲームの課題等を併せて慎重に考えるべきです。一度導入すると、課金システムのつなぎこみをしてしまっているので、他社に変更するのが面倒だし、ゲームに色々な影響を与えるからです。  さらに、会社として、リワード広告の導入によって、どういった効果がでるかを期待するのかも重要です。収益源として期待するのか、あるいは、課金アイテム購入とその後の課金のきっかけと位置づけるのか。   ■導入時の注意点  若い女性ユーザーが多いタイトルの場合、リサーチや会員登録系といった広告は増やさず、本やコスメ、ファッション系を増やしてみるとか、若いユーザーが多い場合には会員登録系や、モバイルコンテンツ系を増やすとか…。  秘密保持契約を結んだ上で、支障のない範囲でユーザー情報と会社としての狙いを話して、業者とディカッションしてみると良いと思います。できれば導入前のリサーチ時からやったほうがいいです。  もう一つ注意すべきは、ゲーム系コンテンツの広告を載せる場合、自社タイトルとバッティングしないかどうかも重要。結構な料率が貰えるので、目先の金欲しさについ掲載してしまいがちですが、ユーザーを取られることもあるようです。   ■導入したけど売上が伸びない  導入したはいいけど、リワード広告サイトへのアクセス数が全然伸びない、あるいは、売上が期待したほど上がらないといったケースが考えられます。いや、大いに考えられます。  その原因として、(1)リワード広告サイトへの導線が弱い、(2)ゲームがユーザーに課金したいと思わせる設計になっていない、(3)課金アイテムの価格設定や内容に問題がある等、色々と考えられます。  (1)の場合は、ゲームのユニークユーザーと、広告サイトへのユニークユーザーを比較すればすぐに判明します。対策もとれます。が、(2)は非常に深刻です。一度、ゲームデザインそのものから考え直す必要があります。  (3)は、意外と見落としがちな点です。リワードで貰える報酬をみると、50円とか60円とか非常に安い金額の仮想通貨になることが多いかと思います。そういったなかで、1つ数百円のアイテムを揃えても、ユーザーはアイテムをそもそも買えません。ユーザーも、そこまできちんと調べていますから、リワード広告でアクションを起こそうとは考えないでしょう。   ■SAPと業者に求められること  リワード広告の導入から10ヶ月以上の期間が経過し、業者でも成功事例や失敗事例に関するデータが集まり、ノウハウがかなり蓄積されていることかと思います。  リワード広告を導入する際、業者に腹を割って相談してみると、色々と分かる点があるかと思います。逆に業者の営業マンには、会社の狙いを満たせない場合、素直に断ってくれることを望みたいものですが。。。  ということで、このコラムが何かの参考になれば幸いです。