ケイブ、第3四半期は収益改善も株式報酬費用で赤字幅拡大 "実質黒字転換"とするアピールも



ケイブ<3760>の2020年5月期の第3四半期(2019年12月~20年2月)は、売上高が前四半期比で15.7%増の4億4000万円だった。主力タイトルである『ゴシックは魔法乙女(ごまおつ)』の運営成績が同社の収益の大半を占める状況で、その動向が大きな影響を及ぼしてきたが、KADOKAWAとフォワードワークスからの受託案件の売上が伸びており、『ごまおつ』への依存度が低下している。

直近の売上高をみると、スマホゲームの売上は、19年5月期の第3四半期(18年12月~19年2月)から20年5月期の第1四半期(19年6~8月)まで全体の90%を占めたが、前四半期から変わり始めた。スマートフォンゲームからの売上比率が75%に低下する一方で、受託開発などその他の収益が25%を占めるようになった。
 


この四半期では、受託開発の収益が貢献しただけでなく、『ごまおつ』の売上が回復しており、全体のボリュームがアップした。ちなみに、『ごまおつ』については、この3月後半から5周年を記念した、いわゆる「周年イベント」を開催しており、次の四半期の状況が注目される。

続いて営業損益は、1億1300万円の赤字となった。前四半期までコスト削減などで営業赤字幅を順調に減らてきたが、一転して拡大してしまった。これは本業の収益悪化というより、株式報酬費用1億3900万円を計上したためだ。これを除くと、2600万円の営業黒字になる。ただ、現状では「実質黒字」とみるより、収益改善が進んでいると評価すべきかもしれない。

 


株式報酬費用については、第25回新株予約権における強制行使条件が関係している。行使価額1200円を70%下回ると、新株予約権を引受者は権利行使しなくてはならない条項だ。コロナウイルスの影響で株価が下落したことで強制行使となったが、それでは引受者が経済的損失を被るため、労働対価として株式報酬(新株予約権)を支払う。キャッシュアウトが伴わない費用となる。

 


それではトピックスを見ていこう。まず、『ごまおつ』については、プロモーションコストを抑えつつ、新章の追加やクリスマス、バレンタインデーに合わせたイベント継続的に実施した。年末年始の効果もあって、前四半期比で増収を達成した。また、IPとしてのバリューアップを図るため、舞台化やキャラソンCD、コミカライズなどゲーム以外の領域への展開も行っているとのこと。

 


受託開発案件は、KADOKAWA<9468>とフォワードワークスによる協業スマートフォンゲームとなる。受託売上は2カ月ごとの計上となるという。そのため、四半期ごとの売上では第2四半期(9~11月)と第4四半期(3~5月)に売上が大きくなるとしており、今回発表した第3四半期(12~2月)よりも次の四半期にその収益寄与が大きくなるもようだ。

 


 
(編集部 木村英彦)
株式会社ケイブ
http://www.cave.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ケイブ
設立
1994年6月
代表者
代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
決算期
5月
直近業績
売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3760
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