ケイブ、『ごまおつ』依存脱却し収益の多角化進む 下期は"実質黒字"に 受託や非ゲーム、製作委員会で取り組む新作など新展開続々



ケイブ<3760>の2020年5月期の第4四半期(20年3~5月)の連結決算は、引き続き増収・赤字幅縮小となった。『ゴシックは魔法乙女(以下、ごまおつ)』の経年による売上減少がみられるものの、受託開発の売上が伸びている。非ゲーム系の新規事業の立ち上がりや、同社取締役の岡本吉起氏がプロデューサーを務める新作スマホゲーム製作委員会の設立など事業構造が大きく変わりつつある。

さて、決算を見ていくと、売上高は前年同期比で21.4%増の5億0400万円だった(前年同期は単独決算のため参考)。これまで主力だったスマートフォンゲーム『ごまおつ』の売上比率が91%から60%に低下する一方、KADOKAWAとフォワードワークスからの受託案件の売上が伸びたという。今後、連結子会社のcapable売上が拡大することによって「その他」の占有率は拡大に向かう、としている。




また、営業損失が4800万円となり、前年同期の1億2100万円から大きく縮小した。事業が順調に進捗したことによる増収効果で収益が大きく改善したものの、株式報酬費用が計上されたことで赤字となった。株式報酬費用の影響を控除すると300万円の赤字にとどまる。第3四半期も合わせると下半期は"実質"黒字となった。




株式報酬費用については、第25回新株予約権の強制行使条件が関係している。株価が行使価額1200円を70%下回ると、権利行使が強制される条項で、コロナウイルスの影響で株価が下落したことで発効した。ただ、それでは引受者が経済的損失を被るため、労働対価として株式報酬(新株予約権)を支払うという。キャッシュアウトが伴わない費用となる。




トピックスは以下のとおり。

『ごまおつ』は、5周年イベントを4月に実施。新規ユーザーの流入は対3月比で2.4倍となったという。




KADOKAWAとフォワードワークスのプロジェクトの受託については開発フェーズが進み規模が拡大。今年のリリースに向けて順調に進捗しているとのこと。




スマートフォンゲーム製作委員会への出資も行った。同社取締役の岡本吉起氏がプロデューサーとなるもので、テレビ朝日、でらゲーも出資した。ゲームタイトル、リリース時期については確定次第、発表するとのこと。




非ゲーム事業では、2020年夏リリースを目標にしたライブ配信アプリの開発も行っているとのこと。




Capableについては、有名プロダクションとのアライアンスによりネームバリューのあるタレントを起用。今後はタレントに加えアーティストやモデルのYouTubeチャンネルを開設して広告案件獲得にフォーカスすることで収益拡大の見通し。



 
(編集部 木村英彦)
株式会社ケイブ
http://www.cave.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ケイブ
設立
1994年6月
代表者
代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
決算期
5月
直近業績
売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3760
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