サイバーステップ『トレバ』をめぐる「ねとらぼ」の記事、東京地裁が一部削除の仮処分を命じる

サイバーステップは、5月18日、東京地方裁判所に行っていたウェブメディア「ねとらぼ」に掲載されたオンラインクレーンゲーム「トレバ」をめぐる記事の削除を求める仮処分の申請に関して、当該記載の一部削除を命じる決定を発令したと発表した。

仮処分は、2020年11月23日にウェブメディア「ねとらぼ」に掲載された記事内容の一部についてとなる。

オンラインクレーンゲーム『トレバ』、景品獲得されそうになると“スタッフが裏操作”していたと発覚 被害者と運営会社を取材

記事内容は、サイバーステップが運営するオンラインクレーンゲーム「トレバ」において、プレイ中景品にアームが届かなかったり、突っ張り棒を使った設定(通称:橋渡し)の間隔が狭すぎて景品がはまりこんで落ちないなど、さまざまな疑惑や不満の声が上がっていたとして、「ねとらぼ」が取材を行ったもの。

これに対して、サイバーステップは記事中の「スタッフが景品の獲得を阻止するために、連続プレイ中にユーザーに隠れて遠隔で故意に設定変更を行い、当社がそのことを認めた」という内容は真実に反するとして、東京地裁に対し「ねとらぼ」を運営するアイティメディアに本記事の一部において削除を命じる仮処分の申立てをしていた。

争点は「連続プレイ中の筐体の設定変更」「テストプレイに関する内容」「不具合発生時のポイント返還の有無」の3つ。

今回一部削除の対象となったのは、「連続プレイ中の筐体の設定変更」についての内容となる。

「ねとらぼ」によるとサイバーステップは、設定変更があったことは否定しないが、それはスタッフのミスや機械の不具合で、故意や意図的ではなく、連続プレイ中に設定変更を行ったことを同社が認めた事実ではないと主張したという。

それに対して、ねとらぼ側は

「いかなる理由があったとしても、顧客に明示せずに連続プレイ中に設定を変更すること自体が不正であり、ミスであるか故意であるかを問わず、オンラインクレーンゲームサービスの根底を覆す行為である」

と主張を行っていたとのこと。

残る「テストプレイに関する内容」「不具合発生時のポイント返還の有無」に関しては、「ねとらぼ」側の主張を裁判所が認容し、サイバーステップは削除要求を取り下げたとのことだ。

「オンラインクレーンゲーム「トレバ」巡り被害プレイヤーが告発 運営会社を取材」より
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2011/23/news015.htmlより

「ねとらぼ」編集部は、今回の仮処分を受け、複数の争点において、その主張が認められたことについて一定の評価を得たとしているものの、「連続プレイ中の筐体の設定変更」において主張が認められなかった点については遺憾であるとのコメントし、今後は決定内容を充分検討した上で判断すると発表している。

一方でサイバーステップは、今回の仮処分決定について

「アイティメディアは、本件内容が真実であることを確認することができておらず、真実であると信じるにつき相当な理由がないにもかかわらず、一般の読者に対してあたかも本件内容が存在するかのような誤解を与える記事を作成したもの」

とし、またその他の削除要求の取り下げに関しては、

「取材対象者個人の意見を記載したにすぎないものであることが確認された」

ためとコメントを発表している。

ねとらぼに掲載されたトレバに関する記事の一部削除を命じる東京地方裁判所の仮処分決定について 
https://pdf.irpocket.com/C3810/gtYS/adSC/Y6Rg.pdf

 

お詫びと修正に関して

記事掲載当初、 「サイバーステップ、トレバに関する記事の裁判で一部勝訴 東京地方裁判所が記事の部分削除を命じると題して公開しておりましたが、

・一部勝訴ではなく仮処分であること

・事実と異なるため削除が求められている

といった点に誤りがありました。これを踏まえて上記の内容を訂正するとともに、両者の主張を加えた修正を行うため大幅に加筆いたしました。

関係者及び読者に対して深くお詫び申しあげます。

当初の記事内容は以下の通り。
 

サイバーステップ<3810>は、5月18日、ウェブサイト「ねとらぼ」に掲載されたオンラインクレーンゲーム『トレバ』に関する記事の一部削除を命じる東京地方裁判所の仮処分を決定したと発表した。

同社によると、事実とは異なる内容として削除対象となった点を以下に挙げたという。

「当社のスタッフが景品の獲得を阻止するために、連続プレイ中にユーザーに隠れて遠隔で故意に設定変更を行い、当社がそのことを認めた」

これにより、4月30日付けで「ねとらぼ」を運営するアイティメディアに対して本件記載の削除を命じる仮処分決定を発令があったとのこと。

そのいっぽうで、テストプレイに関する記載や、不具合発生時のサイバーステップの対応に関する記載については、記載の削除の申立ては取り下げている。サイバーステップは該当の部分において、取材対象者である個人の意見を記載したにすぎないものであることが確認されたためと、その理由を挙げている。

ねとらぼに掲載されたトレバに関する記事の一部削除を命じる東京地方裁判所の仮処分決定について
https://pdf.irpocket.com/C3810/gtYS/adSC/Y6Rg.pdf


 

サイバーステップ株式会社
https://corp.cyberstep.com/

会社情報

会社名
サイバーステップ株式会社
設立
2000年4月
代表者
代表取締役社長 佐藤 類
決算期
5月
直近業績
売上高29億8600万円、営業損益14億5500万円の赤字、経常損益15億2000万円の赤字、最終損益14億5800万円の赤字(2024年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3810
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