ミクシィ<2121>は、2022年3月期の9月中間期の連結決算を発表、売上高515億8700万円(前年同期比12.2%減)、営業利益73億8200万円(同47.5%減)、経常利益75億0400万円(同46.0%減)、最終利益61億6700万円(同33.9%減)と2ケタの減収・減益となった。
・売上高:515億8700万円(同12.2%減)
・営業利益:73億8200万円(同47.5%減)
・経常利益:75億0400万円(同46.0%減)
・最終利益:61億6700万円(同33.9%減)
あわせて連結業績予想を下方修正している。
・売上高:1050億円~1100億円(前回予想1150億円~1200億円)
・営業利益:20億円~50億円(同120億円~170億円)
・経常利益:20億円~50億円(同120億円~150億円)
・最終利益:25億円~40億円(同85億円~100億円)
大きな要因の1つとして『モンスターストライク』の売上が大きく低下したことにある。デジタルエンタテインメントセグメントにおいて営業利益40億円の下方修正のうち、20 億円が売上減少によるもの、残りはコストの増加によるものとしている。下期にIPコラボ費用と『モンスターストライク』のIPを利用した新規タイトルの開発コストの増加を見込んでいるようだ。
またスポーツセグメントでは売上高175億円、営業利益50億円と下方修正を行っている。売上高については、TIPSTAR の大きな成⾧が前提となっていた。サービスの改修に併せて 9 月からユーザー還元施策やマスマーケティングを行い、売上が伸びていく前提だったが、想定通りにユーザー獲得が進まなかったそうだ。
本稿では、そんな同社の2022年3月期の9月中間期の連結決算レポートをお届けする。
■業績の四半期推移。販管費は広告宣伝費と人件費は利益を圧迫
2022年3月期第2四半期の売上高は232億円(前年同期比21.0%減)、営業利益13億(前年同期比79.19%減)となった。
売上の減少は主に「モンスターストライク」の計画未達によるもの。売上低下に伴い決済手数料も減少しているものの、広告宣伝費は第1四半期から8億8000万円、人件費も2億7000万円ほど増加し利益を圧迫した。
■『モンスト』売上計画未達、『コトダマン』好調、モンストIPタイトルは春にリリース予定
同社の稼ぎ頭である主力タイトル『モンスターストライク』の第2四半期の売上計画が未達となった。
『モンスターストライク』は、経年でMAUが減少していることは織り込んでいたものの、競合環境などの影響をARPUの低下などにより減収となった。決算説明会で木村社長の説明によると「足元の状況として、10月の8周年イベントは好調で売上トレンドは回復した」とのこと。次の波とも言える年末年始に向け様々なイベントやコラボを行っていくとしている。
その一方で「コトダマン」が前年同期比、前期比ともに増収、MAUも大幅増となったことが明らかになった。同タイトルでのコラボは「仮面ライダー第3弾」「東京リベンジャーズ」「五等分の花嫁∬」といったタイトルとなる。コラボにおいては『モンスト』で培ったIPの世界観を壊さずゲームに組み込む開発力が功を奏したとしている。
なお直近では、「金色のガッシュベル!!」「マクロスΔ」&「マクロスF」といったコラボを実施している。ただし巨大すぎる『モンスターストライク』の売上をカバーするまでにはいたっていない状況だ。
同社のデジタルエンターテインメント分野では引き続きホームラン級のタイトルを狙い続けるという姿勢は崩していない。近いところでは2022年春頃にモンストIPタイトルである『モンスターストライク ゴーストスクランブル」のリリースを予定している。
■右肩上がりだったスポーツセグメント。稼ぎ頭のTIPSTARが足踏み。
スポーツセグメントの売上は39億5300万円。前年同期比では増収となったものの、前期比からは減少となった。TIPSTARとチャリロトの売上が貢献した。その一方で千葉ジェッツがシーズンオフにより、3億円の減収となった。 6月から9月いっぱいまでBリーグはシーズンオフとなっている。
こちらがチャリロトとTIPSTARのGMV(流通取引総額)となる。両者のGMVは前年同期比で67.1%増加となった。インターネット車券販売の伸長でチャリロトのGMV増加、TIPSTARのGMVも約2.5倍増加したことが影響した。その一方で前期比では、TIPSTARのGMVは19.6%増加したにも関わらず計画は未達となった。
なお第3四半期は TIPSTAR においてマスマーケティング、還元施策に全力で踏みこんだとしており、大きく利益を圧迫するという。続く第4四半期では改善を進めるとしている。
■ブロックチェーンに対して本腰か。累計売上8億ドル(約909億円)サービスのNFT企業と提携
2021年上半期はNFTという言葉が話題になった。そんな中同社は、暗号通貨(仮想通貨)及びNFTビジネスに向けた新たな提携に関して明らかにしている。
1つは暗号資産取引所「bitbank」の運営を行っているビットバンクとの資本業務提携だ。そして決算とともに発表したカナダのDapper Labsとの業務提携だ。「bitbank」については、ビットバンク社の持つブロックチェーン等様々な最新技術と、ミクシィのサービス開発やマーケティングに関するノウハウ相互に活用するとしている。
Dapper Labsは「Flow」という次世代のブロックチェーンを開発、累計売上が8億ドル(約909億円)とも言われるNFTを使ったデジタルトレーディング「NBA Top Shot」を運営し、今年大きく伸長した企業となる。
ミクシィは、同社が培ってきたエンターテインメントやスポーツ領域での事業開発のノウハウを生かして新規事業を創出することで、日本においても多くの人に楽しんでもらえる NFT サービスを提供できると考え、業務提携に至ったと説明していた。
今回のDapper Labsとの提携で、ミクシィは、自社のデジタルエンターテインメントやスポーツ領域コンテンツをかけあわせたNFTサービスをいち早く展開することで、この急成長市場におけるビジネスの拡大を目指すとしている。
なお決算説明会で、記者からの暗号資産(仮想通貨)とゲームへの期待という質問に、木村社長は「現段階ではいま公開されている情報以上の内容はない」としながらも「暗号資産(仮想通貨)やNFTに関しては非常に注目している。ゲームのマーケットの未来にも大きなインパクトになる可能性がある」と返答していた。
世間ではすでにブロックチェーンやNFTを利用したゲームで一大規模となっているベトナムの『Axie Infinity』などがある。また国を問わず様々な企業がブロックチェーンを利用したゲームを開発しており、ミクシィもその可能性を見据え着実に足固めをしているようだ。
■ライフスタイルセグメントと2022年3月通期の見通し
▲家族アルバムみてねとMINIMOの好調でライフスタイルセグメントは前年同期比で増収となった。
2022年3月通期の業績については、売上高1050億円~1100億円(同12.0%減~同7.8%減)、営業利益20億円~50億円(同91.3%減~同78.2%減)、経常利益20億円~50億円(同91.3%減~同78.2%減)、最終利益25億円~40億円(同84.1%減~同74.5%減)を見込んでいる。
・売上高:1050億円~1100億円(同12.0%減~同7.8%減)
・営業利益:20億円~50億円(同91.3%減~同78.2%減)
・経常利益:20億円~50億円(同91.3%減~同78.2%減)
・最終利益:25億円~40億円(同84.1%減~同74.5%減)
なお、第3四半期は主力の『モンスターストライク』の周年イベントがあり、それにあわせて広告宣伝費も例年大きく増加する傾向にある。『モンスターストライク』の足元の状況として、10月の8周年イベントは好調で売上トレンドは回復した」という木村社長の説明通りだ。年末年始施策まで、どれだけ好調を維持できるかがポイントになる。
スポーツセグメントでは、「TIPSTAR」において、現在プロダクトのブラッシュアップとマーケティング戦略の刷新を行っているそうだ。来期に向けてユーザーが喜ぶようなものにしていきたいとはしているものの、具体的な内容は明らかにできないとしている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社MIXI
- 設立
- 1997年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 木村 弘毅
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2121