スマートフォンゲームの日々の運用とその効果をリサーチし、ゲーム関連企業へマーケティングデータを提供するSp!cemart(スパイスマート)。
同社のサービス「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」では、ゲームアプリの運用情報はもちろん、他社のYoutubeやTwitterの運用情報なども分析することができ、毎月発行しているレポートを提供している。
また、中国をはじめとした海外のゲーム内イベントやランキング情報も閲覧でき、本連載記事ではスパイスマート協力のもと、海外市場のゲームアプリ動向を紹介する。
今回は中国市場で配信されている『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』(中国名、英雄联盟手游)をピックアップする。
(以下、スパイスマートが提供するスマホゲーム分析/運営ソリューションル「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」での調査内容を基に掲載)
※記事内にて他社様のゲーム画像が掲載されていた為、記事内及び関連SNSの投稿を削除いたしました。
今回は日本版含めグローバル版のリリースが先日発表された (日本版公式Twitter: :https://twitter.com/ToF_JP)『幻塔 Tower of Fantasy』 をピックアップ。
『幻塔』はPerfectWorld (完美世界) 傘下のHotta Studio (幻塔工作室) が開発したSFオープンワールドモバイルゲーム。
アニメ風のビジュアル、サブカル系モバイルゲームを好むプレイヤーから注目を集めている。プロジェクト発表以来、『原神』に追随する大作として話題に。2021年末のオープンβ版リリース以降、iOSセールスランキングトップ10を維持し、12月後半のわずか15日間で3億元(日本円にして約55億円)に近い売上を記録(サードパーティーデータより)。
本作の注目ポイント
アニメ調ビジュアルとポストアポカリプス・SF的な世界観が融合した作品
今作はアニメ・ラノべコミック風のキャラクターデザインを採用している。
荒廃した星がストーリーの舞台。全体的に「ポストアポカリプス」的なSF設定とアニメ・ラノベ系のビジュアルの作品である。
オープンワールドを自由に冒険・探索する楽しみ
開発段階より、『原神』に匹敵するオープンワールドの冒険が注目を集めている。バトルシステムにおいても爽快な操作感を実現されている。
リリース時のマーケティング施策
ポータルサイト、ゲームメディア、動画サイト、SNSなどを通じ、主に動画プロモーションを中心に大々的にネットプロモーションを実施。
1. オープンワールドの自由な冒険という今作の特徴を強調。
2. アニメ調のビジュアルを強調。主にキャラクターイメージで、「SF」要素は抑えめにアピールした。
3. 広告コピーでは、リリースキャンペーンの無料10連ガチャなどの特典情報を重点的にアピールした。
ゲーム内容について
世界観とストーリー
エイダ星(艾達星)には、非常に高い技術水準を有する先住民が住んでいた。先住民たちは尽きかけた星の資源を恒久的に確保するため、「幻塔」を建てた。
しかし、幻塔は突然崩壊してしまう。塔の崩壊により、エイダには放射線と疫病がまき散らされ、美しかった星は荒土と化し、怪物の巣食う地となってしまう。
崩壊前に、幻塔内に逃げ延びた人と地上に留まることを余儀なくされた人に人類は二分された。地上で生き残った人々は、「エイダの子(艾達之子)」と呼ばれる組織を設立し、幻塔に逃げ延びた人々は「ハイジャード(海嘉徳)」という名の組織を建てた。この対立を描いたストーリーで構成されている。
ゲームシステム
多数のクエスト、育成要素が実装されておりプレイヤーにとって遊びごたえのある内容となっている。以下にその内容を紹介していく。
・MMOシステム
▲マップ探索度パネル。探索の進度により追加ボーナスが手に入る。このパネルで、見逃した探索情報がないか確認できる。
メインストーリーに紐づいた主となる幻塔のメインとなるシステム。
ミッションは、現在のマップ上でモンスターを倒す、NPCと交流する、素材を集める、フィールドを探索するなど。
・イベント、デイリー系クエストのシステム
▲遺跡ダンジョン(左) / 連動作戦(右)の画面
懸賞ミッション:デイリーで更新される。内容は戦闘、納品、素材収集。経験値や育成素材が入手できる。
遺跡ダンジョン:ソロプレイダンジョン。メインストーリーの進行に応じて新しい遺跡が解放されていく。難易度は3つあり、金貨、経験値、育成素材などが手に入る。
連合作戦:4人パーティダンジョン。全5種で曜日によって解放ダンジョンが異なる。
次元歴練:4人パーティダンジョン。意志カード育成素材と能量晶塵(ショップで使える通貨)が手に入る。
▲星界探索のスターゲート(左) / マップに配置された源能ビーコン(右)の画面
星界探索:毎日5時にワールドマップに複数のスターゲートが開放される。ソロでもマルチでも挑戦が可能(スタミナを消費)。モンスターが6ウェーブ登場し、全て倒すと武器の育成素材と経験値が手に入る。
源能ビーコン:スタミナを消費して入手した源能ビーコンをマップに配置することができる。配置されたビーコンは24時間継続して経験値と武器の育成素材を産出する。(途中オフラインになっていても入手可能)
他、ミニゲーム形式の訓練モードやソロでの勝ち抜き戦、頂上リーグ戦(PVP)など多彩なクエストが組み込まれている。
ギルドシステム
・アイテム納品
毎日1回、ギルドに素材を納品できる。ギルド貢献値とギルド通貨が手に入る。
・ギルドダンジョン
ギルドのメンバーとパーティーを組んで挑戦できる。ギルド通貨と装備育成素材が手に入る。
・ギルド特典
毎週月曜朝5時にギルド特典を受け取ることができる。プレイヤーの前週のギルド貢献度により手に入る報酬が異なる。
・ギルドショップ
ギルド通貨で素材を購入できる。購入できる素材のグレードはギルドレベルにより決定される。
バトルシステム
・基本システム
バトルはアクションゲームのシステムを採用している。プレイヤーは戦闘武器を3点、源器装備を2点まで装着できる。
各種育成システム
キャラクターが装備できるものは全てそれぞれに育成できるようになっている。
・武器擬態
武器にはそれぞれ固有の擬態イメージ(キャラクター外観)がある。
武器を獲得すると、武器擬態を通じて、キャラの外観を変更できる。
・武器キャラストーリー
武器擬態にはストーリーが実装されている。一連のミッションの形式で、全てクリアすると武器の育成素材が手に入る。
・武器レベルアップ
「金貨」と「エネルギーバッテリー」を消費し、武器レベルを上昇させる。
武器が10の倍数のレベルになったら、限界突破が必要になる。
・武器ランクアップ
「金貨」と「同名の武器のデータコア(数拠核心)」を消費し、武器の星(レアリティ)を上げることができる。武器のスキル効果が強化される。
・意志カード装着
武器にはそれぞれ4枚まで意志カードを装着できる。
装着すると武器の能力値が上昇する。意志カード自体も育成、ランクアップさせることが可能。
装備について
プレイヤーに装着可能なスロットが8か所存在する。装着すると、キャラクターの能力値が上昇する。
キャラクター
・キャラメイク
プレイヤーの操作する主人公キャラクターは、数百種類のパーツから自由にキャライメージを編集することができる。
ガチャシステム
武器ガチャと意志カードガチャの2種類のガチャが実装されている。メインとなる武器ガチャはダークコアガチャとゴールドコアガチャに分かれている。どちらも回数によるSSR確定などの天井が設定されている。
マネタイズ(課金タイミング)
プレイヤーの課金タイミングについて調査も行った。一部は筆者の一般ユーザーとしての主観的予測が含まれることはご了承いただきたい。
●ユーザーの主な課金タイミング(ルチルクォーツ購入のタイミング)
課金タイミング | 課金理由 | 見込み金額 |
---|---|---|
マンスリーカード更新 | ルチルクォーツとダーククォーツを効率的に入手するため | 30元/月 |
パス更新 | 通貨と素材を効率的に入手するため | 196元/日 |
パック更新 | 素材を効率的に入手するため | 60元/月 |
ガチャ | 収集と育成を進めるため | 150元/10連一回 |
有料通貨購入後の流れを下図に示した。
ゲームサイクル
オープンワールドとアクション要素の濃いMMORPGの2種類のシステムを融合させたサブカル系モバイルゲーム
オープンβ版がリリースされてから現在に至るまでのセールスランキングの変動から判断すれば、「幻塔」はすでに成功を収めている。
しかし、これだけ大規模な作品は、長期的に運営を行うにあたり、いかにして運営のテンポを制御するか、そしていかにプレイヤーをつなぎとめるかが大きな課題となることは間違いない。今後の動きが楽しみなタイトルである。
▲主人公を自らカスタムするシステムがプレイヤーに好評で、メディアにも高い評価を受けている。
▲調査データ全容のご要望、無料アカウント登録はこちらから▲
LIVEOPSISでは中国における、マーケットトレンド、新作タイトルの事前予約状況、注目タイトルの最新情報を取得しております。調査・分析が気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■執筆 <株式会社スパイスマート>
スマートフォンゲーム内運用に関する調査・分析を行うリサーチ事業とコンサルティング事業を展開しており、「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」というサービス名称で各種ソリューションを提供。
会社情報
- 会社名
- 株式会社スパイスマート
- 設立
- 2015年7月
- 代表者
- 代表取締役 久保 真澄