Littoral Games、山水画の世界でまちづくりが楽しめるシミュレーションゲーム『水都百景録~癒しの物語と町づくり』をリリース


Littoral Gamesは、まちづくりシミュレーションゲーム『水都百景録~癒しの物語と町づくり』の配信を開始した。


<以下、プレスリリースより>


『洛中洛外図屏風』をご存じでしょうか。京都の街に暮らし、生きる人々の姿をいきいきと描いた屏風絵です。こうした山水画は東洋の伝統といえます。中国を代表する山水画に「清明上河図」があります。6月16日に配信が開始される町づくりシミュレーション『水都百景録~癒しの物語と町づくり』(iOS / Android)は、スマートフォンの中に山水画の世界を作り、都市の姿を眺めるゲームです。

日本では南北朝時代から江戸時代初期にあたる明代は、商業が栄え、都市が発達した時代でした。このゲームでは活気あふれる明代江南の街並みを描き、そこに人々の魂を蘇らせてゆきます。その筆を執る人物は、優れた書画詩文をこなす文人として知られる文徴明です。彼が絵を描くことで、中国史に残す名のある人物の魂が蘇ります。中国史上唯一の女帝として知られる武則天。日本でも広く親しまれている「詩仙」李白と「詩聖」杜甫。中国四大美女の一人であり、安田靫彦はじめ多くの画家が描いてきた王昭君。文徴明の親友であり、人気コメディ俳優チャウ・シンチーが演じたこともある唐伯虎。

文学作品から飛び出す人物もいます。中国古典の有名な伝説である『白蛇伝』から、白蛇から美女に変じた白素貞と侍女の小青。白素貞と恋に落ちる医者の許宣が登場します。日本でもこの伝説は古くから知られており、蛇が美女に変身して美男と恋に落ちる伝説は、江戸時代『雨月物語』「蛇性の婬」に翻案されました。

街をゆく人々の会話に耳を澄ませることもできます。彼らの会話は、初めて読むはずなのに、どこかなつかしいかもしれません。明代の作家である馮夢龍は、笑い話を『笑府』にまとめました。この作品は日本でも読まれ、落語に取り入れられているのです。時代と国を超えて通じる笑いのセンスがこのゲームの世界にはあります。このゲームに登場する馮夢龍は、筆と紙を持ち、人々の話を書き留めようとする姿をしています。そうして書き記した人がいるからこそ、伝わる世界があるのです。

初めて遊ぶゲームなのに、どこか見覚えがあると思える。そんな魅力がこのゲームにはあふれています。この作品に触れることで、中国の歴史や文学、そして人の暮らしに親しむこともできるのです。歴史上の有名な人物や物語の人物だけでなく、このゲームでは街で暮らす人々も重要な役割を果たします。官吏登用試験である科挙に合格できるかどうかで悩んでしまう。一緒に芝居を見ようと誘い合う人々たち。彼らの姿からは、国や時代を超えた営みが感じられのです。街並みの中、仕事場に向かうために気合を入れて歩いて行く人々の姿は、動き出し命が宿りました。生活を楽しむ人々の姿を眺めることが、このゲームならではの魅力です。

ゲームを始めたころは、焼け落ちた街しかありません。そこに民家を建て、食堂を作り、井戸から水を汲み、人々の生活を始めます。畑を耕し、魚を釣り、料理を作る。木を植えて木材を作り、そこから板を作り、紙を作る。そして街が発達していくと、生活だけではなく文化や娯楽を楽しむ施設も作ることができます。住民が学ぶための書院、さまざまな物を売り買いする市場、役者が舞い踊る舞台が街に作れるようになるのです。建物には物語仕立ての説明がついています。説明文を読んでいくと、住民の思い出や日常生活がみえてきます。昔の中国ではどんな生活があったのか、それは素敵な説明文を読んでいることでも楽しめるのです。ゲームならではの工夫もあります。こうした建物に触れると、人々の話し声や舞台の音楽が聞こえてきます。

こうした世界観を支えるのは、美しいグラフィックや音楽にあります。モノクロのイメージが強い水墨画とは異なりながら、東洋の魅力を宿した色鮮やかな絵画がこのゲームの元となっています。

整然とした水路。風になびく柳の枝。瓦ぶきの屋根。線香の煙がたちのぼる堂。饅頭を売る屋台。細かく描きこまれた街並みからは、当時の人々の生活感と情緒があふれています。静止していた絵が動くことで、美しく豊かな世界観が見えてきます。

伝統楽器を生かした音楽も情緒に溢れています。街ごとに異なるしっとりとしたメロディは、聴いていると心が安らいできそう。ゲームというよりも何かの芸術を楽しんでいるような気持ちにさせられます。

美麗なグラフィックは、街の景色だけではありません。

このゲームには、時代を超えた歴史上の人物が登場します。彼らの時代にあわせた衣装を身にまとい、さまざまな人物が現れるのです。美しく装った女性の姿にも、時代が反映されています。唐代の女性は高く髪を結い上げ、明代の女性はゆれる繊細な簪を刺しています。

勇ましい甲冑を身につけ、武器を手にした武将。筆と盃を手にして、ほろ酔い加減で作品を歌い上げる詩人。個性豊かな人物たちが、その時代と個性に合わせた美麗な衣装で登場します。

こうした華麗な人物たちは、街づくりに勤しむだけではありません。彼らが生きて紡いできた恋や友情まで、蘇らせようとします。明代を代表する戯曲作家であり、「中国のシェイクスピア」とも称される湯顕祖。ゲームの中で彼は麗娘という少女と出逢います。彼らが恋に落ちる物語を体験することで、いかにして名作戯曲「牡丹亭」が生まれたのか。そんな体験も味わうことができるのです。

味わうといえば、宿屋で楽しめる料理の開発もできます。中国といえば美食で有名です。このゲームに登場する料理は、日本ではなかなか見られない、明代の江南のメニューです。蟹の唐揚げや羊の腸詰めは、説明を読むだけでお腹が空いてきそうです。

歴史を舞台にしたゲームというと、戦乱の攻防を扱うものが思い浮かぶことでしょう。しかし、武将になって天下を統一し、英雄になることだけが人の生きる道ではありません。英雄豪傑が戦う世界にも、ささやかな日常を送る人々がいました。このゲームには、そんな人々の営む生活がつまっています。素敵な服を着て、おいしい食べ物を作り、友人と山に登り、芝居を見る。ともに暮らす人の笑顔がまぶしく思えることもあれば、些細なことで喧嘩をしてしまうこともある。まさに動く絵だからこそ楽しめる、そんな豊かな世界がこのゲームにはあります。

ゲームなのに、攻略情報に熱くなるようなことはありません。遊んでいて苛立つこともありません。そこにあるのは、明代江南を生きている人々の姿です。誰かを倒し、戦うわけではなく、街を作り、文化と歴史を味わう体験です。遊ぶというよりも豊かな時間を描く体験が待っています。