DAU2億のサービスが出る? マーケはどうする? クリプト最前線の事業者達によるセッション「日本GameFi産業におけるプレイヤーと現状」をレポート【IVS Crypto 2022】

IVSは「次世代の、起爆剤に。」をMissionとして掲げスタートアップエコシステムの発展を目指してカンファレンスとなる。今回は目玉の一つとしてIVS CRYPTOを実施している。IVS CRYPTOではGameFi、NFTなど最前線で活躍するトッププレイヤーが集まり、トークセッションを行っている。その他、NFTの展示や、そのオークション、VRアーティストのパフォーマンスに加え、ネットワーキングスペースも設けている。

本稿ではその中で行ったセッション「日本GameFi産業におけるプレイヤーと現状」についてレポートする。

去年から今年にかけて『Axie Infinity』や『STEPN』などPlay To Earnと呼ばれるブロックチェーン・NFTゲームが、一部では大きな熱量を持ったプレイヤーを生んだ。ただしそれも、まだまだ世間ではまだごく一部。モバイルゲームのプレイヤー全体から比べれば微々たるものだ。そんな状況下で実際にクリプト事業をの最先端にいる事業者は何を考えるのか。日本のGamFiの状況についての熱い意見が交わされた。


▲登壇者は、左からForn CEO 藤原哲哉氏(モデレーター)、「Axie Inifinity」日本アンバサダー Albert Takagi氏、OASYS Director 松原亮氏、コインチェック執行役員 大塚雄介氏、Digital Eantertainment Asset(DEA)Co-Founder & Co-CEO 山田耕三氏。

「まだまだ日本のプレイヤー少ない。」国内GameFiの現状とは

昨年の夏に『Axie Infinity』や歩いて稼ぐ『STEPN』などが局所的には盛り上がったものの、まだ一部ユーザーに留まっていることや、まだまだ投機の側面が強いGameFi。それそれそれの視点から、同分野における現在の状況と今後の予想を語ってくれた。

まずはTakagi氏。「暗号資産暴落していることもあり、稼げなくなっているのが今の状況。そんな中で、稼ぐという点が主体ではなくゲームの楽しさや熱狂が大事な点」と語っていた。「ゲームを楽しく遊んで気づいたら稼げてた。ゲームのアセット所有する楽しみといった点に変化していく」というのが同氏の考えるこれからのGameFiとしていた。

Web3やGameFi、NFTなどではコミュニティというワードがたびたび登場する。コミュニティの拡大ひいてはキャズムを超えるためには、複雑なブロックチェーン特有の壁が立ちふさがる。そういった中で、GameFiの拡大とともに、暗号資産取引所の日本のユーザーの変化はあるのだろうか。

コインチェックの大塚氏は、「イーサリアムのサービスが始まると、20代のような若い人が暗号資産を買い始めることはある。」と語っていた。投資ではないため少額ではあるものの、そういった層のユーザーが増えているようだ。従来までの3,40代が稼ぐために高額な資金を投入する層が混在している。そういう意味ではユーザー層の変化は感じているようだ。

また興味深い内容としては、みんな円建てではなくイーサリアム建てでものを考え、それが増えたかどうかを注目しているユーザーも増えてきたとか。まさにデジタル経済圏への第一歩という状況だそうだ。


▲OASYSの松原氏。同社はゲーム向けブロックチェーンの開発を行っている。

「『Axie Infinity』や『STEPN』といったTo Earnコンテンツがは非常にインパクトのあるサービスとなった。ただあくまでもTo Earnとしての要素が強いため、その先を開拓したい」という想いがあるようだ。例えばプレイするためのサービス開始までのハードルが高く「大量の暗号資産を投入できるプレイヤーは元々クリプトにおいての強者でもあるという側面があり、そうではない人を取り込むにはというのが、現在の課題としてとらえている。」という

この点においては、山田氏も同様の意見のようで「敷居の高さについて、英語UIで遊ぶ人はほぼおらず、『Axie Infinity』や『STEPN』のプレイヤーはまだまだニッチである」という認識だそうだ。「今後が稼ぐ以外の楽しさを定義し、ゲームの面白さが経済とつながったときにどういう化学反応を起こすのか楽しみにしている」と話し「ネットに繋がっていないときのゲームユーザー数は、オンラインになってから3倍近くまで増加、ブロックチェーンゲームでも同じようなことが起こるのではないか。であれば参入せざるを得ない」と続けている。

これについては松原氏も思うところがあったようで、「『マイクリプトヒーローズ』は一時期世界で1位だった時期がある。ピークDAUは2万ほどだった。『Axie Inifity』のピークは200万を超えた、あと3年経てば2億のDAUタイトルも登場するかもしれない」と話していた。

*ただし暗号資産が扱えない中国のマーケットが入りにくいという懸念点も話されていた。

 

GameFi普及のために足りないこと

続いてのテーマは日本のGameFiに足りないもの。松原氏は「日本のゲーム会社でNFTを出しているところは少ない。トークンには会計上の問題が出てくるので、出しにくい。トークンエコノミーを取り込むという点が第1ステージになりその状態にいる。」

「一方でグローバルでは、NFTの話になるが、NFTはデジタルだけど限定品が作れる。ロレックスも生産数は限定的、BAYCも同様に1万個しか作ってない。そういった意味ではマーケティングを必ずしもをマスにしないという手法がある。これはゲームにも取り込まれるのでは」というのが同氏の考えだ。

また「その次のステージとしてスマートコントラクトならではの遊びが生まれるのでは」とも予想しているようだ。

予想という点から、2,3年後のトークンエコノミーの予想はできるかという内容に関しても触れられた。これは現在のゲームの開発作りの期間長くかかりがちであるためだ。

これについても引き続き松原氏が「2,3年は無理。ただ1年後ならどうにか」と答えている。「NFTで起こっていることの半年後にブロックチェーンゲームでも同じことが起こると思っている」というのがその理由だ。非連続的な波が起こるこの分野において、そこに乗るように開発していけばちょうどよいタイミングでヒット出せるのではないかと予想していた。


▲Digital Eantertainment Asset(DEA) 山田耕三氏。Play To Earn(プレイして稼ぐ)ゲームの先駆者。国内の暗号資産取引所においても、同社の暗号資産「DEAPcoin」が上場している。

山田氏は「Web3は、とにかく早く開発しリリースすることが重要。この業界は3ヶ月でシーンが変わってしまう。けれど開発は早くて1年はかかってしまう。」状況だとか。DEAは同プラットフォーム上に今年5本のタイトルを提供するが、それぞれテイストが違うものになるという。

そういった状況下では既存の超人気IPをブロックチェーンに乗せるタイミングはまだかかるのではという話にもつながる。というのも今の段階では「IPの監修などをしている時間はないのでないか。1,2週間で市場が崩壊することもある」と山田氏。

「『モンスターストライク』『パズル&ドラゴン』など新しいプラットフォームでは必ず新規のIPが牽引してきた。Web3でも新規IPが登場すると思う。大型IPは最後だろう」と松原氏 は述べた。

またブロックチェーンゲームには、ウォレットが求められる。その影響でもあり一般ユーザーが参加するための敷居は非常に高い。そんな中状況を打破していくのか。

大塚氏は、「こういう時代でもあるのでエデューケーションするといった方向ではなく。隣りにいる友達が教えてくれる。それぞれが助け合っていくのが必要、そういう土壌を作るのが大事」と説明し「そのほうが広がりも早いのでは」と話した。一方でtakagi氏は「”ただウォレットを覚える”ことはやりたくないと思う。楽しいゲームを作ってやりたいために自然に覚えていくのが理想」と語っていた。

今後より多くのユーザーに触れてもらうためには集客も重要になってくる。各社はどのようなスタンスでいるのだろうか。

「DEAでは今年(2022年)、ようやく日本の取引所での扱いが始まりマーケティングをスタートしていく。もしかしたらタクシー広告かもしれない。タレントを起用してやるかもしれない。僕らは『Axie Inifinite』や『STEPN』を知らない層に向けてどれだけアクセスできるかが勝負。」と山田氏が口火を切った。


▲「Axie Inifinity」日本アンバサダー Albert Takagi氏。Axie King Aruchanの名前でYoutubeなどで活動を行っている。『Axie Infinity』は、2021年の夏に世界にPlay To Earnという言葉を広めたまさにパイオニア的タイトル。

Takagi氏は「『Axie Infinity』では、ゲームの開始にあたって3体の高額なNFTが必要だった。一方でアーリーアクセス中の『Axie Infinity Origin』では、earnはできないものの無料のスターターアクシーを用意し、熱中し稼ぎたいと思ったら、NFTを買うようなモデルにチェンジ」したそうだ。

松原氏は「いきなりマスにいかない。ブランディングを進めると憧れる層ができる。アルマーニだとエクスチェンジというブランドがある。トップブランドを限定したユーザーに向け、セカンドブランドをマスに向けていくのが良いのでは?」と提起した。「実際に人気NFTコレクションの「BAYC」などはホルダーに向けて何億円もかけてイベントやパーティをしている。2時流通のトランザクションで数億円入ってくるのを還元している。」とNFTトッププレイヤーの現状を話した。


▲コインチェック執行役員 大塚雄介氏。暗号資産取引所という観点からGamefiの登場によってユーザ層が変化したことなどを語ってくれた。

「コインチェックでは出川哲朗さんをTVCMに起用した。暗号資産の怪しさと難しさがイメージとしてあった。出川さんでも親しめるのものが重要だった。」とその狙いを大塚氏明かした。一方でチープに見せたくはなかったようで、カメラマンには巨匠を起用、TVCMのセットにもかなりこだわったという。


▲Forn CEO 藤原哲哉氏(モデレーター)。YGG Japan Co-founderでもある。Fornは世界最大のブロックチェーンゲームギルド「Yield Guild Games」(YGG)の日本運営も行っている。

なお、セッションではその他「STEPN」の開発の速さは驚異であること。またAppleなどプラットフォームアプリは、BANへの恐怖がつきまとうため、Web主体でやっていることなどが語られていた。現状暗号資産でのやりとりを行っているため、各プラットフォーム内の手数料はかかっていない。ただそれが今後もその状態で利用できるのか、ある日リジェクトされないかというのが懸念点だ。

開発という点では、DEAでは経済圏を組みそこにガワを乗せる手法であることも明らかになった。


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