KADOKAWA、第1四半期(4~6月)決算は2ケタ増収増益に 『ELDEN RING』の海外向け関連の収益計上 ゲーム事業の利益は1億円の赤字→65億円の黒字に大幅改善

  • KADOKAWA<9468>は、7月29日、2023年3月期の第1四半期(4~6月)の連結決算を発表、記録的大ヒットとなった『ELDEN RING』の海外向け出荷に関連する収益などを計上したことで大幅な増収増益となった。

    売上高642億6400万円(前年同期比23.5%増)
    営業利益96億2200万円(同63.9%増)
    経常利益122億8900万円(同100.0%増)
    最終利益76億3800万円(同89.8%増)

    セグメントごとの状況は以下のとおり。

    ①出版事業…売上高319億5300万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益25億7100万円(同52.3%減)
    電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、同社が得意とする異世界ジャンルのコミックなどが好調に推移していることや、国内外で自社ストアのユーザー数が増加したことにより増収となった。

    書籍は、北米の戦略子会社であるYEN PRESSを中心とした海外事業における高成長が継続した。国内では「20代で得た知見」(ノンフィクション)をはじめ、「無職転生~異世界行ったら本気だす~(17)」「大蛇に嫁いだ娘(2)」(コミック)、「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」(一般文庫)などの販売が好調に推移したものの、新刊点数が前年同期比で減少したことや、人気タイトルの権利許諾収入による利益貢献が大きかった前期からの反動により、全体で減収減益となった。

    なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月より書籍製造ラインの稼働を開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックスなどのデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っている。現在、製造ライン拡張を推進していることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めている。

    ②映像事業…売上高92億5600万円(同4.0%増)、セグメント利益6億8000万円(同34.5%減)
    アニメ「勇者、辞めます」「盾の勇者の成り上がり」などをはじめとして、国内向け配信作品や海外向け作品の売上が伸長した。劇場向け作品では実写映画「とんび」が増収に寄与している。一方で、新作本数増加に伴う費用増に加え、人気タイトルの利益貢献が大きかった前期からの反動により、減益となった。

    ③ゲーム事業…売上高125億8200万円(同570.9%増)、セグメント利益65億6900万円(前年同期1億1600万円の赤字)
    記録的大ヒットとなったゲーム作品である『ELDEN RING』の海外向け出荷に関連する収益などを計上したことで、増収増益に大きく貢献した。また、共同・受託開発事業も堅調に伸長した。

    ④Webサービス事業…売上高57億2600万円(同6.5%増)、セグメント利益3億6900万円(同38.3%減)
    動画コミュニティサービスは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が6月末に137万人となり、前年6月末からは減少したが、動画にアイテムを贈る「ギフト」や広告などの伸長により増収となった。各種イベントの企画・運営では、今後のクリエイター投稿とユーザー視聴のさらなる増加を企図した「ニコニコ超会議2022」をリアル会場でも開催した。コロナ禍ながら9.6万人が来場したことにより、チケット・物販売上が増収に貢献したが、大規模開催のための費用増加により、全体では減益となった。

    ⑤教育事業…売上高32億7700万円(同11.0%増)、セグメント利益8億400万円(同15.4%増)
    クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンは、前期の新コース設立や展開地域拡大などにより引き続き生徒数が増加し、増収増益に貢献した。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校でも生徒数が順調に増加しており、同校などに教育コンテンツ・システムの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。

    ⑥その他事業…売上高37億9500万円(同51.6%増)、セグメント損益10億2200万円の赤字(前年同期11億8900万円の赤字)
    IP体験施設の運営は、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベントホール、飲食店などの商業施設を展開するところざわサクラタウンにおけるイベント開催が奏功したことなどにより、増収となった。MD事業においては、EC販売を中心に増収となった。

    ■通期予想は変更なし
    2023年3月期通期の連結業績予想については、従来予想から変更なく、以下のとおり。

    売上高2381億円(前期比7.6%増)
    営業利益178億円(同3.9%減)
    経常利益177億円(同12.4%減)
    最終利益124億5000万円(同11.6%減)

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2581億900万円、営業利益184億5400万円、経常利益202億3600万円、最終利益113億8400万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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