ハイカジ道、そしてgamebizをご覧の皆さま。初めまして! ハイパーカジュアルゲームを中心に開発・パブリッシングをしているタツマキゲームズ株式会社、代表の畑佐(はたさ)と申します。突然「何が始まったんだ!?」と思われているかと思いますので、まずは簡単に本記事の経緯と私の自己紹介をさせてください!
自己紹介
ここ数年間、アプリストアのランキングを賑わせている超手軽でシンプルなゲームが「ハイパーカジュアルゲーム(通称ハイカジ)」です。2018年のCEDECでセッションが行われるなどし、日本でも一時、バズワード的にゲーム業界で盛り上がりを見せてきました(最近は業界であまり聞かなくなっちゃいましたが…)。
私自身はもともと、国内のゲーム会社でアーケードゲームのプランナーとしてキャリアをスタートさせたのち、転職を経て2019年からこのハイパーカジュアルゲームに関わるようになりました。
分からないだらけのハイカジ
いざハイパーカジュアルゲームを始めてみると最初は全くの手探りで、従来のゲームづくりとは全く異なるプロセスに悪戦苦闘…。それに加え、これまでオンライン広告の知識など全く持っていなかった(何なら敬遠していた)ことから、何もかもが分からないことだらけで「果たして本当にこのやり方で合っているんだろうか…?」と不安なことばかりでした。
しかも、日本国内ではノウハウがほとんど蓄積されておらず、ネットの記事やセミナー動画もほぼ全てが海外発。もちろん内容は英語で書かれているため読み解くのも一苦労でした。
その後たまたまヒットタイトルに恵まれたことから「あ、これで良かったんだ!」という答え合わせができ、読んでいた記事の内容や、セミナー動画で言われていたことが一気に腹落ちする感覚がありました。ですが、もし仮にタイトルが出せていなかった場合、今もひたすらに出口の見えないトンネルを走り続けていたと思います。
国内のハイカジ事情
自分の会社であるタツマキゲームズを立ち上げてから、国内でハイカジを手掛けている方と交流させていただくことも増えてきました。しかし、個人の方・企業の方問わずやはり皆さまが口々に「これでやり方が合っているのかわからない」と仰っていて「もうハイカジはうまく行かないから止めてしまった」という声も多く聞くようになっています(悲しい)。
ハイカジは、広告費を大量に投下するその特性から、どうしてもビジネス的な側面ばかりが注目されがちですが、私自身はハイパーカジュアルゲームこそ「自分のアイデアから生まれたゲームを世界に轟かせる」ための、最高に面白くクリエイティブで、かつデータを効率的に用いた次世代のゲームづくりだと思っています。
連載の意図・想い
何十年も前からの「テレビゲーム大国」である日本には、このハイパーカジュアルゲームを通じて世界中の人に刺さるアイデアをつくれるクリエイターがたくさんいると信じています。長くゲーム業界に携わっている人、まだ歴は浅いけどゲームが大好きな若い人や学生さん、誰でも問わずです。
そんな日本で「良く分からないから…」を理由にハイカジに障壁を感じたり、止めてしまう人を少しでも減らし、より多くの人にハイカジづくりの魅力を届けたい!という想いから、今回、gamebizさんに連載の場を頂く運びとなりました。
今後の内容
こちらの連載では「ハイパーカジュアルのつくり方」や「良く分からない英語3文字の広告用語解説」「実際どのくらい稼げるの?」というような、より「実際の現場」に近い内容をご提供できればと思っています。
この連載を読んで「ハイカジをつくってみよう!」「もう一回チャレンジしてみようかな」と思う人が増えれば本望です!!
メールやDMはお気軽に!
前置きが長くなってしまいました(初回なので大目に見てください...)。タツマキゲームズではハイパーカジュアルのあらゆるご相談をお受けしておりますので、まずはお気軽にメールやTwitterでご連絡ください! 書いてほしい内容なども大歓迎です。
ホントに何でも聞いてください、包み隠さずお伝えします(笑)
メール:info@tatsumaki.games
Twitter:ハタサ@タツマキゲームズ(@noots_87)
第1回:ハイパーカジュアルゲームの今
さて、ようやくここからが連載の本題です。今回は大まかに「今ハイカジってどんな感じになってるの?」というのをお伝えしてみます。
ハイパーカジュアルゲームの元祖は2013年にリリースされた「Flappy Bird」というゲームだと言われていますが、本格的にモデルとして台頭してきたのは2017〜2018年頃ではないかなと思います。
▲『Flappy Bird』
格安の単価でインストールを稼ぎつつ、広告収益で売上を上げていくモデルは瞬く間にストアのランキングを埋め尽くして、2021年ごろまではその規模も右肩上がりで成長してきました。その市場規模は2021年には4兆円にも達したと言われています。4兆円ほしい。
コロナ禍も追い風となりその規模をどんどんと拡大させてきたハイパーカジュアルゲームですが、ここ最近はこれまでのようにグイグイと伸びている印象はなく、正直少し頭打ちになったかな?と感じています。詳しい理由は色々ありますのでこれからの連載でお伝えしていければと思いますが、とはいえ「下降に転じた」わけでは無いと見ています。具体的なデータやグラフなど、お見せできるものも出てきたら、そちらも今後の連載でどんどんお伝えしていきますね!
流行りやトレンドは大事?
TiktokやTwitterなどのSNSに「トレンド」があるように、たしかにハイカジにもある一定の流行り廃りがあります。ハイカジの中でもさらにゲームジャンルや種類を分類するときはよく「モチーフ」と「メカニクス」の2つの軸で見ることが多いのですが、それぞれにそれなりのトレンドが存在しているのが事実です。
それなりと書いたのは、たしかにトレンドは存在しているものの、基本はやはり「ゲーム」なので「ちゃんとわかりやすくて面白い」ものであればきちんとヒットするという下地が常にあるからです。トレンドを意識しすぎても結局「後追い」になってしまうので、あくまでも現状把握として知っておくのが良いという感じですね!
モチーフ
さて、軸の1つ目であるモチーフとは「テーマ」や「世界観」のことで、そのゲームが何を元にしているのか? ということです。車の運転、服屋さん、彫刻、筋トレなどいろいろなモチーフのハイカジが出ていますが、その中でトレンドになりやすいのは「SNSで流行っているもの」ですね。
一時期は(著作権的にかなり怪しいものもありましたが)大人気ドラマ「イカゲーム」をモチーフにしたハイカジがたくさん並んでいたり、Tiktokで流行ったミルククレートチャレンジ(絶対に真似しないでください!)をモチーフにしたものがトレンドになっていました。イカゲーム以降は「圧倒的に使われているモチーフ」という偏りは無くなっているかなと思います。
▲『Milk Crate Challenge』
メカニクス
2つ目の「メカニクス」は言ってしまえば「ゲームジャンル」のことで、ハイカジでは「パズル」「ランナー」といったジャンルが多いかなと思います。メカニクスのトレンドも確かに存在していて、パズルゲームは比較的いつも安定的にありますが、一時期はひたすらコースを奥へと進んでいく「ランナー」と呼ばれるメカニクスのゲームがたくさんストアに並んでいました。そしてそのトレンドは最近「アーケードアイドル」と呼ばれるジャンルに変遷しています。
何も知らずにアーケードアイドルとだけ聞くと、商店街に地元アイドルでも来てるのかと思っちゃいますがここでいう「アイドル」は「放っておく ≒ アイドリング」の意味でのアイドルです。ちなみに、私個人の独断ですがこのアイドル(放置)ゲームで最初に一斉を風靡したのが「クッキークリッカー」だと思っています。昔遊んでいた方は久しぶりにブラウザで起動してみると、とんでもない数のクッキーができるかもしれませんね(笑)
▲『Cookie Clicker』
このアイドルゲームに、歩き回ったり動き回ったりするニュアンスの言葉(厳密にはその意味はないですが…)「アーケード」をくっつけたのが、このアーケードアイドルです。アイドルアーケード、と呼んでいるところもありますが、それはもうどっちでもOKです。
このメカニクスが台頭してきたのにも、プレイ時間や継続率アップの必要性など色々とあるのですが長くなっちゃいますので、まずはいくつか代表的なタイトルを遊んでみていただくのが一番かなと思います。各社の回し者でもなんでも無いので、安心してダウンロードしてください(笑)
『Fashion Universe』
『Office Fever』
今回のまとめ
初回ということもあり踏み込んだ内容までは書ききれていませんが、これから月に2回ずつ(8月はあと1回)、より詳しく具体的・実用的な情報を盛りだくさんでお届けしていきます! ハイカジはそのゲーム性や開発手法に好き嫌いはもちろんありますが、少人数でのゲームづくりが好きな人にとってはハマれる開発スタイルかなと思います。
また、先日のGooglePlayの広告ポリシーの変更などでもざわついているように、話題や変化に事欠かない業界でもあります(いい意味でも悪い意味でも…笑)
是非こちらの記事をきっかけに、ハイカジに興味を持ってもらえたら嬉しいです!
次回予告
次回は「ハイカジづくりに必要なものと、イケてるアイデアの出し方(仮)」というテーマで掲載予定ですので、お楽しみに!
会社情報
- 会社名
- タツマキゲームズ株式会社