デジタルハリウッドは、8月31日、同社が運営する『デジタルハリウッド STUDIO』において、「駆け出しクリエイターのためのメタバース講座」を新規で開設する。
同講座では、ゲームメイキングプラットフォームであり、メタバースとしても大きく話題になっているBACASABLE GLOBALの『The Sandbox』の講座となる。
『The Sandbox』と言えば、ユーザーが独自の世界をプラットフォーム上に構築し遊ぶことができる。国内ではスクウェア・エニックスやソフトバンクが投資を行っていることでも界隈では注目を浴びている。
また様々な企業や著名人、アーティストや人気IPなどが「The Sandbox」内の土地である「LAND」を購入し、独自の世界を構築しており、非常に将来が楽しみなプラットフォームでもある。
企業やアーティストと言ってもちょっと有名という程度の企業ではない。「ワーナーミュージック」「グッチ」「アディダス」「Ubisoft」、ラッパーの「Snoop Dog」、DJの「Deadmau5」、人気ドラマの「ウォーキング・デッド」など世界的な企業が軒並みLANDを購入し独自の世界を構築しているのだ。
また過去にSnoop Dogが所有するLANDの隣接地帯の争奪戦が勃発し、最終的におよそ5000万円ほどで落札された土地があるなどの賑わいも見せていた。
そんな『The Sandbox』において、どのような講座を行うのか。発表にあたって、メディア向けの説明会が東京都内で行われたので、その内容をお届けしよう。
*写真は、『The Sandbox』で日本クリエィティブチームをリードするボクセルアーティスト。VEN Mashu 氏(右)、玩具デザイナーであり、『 The Sandbox』でボクセルアーティストでもあるTomGlasses 氏 (左)。VEN氏は説明会で『The Sandbox』の紹介を、Tom氏がハンズオンでの実演を行っている。
■『The Sandbox』とそのアセット制作で稼げる仕組みとは?
まずは『The Sandbox』についての説明が行われた。「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」とはブロックチェーン技術を基盤としたボクセルのメタバース上で遊べる「ユーザー主導のゲームプラットフォーム」となる。PCとMACで利用ができる。
▲キーボードのWASDで移動し、マウスで視点移動をするという操作はPCゲーマーならおなじみの方法。慣れているい人に簡単に操作できる。
▲2019年公開のプラットフォームティザートレイラー。
▲先日開始したアルファシーズン3のティザームービー。
『The Sandbox』内では、個人や企業などの「LAND」が存在し、その世界で遊ぶことができる。日本国内では渋谷のアイコンでもある109のSHIBUYA109エンタテイメントやエイベックス、コインチェックらと提携している。
SHIBUYA109エンタテイメントでは「SHIBUYA109 LAND」の開設を進めているほか、オリジナルNFTアイテムをセットにした「プレミアムLAND」の販売を行うなどしている。
▲提携企業の一部。有名企業やプレイして稼ぐで一躍有名になったブロックチェーンゲーム『Axie infinity』や、NFTゲームの走りとも言える『CryptoKitties』の名前も。
▲こちらはエイベックス。ピコ太郎、浜崎あゆみ(ayupan)、AmPm、大沢伸一(MONDO GROSSO)の4組のエイベックスアーティストの関連NFTアイテムなどが見られる。
▲コインチェックが『The Sandbox』内で制作しているメタバース都市『Oasis TOKYO』。日本を連想させる象徴的な街並みの中に美術館やステージなど様々なイベント施設を設置し、さまざまな分野のアーティストとファンとの交流や企業のコミュニティ育成の場として活用する予定。今年3月にはMIYAVI氏とのコラボも決定している。
また『The Sandbox』ではプレイヤーとして楽しむ部分に加えて、制作をして楽しむという点も重要な要素だ。
『The Sandbox』では別途無料で『Game maker』『VoxEditor』を公開している。
これらのツールを駆使して制作されたのが以下で確認できる。
制作したデジタルデータはASSETと呼び、『The Sandbox』内で利用する以外にも、マーケットプレイスでの販売も可能だ。
今回のデジタルハリウッドの「駆け出しクリエイターのためのメタバース講座」は、このVoxel Artists(ボクセルアーティスト)と Voxel Game Creators(ボクセルゲームクリエイター)の育成を目的とした内容になる。
▲Ven Mashu(ベン・マシュー)氏。『TheSandbox』の伝道師であり、Web3.0での雇用創出とメタバースの世界の解像度を上げる活動も行うなど、クリエイターエコノミーの拡大の注力している。先日渋谷行われたNFT Japan Music Fes「VVAVE3」にもThe Sandboxとして協賛するなど精力的に活動している。<関連記事>
では実際に『The Sandbox』でASSET制作者の働き方や、どの程度の収入を得ているのか。『The Sandbox』のボクセルアーティストであり「TheSandbox Japan」の立ち上げメンバーでもあるVen Mashu(ベン・マシュー)氏が、自身の経験やクリエイターファンドに参加している人の実例を交えて説明してくれた。
▲クリエイターファンドに関しては、現在募集は行っていないものの、講座受講者を対象にコラボコンペを開催し、そこで入賞、さらにゲーム内で利用するための審査を経ることで、クリエイターファンド参加への道が開けることを想定しているそうだ。最初のコラボコンペに関しては後述する「SHIBUYA109 とのコラボコンペを開催」で確認できる。なおコラボコンペは今後も複数開催していくとのこと。
Ven氏がクリエイターとして参加していた際には1000ドル〜1500ドルほどの収入になったという。
クリエイターファンドでは、ひと月に10個程度ASSETの制作を作るという決まり事があり、その中でどれだけ制作するかによって変化するのだという。また副業としてジョインしているクリエイターが多いとのことだ。Ven氏自身のフルタイムで別の仕事を行いながら参加していたそうだ。
現在では『The Sandbox』にフルコミットしており、固定金額での収入があるという。その額は家族とくらいしていけるとしていた。
また法定通貨で5万円ほどの収入を得ているケースもあったようで、別の仕事と両立しながら無理なく制作を行っている人もいるのだとか。
さらにクリエイターの1日の働き方ややりがいについても明らかにしていた。
説明会では、日本チームは今後クリエイターエコノミーを拡充するため、各種コンテンツIPなどの力を借りながら、同プラットフォームの認知とアーティストへの、サポートを行っていくとして発表会を締めくくった。
なお『The Sandbox』を利用するにはあたっては、暗号資産のウォレットが必須であること、また英語環境での利用になるため、これらの点が障壁になっていた人に対しては、特におすすめできるのではないだろうか。
筆者が実際にプレイするにあたっても、この2つの知識が0に近いとかなり高いハードルになるという感想だ。また実際に
『The Sandbox』内で活躍しているアーティストが直接指導することもあり、非常に貴重な体験になりそうだ。
【駆け出しクリエイターのためのメタバース講座】
デジタルハリウッドが運営をする、Web と動画などが学べるラーニングスタジオ『デジタルハリウッド STUDIO』(全国 36 拠点 ※2022 年 8 月 現 在 )では、世界のブロックチェーンをリードするゲームメイキングプラットフォーム「The Sandbox」の世界をクリエイトする Voxel Artists(ボクセルアーティスト)と Voxel Game Creators(ボクセルゲームクリエイター)を育成する新規講座を、全国のデジタルハリウッド STUDIO(札幌、仙台、東京、大阪、福岡)で 9 月に開講する。
■未経験から The Sandbox で活躍する 3 つの秘訣を凝縮した特別講座
<秘訣①実践スキルの習得>
経験豊富な The Sandbox クリエイターに直接会える貴重な機会です!
個性的なデザインやアニメーションで The Sandbox の世界に命を吹き込むコツをレクチャーする・
<秘訣②メタバースのワークフローを体験>
The Sandbox の大規模なゲームやイベントの制作の多くはグループ制作で行われる。
本講座では、VoxEdit と GameMaker の両方を経験し視野を広げることで、将来的にはキャラクターデザイナー、ボクセルモデラー、アニメーター、ギミッククリエイターなどの幅広い役割の中から自分にあったポジ ションが選択できるようになる。
<秘訣③報酬獲得の仕組みがわかる>
NFT の制作に欠かすことのできないメタマスクの準備から、制作したアセットの販売を経験できるので、受
講後すぐに収益化を目指せる。
また受講を通じてクリプト(暗号通貨)そのものの理解も深まりますので NFT が初めての方でも安心して受講できる。
■講座内で行う、アセット制作過程の一部
① VoxEdit(※The Sandbox 内のツール)を使って簡単な武器アセットを作る。
武器テンプレートがあるのでそれを使用し、モデリング、色分け、陰影を付けていく。
② ①で武器アセットが完成したら、マーケットプレイスへの出品を行う。
③ 最後は GameMaker にて、VoxEdit で作成した武器を装備させます。アセットには役割や機能も追加できる。
■SHIBUYA109 とのコラボコンペを開催
講座受講後、受講者を対象とした「SHIBUYA109」とのコラボコンテストを開催する。コンペ入賞者には、The Sandbox のクリエイターになれるチャンスも用意している。
自身のボクセル活動のレベルアップ、キャリアアップに活用しよう。
<コンペ詳細>
VoxEdit(※The Sandbox 内のツール)を使い、指定のテーマに沿ったボクセル作品を指定期間中に応募
する。個性的なデザインやアニメーションで The Sandbox の世界に命を吹き込もう。
<コンペの流れ>
テーマ発表後、作品をツイッターで指定ハッシュタグなどを付けて応募し、プロのボクセルアーティストを含
む The Sandbox のスタッフによる投票で勝者を選出。結果をツイッター・Discord 内で発表する。
また、作品を応募するまでの期間は The Sandbox のクリエイターが Discord でサポート(作品の添削など)する。
<コンペ実施期間>
2022 年 10 月 24 日(月)~2022 年 11 月 4 日(金)
<コンペ結果発表>
2022 年 11 月 13 日(日)
<特典>
企業・ IP とのコラボコンテストではエクスペリエンス内 での使 用や、特別 販 売されるなどを予 定している。
■講座概要
~メタバース時代の生き方~
メタバースはユーザーみんながアバターで過ごすので、リアルの自分とは異なった生き方(名前、性別、年
齢、見た目)ができ、より "自分らしさ" を表現することができる、とても面白い世界です。
また、PC ひとつあればどこからでもメタバースにアクセスできるので、リアルの生活での仕事や学校、家庭
と両立しながら、場所や時間に捕らわれず活動することができます。
例えば、メタバース内で会社に出勤したり、海外の友達を作ったり、自分の作品を世界中にアピールでき
たり、使い方次第でいろんな可能性があるのがメタバースです。
今回の講座では、The Sandbox のツールを使ってアセット制作からマーケットプレイスへの出品までを行う
ので、メタバース内での創作から販売までを体 験します。まずはこの講座を通してメタバースでの活動の
第一 歩を踏み出し、そして受講 後からは、メタバースでの自分なりの生き方、働き方 、楽しみ方を見つけ
てもらえることを期待しています。
<こんな人におすすめ>
・The Sandbox のクリエイターになりたい。
・メタバースや NFT に可能性を感じる。参入するきっかけを探している。
・ゲーム大好き!ユーザーとしてだけではなくクリエイターとしても関わりたい。
・人を楽しませることができる仕事や副業を探している。
・正社員とは違った働き方でクリエイティブなことをしたい。
・クリエイティブなことで収入を得たいけど、まだスキルがない。何かを始めたい。
<開催スケジュール>
申込みフォームはそれぞれの地域によって異なる。日程と地域を確認のうえ、申し込もう。また、こちらの講座はそれぞれ最小開催人数が 5 名となっております。最小開催人数を下回った場合はオンライン開催する。
日程:9 月 25 日(日)
時間:11:00~16:00( 1 時間休憩含む)
定員:20 名
校舎:デジタルハリウッド STUDIO 福岡
福岡県福岡市博多区下川端町 3-1 博多リバレインモール 2 階
申込:https://metaverse-fukuoka.peatix.com
日程:10 月 2 日(日)
時間:11:00~16:00( 1 時間休憩含む)
定員:30 名
会場:EZOHUB SAPPORO (※デジタルハリウッドが運営する起業家エンジニア養成スクール「ジーズア
カデミー」の札幌校が併設されている施設です)
北海道札幌市東区北 8 条東 4-1-20 サツドラホールディングス株式会社本社 2 階
申込:https://metaverse-sapporo.peatix.com
日程:10 月 9 日(日)
時間:11:00~16:00( 1 時間休憩含む)
定員:20 名
校舎:デジタルハリウッド STUDIO 仙台
宮城県仙台市青葉区中央 1-3-1 AER26 階
申込:https://metaverse-sendai.peatix.com
日程:10 月 15 日(土)
時間:11:00~16:00( 1 時間休憩含む)
定員:60 名
校舎:デジタルハリウッド東京本校
東京都千代田区神田駿河台 4-6 御茶ノ水ソラシティ アカデミア 3 階 駿河台ホール
申込:https://metaverse-tokyo.peatix.com
日程:10 月 16 日(日)
時間:11:00~16:00( 1 時間休憩含む)
定員:20 名
校舎:デジタルハリウッド STUDIO なんば
大阪府大阪市中央区難波 5-1-60 28 階 WeWork なんばスカイオ
申込:https://metaverse-osaka.peatix.com
<受講料>
一般 : 20,000 円(税込)
デジタルハリウッド在卒生 : 15,000 円(税込)
<参加特典>
参加記念 POAP(NFT)の配布
<特設サイト>
https://school.dhw.co.jp/school/shinjuku/event/2209_metaverse.html
※申込みフォームはそれぞれの地域によって異なる。開講日程と校舎を確認のうえ、申し込もう。
■講師
VEN Mashu 氏
ボクセルアーティスト
2017 年にクリプトに参入。ブロックチェーンゲームの『The Sandbox』で日本クリエィティブチームをリードするボクセルアーティスト。
TomGlasses 氏
ボクセルアーティスト
玩具デザイナー。
2021 年の春にリーダーVEN よりクリプト、NFT、メタバースを教わり衝撃を受ける。すぐに勉強を開始し『 The Sandbox』でボクセルアーティストデビュー。玩具 業 界で養った、変形デザイン、色彩 構成 力を武 器にメタバースを開拓中。
現実世界では玩具デザインとグラフィックデザインを生業の真面目な個人事業主の顔も持ち、休日は 2人の子供と野山を駆けまわる。「ノリの軽さ」と「仕事の早さ」はピカイチ。
Tomosan 氏
ピンクの人(クリプト仕事人)
ブロックチェーンの技術そのものに興味をもったのは 2017 年。 投資として最初に手にしたのは XRP であり、今でも生粋のリップラー。 HODL 記録は 5 年目を迎える。海外現地での生活・仕事が多く、帰国 後からはその経験を活かし、自身の事業として海外企 業の日本進出 を支援。現在進行形で、それらの企業と彼らの持つプロダクトにブロッ クチェーン・メタバースを掛け合わせた事業を開発中。 その傍ら、2021 年から『The Sandbox』のボクセルアーティスト、ボクセ ルアーティストのチームリーダー、TSB スタッフの 3 つに従事。
hatomame 氏
Game Maker Designer
イラストレーター、漫画家、Game Maker Designer。
2018 年からブロックチェーンゲームで暗号資 産の仕組みに興味を持つ。
リアルでのイベント・ギャラリー活動を、地方移住のため難しくなった経験を活かし、ネット上でのクリエイター活動中に、『The Sandbox』の初期 LAND プレセールに出会い、Game Maker でゲーム制作を始める。
オンラインゲーム歴が長いことを生かし、メタバースでの快適さやワクワク感を意識した空間制作を試行錯誤している。
Sho 氏
Game Maker Designer
暗号資産投資をきっかけに『The Sandbox』のことを知り、そのプロ ジェクトの素 晴らしさとキャラクターデザインの可 愛さに惹かれ1 年 半前から活動開始 Game Maker のギミック構築を得意とするゲー ムクリエイターGameJam の参加と Game Maker Fund への挑戦を活 動目的とした非公式ゲームクリエイターチームを構築中 。
サトウタナカ氏
Game Maker Designer
勢いと雰囲気、妄想でワクワクを生み出すクリエイター。
The Sandbox Game Maker Designer として、メタバース空間制作活動中。『The Sandbox』公式イベント第 6 回 Game Jam 3 位受賞。第 4 回 Game Jam では、左手 2 本、右手 3 本の指を骨折しながらもゲームを完 成させた実 績あり。
普段は日 本 代 表 クラスに一般的な会社員。深夜サトウタナカとして創作活動中。 2021 年 10 月より、コレクタブルN FT 「 I am SatoTanaka」の製作活動もしている。
■7 月開催のイベントレポートについて
2022 年 7 月に開催された「The Sandbox で始める!クリエイターエコノミーの第一歩 」の開催レポートはこちら。
https://school.dhw.co.jp/school/shinjuku/blog/20220729.html
■The Sandbox 概要
名称: The Sandbox
Web サイト: https://sandbox.game/jp
対応 OS: Windows (64bit 版)モバイル OS 近日対応予定
会社情報
- 会社名
- デジタルハリウッド