KLab<3656>は、この日(4月25日)、AI・機械学習をはじめとした取り組みや事例を発表するとともに、同分野における他社への技術提供についても積極的に取り組むことを明らかにした。
同社が既に活用、導入、検証をしているAI技術の事例を紹介した。
<開発効率化>
・リズムゲームの譜面自動生成
リズムゲームの譜面制作を生成AIで支援するシステム。本システムの導入により譜面制作のスピードが2倍になった。本研究論文は、人工知能分野において最も権威ある国際学会の1つであるAAAI-23に採択された。
・自動UIテスト
ゲームでは作品ごとに独自のUIが使われるため、UIテストの自動化が困難だった。ゲームUIに適した画像処理を用いて画面からUIを自動検出すことにより、幅広い作品でテストスクリプトや訓練データなしでの自動操作を可能にした。(関連記事:日本最大級の学会の一つ人工知能学会全国大会で優秀賞受賞)
※開発中大型タイトルにおいて、テスト工程で発見した全エラーのうち約25%を本システムが発見した。
・モーションデータの検索システム
大量の3Dモーションデータの中から目的のモーションを探し出すためには、従来はモーションを1つ1つ再生して確認する必要があった。機械学習によって類似モーションの検索が可能となり、3D制作のスピードアップが期待できる。
<運営の効率化>
・ユーザーレビュー/Twitter感情分析
ストアレビューやTwitter上のユーザーの反応を、ポジティブ/ネガティブなどに分類して可視化する仕組み。目視では感覚的な評価になりやすい、時系列での確認がしづらい、などの課題改善が期待できる。
・チャット監視システム
チャットのスパム投稿を機械学習を用いて検知することで、言語にかかわらず監視可能になるとともに、目視による監視コストを削減できる。
・プレイヤーのデッキ利用状況を機械学習で可視化
PvPデータからデッキ傾向を可視化し、新規キャラクター配信やゲームバランス調整に役立てることができる。
・機械学習による広告効果の最適化
休眠ユーザーなどからゲームに復帰しそうなユーザーを機械学習で推定し、効率的に広告配信を行うことで広告費用対効果の改善に役立てることができる。
<新たなゲーム体験の創出>
・GameAI(AR、共同研究)
ゲーム内で機械学習を活用することにより、今までにないゲーム体験を生み出す技術を九州大学と共同研究している。特に、近年急速に発展している生成AIや識別AIを従来からゲームで使われてきた記号推論AIと繋ぎ合わせ、キャラクターの振る舞いを多様化したり、個々のプレイヤーに合わせたゲームコンテンツを生み出すことができる基盤技術を開発している。この技術を応用して、プレイヤーの好みに合わせた会話をするキャラクターや、実世界の人や物を認識して様々な反応を見せるAR(拡張現実)キャラクターを開発している。
同社では、創業来の研究開発体制を活かし、ゲーム開発・運営の最適化に役立つAI技術の研究、導入を継続的に行っており、AIや機械学習をゲーム開発・運営に導入することにより、ゲーム品質の向上、開発の効率化、新たなゲーム体験の創出などが期待される、としている。
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656