JR東日本、駅前広場や駅構内にイベントや大規模サイネージで利用可能なスペースを上野・秋葉原、新宿各駅に23年冬より順次開設

JR東日本は、上野駅と秋葉原駅、新宿駅に、大規模なサイネージと一体となった駅型ショールーミングスペースを2023年冬から順次開設することを明らかにした。大規模なサイネージとリアルな駅空間を一体として活用し、新たな発見・体験・交流の場を創出する、としている。外出機会やインバウンドの増加とともに、OOH(Out Of Home)広告の活用は一段と活発になりそうだ。コンテンツ業界での利用拡大も見込まれる。

大規模なサイネージを設置し、サイネージの提供する魅力ある映像と連動したさまざまなコンテンツが体験可能な、駅ならではの「没入」できる空間を創出する。

リアルな空間において、デジタルと融合した、新たな発見・体験・交流の場を創出し、ヒトとヒトをつなぎ、多様なコミュニケーションを促進することで、駅の価値を増幅させていく。

また、ビーコンなどのセンサーを設置し、情報発信やコンテンツの効果測定を行うことにより、さらなる魅力向上につなげ、「イマーシブなメディア空間」を進化させていく。

(1)上野駅
■ 上野駅広小路口駅前広場(2023年冬 開業予定)
1932年に落成した2代目上野駅舎のファサードをそのままに、立体感のある映像放映も可能な大型曲面サイネージ(約50㎡)とイベントスペースを整備する。これにより、さまざまな映像技術などを活用し、体験型メディアを楽しむ一体的な駅前広場に生まれ変わる。

 

【活用例】
大型曲面サイネージで放映される立体的(3D)コンテンツと連動し、イベントスペースではユーザー参加型のイベント・催事展開やオブジェ設置など、各種技術と企画の連動により、広場で一体的な体験を演出する。

 

■ 上野駅13番線『PLATFORM13』(2024年春 開業予定)
列車が始発着する上野駅特有のホーム形状をそのままに、高架下の重厚で細長い空間を活かしプロジェクターなどによる映像が表現できる約100mの壁面を整備し、駅を利用のユーザーに特別な体験を提供する。また、JR東日本が推進する「Yamanote Line Museum」※1の一環として、鉄道駅を発信拠点とするアートプラットフォームとして活用していく。
※1 Yamanote Line Museumとは、山手線の駅を中心に、アートに触れることができるスペースを順次展開している取り組み。(現在は、上野駅、高田馬場駅、新橋駅、中野駅、四ツ谷駅で展開)

 

【活用例】
長さのある壁面を利用して映像などを表示できるため、地域のお祭りや巻物のような動きのあるコンテンツや数多くの作品をコレクション形式で網羅的に掲出するなど、壮大な世界観や奥行きを、リアルで日常的な鉄道のホームで、存分に味わうことができる。

 

(2)秋葉原駅
■ 秋葉原駅中央改札外(2024年春 開業予定)
大型サイネージと商業空間が一体となった駅型ショールーミングスペースが誕生する。改札正面上部の大型サイネージと連動した商品の購入・新しいサービスの体験が可能なスペースを整備し、ユーザーと企業をつなぎ、駅での新たな発見や体験価値を提供する。

 

【活用例】
大型サイネージのコンテンツ放映と、ユーザーが商品・サービス・XRなどを体験・購入できるリアルなスペースを連動させることにより、ユーザーは企業や商品の世界観をより深く体験でき、新たな発見につながるショールーミングスペースとなる。

 

(3)新宿駅
■ 新宿駅南コンコース(2024年春 改装予定)
3つの特徴的なサイネージ整備と駅空間の改装により、イマーシブなメディア空間へと再構築する。地域・沿線の旬な魅力発信にも取り組み、駅での新たな体験価値の創出とともに観光などの移動需要を喚起する。

 

【活用例】
3つの特徴あるサイネージにより躍動感のあるコンテンツ放映とともに、それぞれのサイネージと各種イベントやキャンペーンなどが連動した展開を行うことにより、空間全体でダイナミックな情報発信が可能になる。

  

2.「ゼロカーボンメディア」について

JR東日本グループは、2050年度のCO₂排出量「実質ゼロ」を長期目標に、エネルギーを「つくる」から「使う」までのすべてのフェイズでCO₂排出量「実質ゼロ」に向けたチャレンジを行っている。

今回整備する、上野駅、秋葉原駅、新宿駅メディアは、東京都のキャップ&トレード制度※2などを活用し、CO₂排出量(年間550t-CO₂)を実質ゼロにした「ゼロカーボンメディア」として運用する。
※2 東京都のキャップ&トレード制度とは、東京都が都内の大規模事業所に対しCO₂の削減義務を定めた制度。削減義務量を超えて削減した量はカーボンオフセットなどへの利用が可能となる。