ブシロード、23年6月期決算は売上高16.3％増、営業益0.1％減に　TCGユニットの好調が業績をけん引　減損損失計上の最終益は41.5％減に

ブシロード<7803>は、8月14日、2023年6月期の連結決算を発表、TCGユニットの好調が業績をけん引し、第4四半期期間（4～6月）が四半期として過去最高の売上高を記録するなど2ケタ超の増収を達成した。

一方で、英語版「Shadowverse EVOLVE」のリリースやアニメ「BanG Dream! It‘s MyGO!!!!!」の放送開始による宣伝活動費用の増加や、研究開発費の増加などで利益率は低下した。

なお、最終利益はモバイルオンラインゲームに関する減損損失6億7500万円を特別損失に計上したことも影響している。

売上高487億9900万円（前々期比16.3％増）
営業利益33億8500万円（同0.1％減）
経常利益45億300万円（同11.9％減）
最終利益20億5000万円（同41.5％減）

各セグメントごとの状況は以下のとおり。

◆エンターテイメント事業

売上高418億2400万円（前々期比15.0％増）、セグメント利益30億4700万円（同11.2％減）

①TCG（トレーディングカードゲーム）ユニット
「ヴァイスシュヴァルツ」は2022年11月に姉妹ブランド「ヴァイスシュヴァルツブラウ」を発売、2023年3月には15周年を迎えるなど、歴史あるキャラクターカードゲームとして確固たる地位を確立しつつあり、「ホロライブプロダクション Vol.2」「Disney100」など世界的IPの商品を多数発売し、過去最高売上を達成した。

「カードファイト!! ヴァンガード」はアニメ「カードファイト!! ヴァンガード will+Dress」が2022年7月より放送開始し、2023年1月には再放送を含め2025年12月まで継続したアニメの制作を発表するなど、オリジナルIPとして展開をさらに拡大した。

また、「Shadowverse EVOLVE（シャドウバース エボルヴ）」は今期より通年での売上寄与となり、TCGユニットの売上拡大に貢献した。

ヴァイスシュヴァルツのプラットフォームとしての成長、新規タイトルの順調な立ち上がりや国内外のTCG市場の伸長により、TCGユニットの売上は前期に続き過去最高を更新した。

②デジタルコンテンツユニット
モバイルゲームでは『バンドリ！ガールズバンドパーティ！』が2023年3月にリリース6周年を迎え超大型アップデートの実施をし、2023年4月に『ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』をリリースする一方で、『ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル』『ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』や『ヴァンガード ZERO』がサービス終了となった。依然として厳しい状況が続くなか、運営タイトルや収益構造の見直しをするとともに自社IPタイトルを中心にコンテンツの再燃に注力している。

また、コンソールゲームでは2022年11月発売の『カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ』を含む複数タイトルを発売し、新たな収益の柱として順調な立ち上がりを見せている。

複数の新規タイトルのリリースがあったものの、既存タイトルの売上低迷やサービス終了、未リリースタイトルの開発費の計上などもあり、デジタルコンテンツユニットとしては軟調に推移した。

③BI（Bushiroad International）ユニット
BIユニットはTCGユニットとデジタルコンテンツユニットに重複して属している。TCGにおいては、前々期から大きく伸長した前期と同等以上の売上水準を維持しており、新たに英語版「Shadowverse EVOLVE（シャドウバース エボルヴ）」を2023年6月に発売した。

デジタルコンテンツでは、日本国内と同様に英語版『ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』、英語版『ヴァンガード ZERO』がサービス終了となった。

また、全アジア6都市で予定されている国際展示会「2023 BUSHIROAD EXPO ASIA」の開催や、英語版「Shadowverse EVOLVE（シャドウバース エボルヴ）」発売に合わせた全世界講習会の実施開始など、グローバルにブシロードの存在感をアピールした。

④ライブエンタメユニット
ブシロードミュージックでは、ベルーナドームにて2022年11月12日に2年越しとなる「BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022」を、11月13日には「ブシロード15周年記念ライブ」を開催した。さらに、翌年2023年には、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて、5月27日に「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023」、5月28日にRAISE A SUILEN LIVE 2023「EXCLAMATION HIGHLAND」など、期を通してライブイベ
ントを多数開催した。

音楽・映像ソフトにおいては、他社IPの商品も含め、堅調に推移した。劇団飛行船では、飛行船シアターにて2023年6月7日より「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Rebellion」を主催するなど、公演数が増えている。

前年度まで新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けていたが、ライブイベントの動員数も徐々に戻り、回復の兆しが見えている。

⑤MD（マーチャンダイジング）ユニット
MD事業では、第4四半期連結会計期間において「ヘブンバーンズレッドキャンペーン in GiGO」や「映画 五等分の花嫁コラボカフェ&グッズフェア」など催事・フェア販売が好調の上、カプセルトイでも「おぱんちゅうさぎ」や「ぴちぴちピッチ」などのヒット商品が支えとなり売上は好調、利益面も回復傾向となっている。しかし、円安や輸送費・材料費の高騰による影響を大きく受け、軟調な結果となった。

2023年4月には、8月より展開するトレーティングフィギュアブランド「PalVerse（パルバース）」の第一弾となる「僕のヒーローアカデミア」シリーズで予約受付を開始し、将来の伸長へ向けた追い風を作っている。

⑥アドユニット
ブシロードムーブでは、「hololive SUPER EXPO 2023」や「ジャパンキャンピングカーショー2023」など複数の大型イベントの運営・制作に携わり、代理店事業が好調に推移した。アニメ委員会への出資・参画も積極的に行い、プロモーションや音響などの売上獲得に繋がっている。

また、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和や5類感染症への移行に伴い、声優事務所「響」に所属する声優の音楽ライブイベントなどへの稼働が増加した。

◆スポーツ＆ヘルスケア事業

売上高69億7400万円（前々期比24.6％増）、セグメント利益3億3800万円（前々期4100万円の赤字）

新日本プロレスリングでは、国内の観客動員が引き続き回復傾向にあり、2023年4月8日に両国国技館で開催した「SAKURA GENESIS 2023」、2023年5月3日に福岡国際センターで開催した「レスリングどんたく 2023」などの動員が好調であったほか、2023年6月26日（日本時間）にカナダオンタリオ州トロントで前年に引き続き2度目の開催となった米国のプロレス団体「All Elite Wrestling」との合同興行「AEW × NJPW: FORBIDDEN DOOR」の収入も、大きく寄与した。

女子プロレスブランド「スターダム」では、2023年4月23日に女子プロレス団体としては20年ぶりとなる横浜アリーナでの大会、「ALLSTAR GRAND QUEENDOM 2023」を開催したことなどで動員を伸ばし、ブシロードファイトとして営業利益は過去最高となった。

■2024年6月期は小幅増収も新作開発投資の増加で減益見込む

2024年6月期通期の連結業績見通しは、以下のとおり。

売上高510億円（前期比4.5％増）
営業利益20億円（同40.9％減）
経常利益23億円（同48.9％減）
最終利益12億3400万円（同39.8%減）

CGユニット、ライブエンタメユニットおよびスポーツユニットが堅調に推移するものの、戦略転換を行うデジタルコンテンツユニットの売上が減少することから、小幅な増収となる見込み。

費用面については、デジタルコンテンツユニットにおける新規ゲームタイトルへの投資として研究開発費および人件費、広告宣伝費などの費用が増加する見込みとしている。