【決算まとめ①】ゲーム関連企業37社の4~6月は減収企業が37社中25社に M&Aでギークスの収益規模拡大 CAはゲーム事業苦戦も9月リリースの新作『FF7EC』が好発進

柴田正之 編集部記者
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主要モバイルゲーム企業の2023年4~6月期の決算を振り返りたい。この期間は、5月8日から新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行し、イベント開催などが大きく正常化に向かった時期になる。その半面、逆に巣ごもりなどの恩恵を受けていた企業はそのはく落といった影響がさらに広がりやすい環境となっていた。

さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では4~6月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>などの決算は2~4月期の数字を使用している。

なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。また、前四半期に続き、各企業の四半期推移(QonQ)での増収率・減収率で各企業を並べている。

■ギークスがM&Aで大幅増収 「Ragnarok」関連タイトル寄与のガンホーも好調

この四半期の売上高の変化率では、ギークス<7060>の伸びが最も目立った。ギークスは、豪州でIT人材サービス事業を行うLaunch社の連結がこの第1四半期決算から開始となったことが最大の増収要因となっており、その影響は一過性でなく次の四半期以降も継続的に寄与してくる見通しだ。

比較的収益規模が大きい企業では、ガンホー<3765>の増収率が目立っている。ガンホーは、子会社Gravityの展開する「Ragnarok」関連タイトルの好調な推移が業績をけん引しており、QonQ(前四半期比)、YonY(前年同期比)ともに売上を大きく伸ばしている。ただ、国内の売上高については、主力の『パズドラ』の周年が2月ということもあって、例年のトレンド通りQonQで減収となっている。

一方、売上の落ち込みが目立ったのはcoly<4175>だ。colyは、既存タイトルの売上の伸び悩みに加え、新作『&0』のサービスを2月に終了したこともあり、大幅な減収となった。新作開発や新規事業への先行投資も当面続く見通しであり、トンネルの出口が見えるまで少し時間がかかることも予想されるところだ。

■CAのゲーム事業が苦戦…『FF7EC』の好発進で次の四半期に好転も

この四半期決算では、37社中の12社が増収、25社が減収となり、減収だった企業が多かった。また、営業利益については、17社が増益(赤字幅の縮小を含む)、20社が減益とほぼ拮抗した数字となった。

セガサミーHD<6460>は、遊技機事業の収益性の改善が大幅な増益につながった。同様にコナミグループ<9766>やバンダイナムコHD<7832>など家庭用ゲーム大手の利益面の好調さが目立つ形となっている。

半面、サイバーエージェントのゲーム事業の苦戦ぶりが目立っており、この四半期はセグメント赤字に転落している。大ヒットタイトルである『ウマ娘』のヒットによる貢献の反動が大きく、それをカバーするだけの次のヒットタイトルに恵まれなかったとも言える。ただ、同社の子会社アプリボットが開発を担当するスクウェア・エニックスの新作『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』が9月7日にリリースされ、ストアランキング上位に入るなど好調な推移を見せており、次の四半期には業績が好転してくることが予想される。

なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、オルトプラス<3672>、ガンホー<3765>、モバイルファクトリー<3912>、ワンダープラネット<4199>、東京通信グループ<7359>、ブシロード<7803>
増収減益…ボルテージ<3639>、enish<3667>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、ギークス<7060>
減収増益…グリー<3632>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、イマジニア<4644>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>、コナミグループ<9766>
減収減益…MIXI<2121>、コーエーテクモHD<3635>、ネクソン<3659>、モブキャストHD<3664>、コロプラ<3668>、ドリコム<3793>、gumi<3903>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、マイネット<3928>、アカツキ<3932>、アピリッツ<4174>、coly<4175>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、サイバーエージェント<4751>

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
http://www.gungho.co.jp/

会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
企業データを見る
株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
企業データを見る
ギークス株式会社
http://geechs.com/

会社情報

会社名
ギークス株式会社
設立
2007年8月
代表者
代表取締役CEO 曽根原 稔人
決算期
3月
直近業績
売上高237億3900万円、営業利益9000万円、経常利益8200万円、最終損益14億7300万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7060
企業データを見る
株式会社coly(コリー)
https://colyinc.com/

会社情報

会社名
株式会社coly(コリー)
設立
2014年2月
代表者
代表取締役社長 中島 杏奈/共同創業者 代表取締役副社長 中島 瑞木
決算期
1月
直近業績
売上高50億6400万円、営業損益8億1300万円の赤字、経常損益7億9400万円の赤字、最終損益8億3000万円の赤字(2023年1月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
4175
企業データを見る