日本経済団体連合会は、10月15日、基幹産業としてコンテンツ振興に向けた支援策の抜本的拡充を求める提言「Entertainment Contents ∞ 2024」を公表した。
エンタメ・コンテンツ産業は、わが国のデジタル赤字が問題視される中で外貨を稼ぐ産業としての期待が高まっており、国内消費活性化の起爆剤にもなり得る日本経済を牽引する基幹産業の一つであるとともに、ソフトパワーとして日本への関心を高め理解の促進にも貢献することが期待されている。
他方、日本は世界に誇る優れたコンテンツを有しながらも、近年の世界コンテンツ市場の急速に成長スピードに圧され、その地位を失う危機に晒されている。
今回発表した提言は、2023年4月に公表した提言「Entertainment Contents ∞ 2023」をきっかけに大きく動き出したコンテンツ振興策をさらに進めることを目指し、第二弾提言として、官民においていま取り組むべき課題・施策を取りまとめたという。
将来あるべき姿は「世界における日本発コンテンツのプレゼンスを持続的に拡大する」ことであり、日本が世界のコンテンツの発信地となり、世界的なトップの存在となるIPや人物を次々に生み出すことを目標としている。
その実現には、国として長期的な視点での戦略の推進、一元的な推進体制の整備・強化(司令塔機能)、関連予算の大幅拡充による支援施策の強化が必要という。
具体的には、分野共通の9つの施策として、「1.人材育成・確保」、「2.挑戦支援」、「3.デジタル・生成AI」、「4.海賊版対策・著作権保護」、「5.情報・インテリジェンス共有」、「6.ローカライズ」、「7.プロモーション」、「8.拠点・コミュニティ形成」、「9.経済圏拡大」を挙げるとともに、5つのターゲット分野(マンガ、アニメ、ゲーム、実写映画・ドラマ、音楽)の施策を整理している。
特にコンテンツの制作現場においては、これまで労働環境や待遇(やりがい搾取)に関する課題が指摘されてきた。コンテンツ産業の持続的かつ健全な成長には、人材を惹きつける魅力ある産業となることが重要であり、官民を挙げて取り組まなければならない。
また、日本のコンテンツの強みのひとつは、過度な規制や介入のない自由な創作・競争環境の中で、純粋な創作活動に没頭するクリエイターや、それを愛するファンが自らカルチャーを作り上げてきた点にある。
今回、政府予算の大幅な拡充と支援策の強化を求めているが、これは決してボトムアップの創作活動をトップダウンに変えようとするものではないという。
官だからこそできる後押しを得て、民間主導でさらなるクリエイティビティの発揮を目指すことが重要であり、政府が掲げている「官は環境整備を図るが、民のコンテンツ制作には口を出さない」という方針を堅持することが大前提とした。
経団連としては、コンテンツ産業の振興における民と官の健全で適切なパートナーシップの構築に向けて、橋渡し役を担うべく、活動を広げていきたい、としている。
▼「Entertainment Contents ∞ 2024 - Act Now! -」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/070.html