河出書房新社、『古代ローマ帝国大図鑑』を10月29日発売…政治・戦争・宗教・科学技術から芸術・人物・学問・日常生活を最新CGと図版で再現

河出書房新社は、イギリスDK社によるビジュアル決定版の『古代ローマ帝国大図鑑』(原題 Ancient Rome: The Definitive Visual History)を、2024年10月29日に発売する。

本書は、ローマ最初の定住地と呼ばれるパラティヌスの丘の集落から9000万人を超える帝国の最盛期、そして激動の衰退・滅亡まで、古代ローマの全ての期間を圧倒的な情報量で迫るビジュアル大図鑑。

古代ローマは、現在のイタリア・ローマを中心に、北はイギリスから南はエジプトまで、東はイラクから西はスペインまで、広大な地中海地域全域を版図とした世界帝国。

その歴史は2000年以上といわれているが、都市国家にして君主制の「王政期」(紀元前753-前509年)、コンスルと元老院による「共和政」(紀元前509-前27年)、皇帝のもと広大な領土を支配した「帝政期」(紀元前27-紀元後476年)、そして「ビザンツ帝国」(東ローマ帝国)として存続した期間(紀元後330-後1453年)に大きく分けることができる。すべてを繋げると約2200年、帝国となってからは約1500年もの長大な年月、世界に君臨し続けた。

古代ローマにおいては、新しい宗教と政治制度が誕生し、国家が形成され、文化と技術の目覚しい進歩があった。本書は、古代ローマの約2200年の歴史をたどり出来事や戦いの流れを追っていくだけではなく、ローマにおいて変遷し、後世にも大きな影響を与えていく文化面についても深く探究。政治、戦争、宗教、工学、医学、芸術、文学、哲学から、女性、労働などの新たな視点まで、130以上の項目で古代ローマの全貌に迫っていく。

さらに、人物にも脚光を当て、アウグストゥスからコンスタンティヌス1世までの偉大な皇帝や将軍、歴史家など文化的影響力のある人物のプロフィールを特集しつつ、剣闘士やパン屋、奴隷についても一歩踏み込んで掲載。そして一般市民や兵士から迫害した人々まで、イラストや工芸品、今に伝わる言葉などから語られるので、古代ローマに生きる人々の声や日常生活を知ることもできる。

 

■CGを活用したリアルな再現と豊富なビジュアル

監修者の一人マシュー・ニコルズ教授が開発した3Dデジタル技術によって、古代の文献と地図、考古学、碑文、コインの画像を含む文書及び視覚資料から、今ではもう失われて久しい古代ローマの都市や複数の象徴的な建物を生き生きと再現している。

 

▲本書の表紙裏面:古代ローマを再現したの3次元コンピュータグラフィックス

 

また、現在に残る多くの絵画、彫刻、遺構などの約850点もの選ばれた図版も掲載。これに地図も配した圧倒的なビジュアル効果で、古代ローマ世界とその住民の建築、工学、芸術的効果、日常生活について、読者の新しい理解を助ける。

 

■本文より

・ローマの公衆浴場(テルマエ)やコロッセウム、帝国最盛期の港町など、最新の研究をもとに、外観はもちろん内部までCGで再現。 

▲P.236-237:「カラカラ浴場」

 

・地図や年表も随所に掲載され、数雨世紀にわたる歴史の概要をわかりやすく解説。 

▲P.14-15:「伝説の中で生まれた街」

 

・女性や結婚、相続制度、労働者など、新たな視点も追加。 

▲P.70-71:「古代ローマの女性たち」

 

・貴重な遺跡や美術品の図版も多数掲載 

▲P.218-219:「帝国の装身具」

 

■目次

はじめに/統治者たちの年表
1 王政ローマ 紀元前753‒前509年
伝説の中で生まれた街/イタリアの鉄器時代 /エトルリア文明/ローマの建国神話/ローマの王たち/初期イタリアの人々/ローマの統治 /陶工の芸術/初期の宗教 /ラテン語/共和政の誕生
2 共和政ローマ 紀元前509‒前133年
都市国家から超大国へ/貴族と平民/征服した征服者/演劇、音楽、ダンス/神と女神たち/市民と権力/ローマの軍隊/イタリアの征服/ローマ市民であること/神官と宗教 /コンスルの役割/フォルム・ロマヌム/トガ/古代ローマの女性たち/都会と田舎/ギリシアの征服/アトリウムのある別荘/武器と防具/ポエニ戦争/クルスス・ホノルム/奴隷制/ヒスパニア征服/属州の統治/日々のパン/ローマのシンボル/ローマの壁画
3 共和政の危機 紀元前133‒前27年
独裁への道//内乱/ユグルタ戦争/スラ/第3次奴隷戦争/ガリアの征服/ローマのストリートライフ/地上の楽園 /マルクス・トゥッリウス・キケロ/神々の祝祭/家の神様/彫刻作品/偉大なるポンペイウス/カエサルの内戦/いろいろなコイン/ローマ暦 /アクティウムの海戦/ローマ人のように食べる/パクス・ロマーナ/アラ・パキス/リウィア・ドルシッラ/ウェルギリウス、ホラティウス、オウィディウス/パラティヌスの丘とキルクス・マクシムス/医学/死と埋葬 /ポートランドの壺/ゲルマニアのローマ人
4 帝国の最盛期 紀元前27‒紀元後192年
ローマ帝国の拡大/成長する帝国/新しき巨大都市/言葉の力/ローマ人の筆記/ティベリウスのカップ /クラウディウス帝/帝国の果て /ローマの建築物/小アグリッピナ /フランスの大カメオ/愛、セックス、そして結婚/ネロ帝/ドムス・アウレア/ユダヤ戦争/ウェスウィウス火山の噴火/贅沢な見世物/コロッセウム/命がけの戦い/帝国のエンジニアリング/パンテオン/ハドリアヌスの長城/モザイクの芸術/エジプトのローマ人/ローマ中心部を形作る/トラヤヌスの記念柱/ポルトゥス港/帝国の装身具/帝国を旅する/ マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝
5 移行期の帝国 紀元後192‒395年
危機とキリスト教/プラエトリアニ/セウェルスの円形画/ローマのカルト教団/初期キリスト教芸術/カラカラ浴場/ローマでの子供時代/ローマの歴史家/レプキス・マグナ/ローマ・シリア戦争/大地で働く/アウレリアヌス帝の時代/ローマ・ペルシア戦争/ディオクレティアヌス帝の四帝分治/ポルトナッチオの石棺/ウィンドランダ砦/コンスタンティヌス大帝/キリスト教の台頭/ローマの凱旋式/ガラス製品/ファッションと美容/古い宗教と新しい宗教/ローマ哲学
6 西ローマ帝国の滅亡 紀元後395‒476年
衰退と転落/コンスタンティノープル/ゲルマン人の大移動/西ゴート人のローマ略奪/金銀の工芸品/後期のローマ皇后たち/フン人の王アッティラ/「ローマのヨーロッパ」の終焉/科学と知識/法と正義/ローマの失われた建築/西ローマ帝国の滅亡/ビザンツ帝国
ローマと世界の歴史/用語解説/索引/謝辞/図版出典

 

■監修者紹介

▼アンドリュー・ジェームズ・シレット (Andrew James Sillett)
オックスフォード大学のラテン文学とローマ史の学科講師であり、ブラセノーズ大学とセント・ヒルダ大学で教鞭をとっている。ローマ帝国初期のマルクス・トゥッリウス・キケロの受容について博士論文を書いた。主にキケロの生涯と作品に焦点を当てており、共和政後期ローマの文学、歴史、政治、哲学を参照している。

▼マシュー・ニコルズ (Matthew Nicholls)
オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジの上級チューターで、レディング大学の古典学の客員教授。ローマ世界の知的文化と公共図書館について広く書籍を出版している。また、古代ローマの3Dデジタル・モデルを開発し、本書に提供しているほか、レディング大学で人気のあるオンライン・コースで使用し、いくつかの教育賞を受賞している。

 

■日本語版監修者紹介

▼本村凌二(もとむら・りょうじ)
東京大学名誉教授。専門は古代ローマ史。1947年生まれ。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授、早稲田大学国際教養学部特任教授を歴任。著書に『薄闇のローマ世界』(サントリー学芸賞)、『多神教と一神教』『はじめて読む人のローマ史1200年』『ローマ帝国 人物列伝』『英語で読む高校世界史』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。

 

■訳者紹介

▼辻元よしふみ(つじもと・よしふみ)
服飾史・軍事史研究家、翻訳家。陸上自衛隊需品学校部外講師。早稲田大学卒。訳書に、マクドノー『第三帝国全史 上:ヒトラー 1933-1939』『第三帝国全史 下:ヒトラー 1940-1945』、バックレー『第二次世界大戦 運命の決断:あなたの選択で歴史はどう変わるのか』など、辻元玲子との共著に『軍装・服飾史カラー図鑑』『図説 戦争と軍服の歴史』、共訳書に『写真でたどる 麗しの紳士服図鑑』『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』などがある。

 

■監訳者紹介

▼辻元玲子(つじもと・れいこ)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒。ドイツ国立ミュンヘン音楽・演劇大学でハンノ・ブラシュケ教授に声楽を師事、同大学特別課程修了。歴史考証復元画家(ヒストリカル・イラストレーター)、陸上自衛隊需品学校部外講師。日本で数少ないユニフォーモロジー(制服学)と歴史復元画の専門画家。辻元よしふみとの共著・共訳書は上記。

 

■書誌情報

書名: 古代ローマ帝国大図鑑
監修:アンドリュー・ジェームズ・シレット/マシュー・ニコルズ
日本語版監修:本村凌二
訳者:辻元よしふみ
監訳:辻元玲子
仕様:A4変型判/上製/320ページ/オールカラー
初版発売日:2024年10月29日
定価:7590円(本体6900円)
ISBN:978-4-309-22923-2
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229232/
出版社:河出書房新社