アピリッツ、第3四半期は大幅減益も過去最高売上を記録 Webソリューションが炎上案件収束、回復フェーズへ ゲームは上場以来の最高益(書き起こし)

アピリッツ<4174>は、2025年1月期第3四半期の決算発表を行うとともに、決算説明の動画を公開した。発表された第3四半期累計(24年2~10月)決算は以下の通り。

・売上高:64億5400万円(前年同期比2.2%増)
・営業利益:2300万円(同94.7%減)
・経常利益:1900万円(同95.6%減)
・最終損失:5700万円(前年同期は2億7100万円の利益計上)

 

説明にあたった和田順児社長は、第2四半期に発生した炎上案件の影響と本社移転、M&A関連費用により利益が圧迫されたと説明した。ただ、Webソリューション事業は炎上案件の収束後に回復傾向に入ったこと、オンラインゲーム事業は上場以来の最高益を達成するなど足元の状況は改善に向かっていることを強調した。

  

 

株式会社アピリッツ代表取締役社長の和田でございます。2025年1月期第3四半期の決算説明を行います。コーポレートサマリーを説明させていただいた後、第3四半期の業績のハイライトの説明、今後の成長戦略という流れで説明をさせていただきます。

 

■コーポレートサマリー

まずはコーポレートサマリーからです。当社は、世界に愛されるインターネットサービスを作り続けるというミッションを掲げて事業を行っている会社でございます。 

会社の概要です。会社の設立は2000年7月で、第25期となります。従業員は連結で現在は800名弱です。

 

株主の構成ですが、上場以来大きく変更はございません。

 

当社は主に3つの事業を軸に展開しております。1つ目はWebのソリューションということでWebの受託開発等の事業、続いてデジタルスタッフィングと書いていますが、人材育成派遣事、3つ目がオンラインゲームを展開しております。

 

会社の沿革です。現在、第25期となります。いろいろありましたが、上場してから今3年強経っております。

 

続きまして、過去10年間の売上高の推移でございます。順調にトップラインを右肩上がりで伸ばしてきております。

  

■業績ハイライト

早速でございますが、業績の説明を行います。まず第3四半期の業績ですが、売上高は64億で昨年比ほぼ横ばいで着地いたしました。営業利益は2300万円、当期純利益はマイナス5700万円となりました。売上は昨年比で微増ですが、利益につきましては第2四半期に特に出てきた炎上案件が起因して、なかなか利益が出ない状況でした。また9月に行った本社移転に伴う販管費の増加、そして第3四半期に実施した買収関連の費用がかさんだ結果です。

 

続きまして、事業ごとの説明を行います。まずはWebソリューション事業は、第2四半期に発生いたしました炎上案件の対応がちょうど9月に収束しましたが、第3四半期は8月〜10月であったため、利益が出ない状況でした。10月から炎上案件に掛かった外注費の圧縮とともに、炎上案件に掛かっていた人員を違うプロジェクトに配置転換を行っており、第4四半期の回復フェーズに向けた土台作りが完了したと考えております。

デジタル人材育成派遣事業は、売上利益ともに計画通り推移しております。

続きましてオンラインゲーム事業は2024年12月から開始の共同運営案件の初期投資を吸収した上で、既存のタイトルの周年イベント等に伴う売上増加、今年から行っているコスト圧縮が利益貢献に繋がり、上場来最高利益で着地しております。 

コーポレートについては、10月1日に2件目のM&Aを実施しております。また、自社株買いも継続中でございます。9月に、本社移転を行いました。

  

続きまして今期の業績予想は、売上高は90億円、営業利益3億0100万円としております。売上高につきましては予想通りで、利益につきましては、楽観視はできない状況と認識しております。

 

売上高の四半期の推移です。連結では、四半期において過去最高の売上になっております。そのなかで、Webソリューション事業は第2四半期の炎上からまだ回復過程となりますが、M&Aで1社増えていることもあり、連結の売上高といたしましては四半期ベースで過去最高の売上で着地しました。

 

原価および販管費です。売上高に比例するような形で順調に増えております。特に第1四半期〜第3四半期は炎上案件に伴うコスト増で利益は少し苦しんでいる状況が続いておりました。第4四半期からは反転していくという認識です。

 

続きまして営業利益の四半期ごとの推移でございます。第3四半期は営業利益は1000万円で着地しております。第2四半期は、炎上案件の対応で赤字になりましたが、第3四半期は途中まで赤字で、問題収束以降、少しずつ回復してきております。また、10月から1社子会社が増えておりますので、そちらの取得費用等の諸経費が計上されております。

 

EBITDAの推移は収益の改善に伴い回復傾向になっております。

 

貸借対照表です。手元キャッシュと借入を行いながら、財務レバレッジを利かしてM&Aを連続的に実行している状況です。

 

社員数の推移です。第3四半期終了時点で793名と順調に成長の源泉である社員数は増えてきております。引き続き社員構成は20代が中心の会社でございます。

  

■Webソリューション事業

事業ごとの業績の説明になります。まずはWebソリューション事業の四半期ごとの推移で見ますと、第3四半期は売上高8億7200万円で着地しております。炎上案件は9月に収束し、10月から回復傾向で推移しているという状況でございます。グループ会社は10月から1社増えておりますが、順調に伸びてきております。

 

売上原価の推移です。第3四半期では、9月中盤まで炎上案件に対応するための人員増を行い、外注費を中心に比較的多めに計上されました。特に第2四半期と第3四半期に外注費が大きく増えております。10月から現在まで外注費を削減しており、第4四半期の外注費は、炎上前基準に戻っていくと予想しております。

 

セグメント利益の推移となります。第3四半期は、利益率が5.7%ということで、第2四半期からは復活いたしましたが、まだ回復途中です。

 

平均単価の推移でございます。昨年の第2四半期をピークといたしまして、その後は炎上案件の影響で大型の新規のお客様を獲得することができない状況が続いておりましたが、ようやく大型の新規の案件が獲得できる状況になってまいりました。こちらも第4四半期以降は上がってくると考えております。

 

新規の問い合わせの状況です。第3四半期の問い合わせから大型案件を再び獲得することができる状況になってまいりました。営業活動を進めております。

 

 

■デジタル人材育成派遣事業

次はデジタル人材育成派遣事業の説明になります。デジタル人材育成派遣事業の第3四半期は売上高5億3800万円で着地いたしました。こちらは本体と子会社で構成されておりますが、本体側につきましては、ゲーム事業で新規タイトルが獲得できたため、こちらに人材を回して、本体側の売り上げは微減となりました。グループ会社は計画通りに推移しております。

 

原価です。第2四半期からは原価が少し減っておりますが、人員異動に伴う売上減、それに伴い原価も減っております。

 

セグメントの利益です。第3四半期は3400万円で着地しております。オンラインゲーム事業に人員を異動したことにより売上が減り、コストも若干減りましたが、利益も減りました。

  

■オンラインゲーム事業

オンラインゲーム事業です。オンラインゲーム事業は、第3四半期の売上は8億4000万円で着地しております。今年12月から共同運営案件が1タイトル増えておりますので、そちらの売上が乗ってくるため、第4四半期から再び売上が増えてくると予想しております。

 

原価の推移です。こちらは12月から始まっている共同運営案件に対して先行で人員投資を行いつつ、原価としましては、第2四半期と変わらない水準で推移しております。一言で申しますと、既存のタイトルの運営効率化が行われております。

 

それに伴いまして第3四半期のセグメント利益は1億2400万円となりました。四半期利益としては上場来最高利益となりました。昨年後半から今年の前半から行っているコスト削減のため、運営体制を筋肉質にしていく作戦が功を奏しております。

 

開発運営パイプラインの説明です。12月から『乃木坂的フラクタル』が共同運営体制となり、当社も運営に参加させていただくことになりました。

 

引き続き新作自社タイトル1作品の開発を鋭意進めております。

  

■コーポレート

コーポレート関係の説明になります。まず、自己株式取得を行っている最中です。

 

M&Aの情報です。10月1日付で、株式会社クエイルがグループに加わりました。Webソリューション事業にジョインしております。クエイルは、鹿児島のSIです。当社は地方展開により事業拠点を拡大していくとともに、地方採用も強化していく方針で、その一環としてジョインしていただきました。

 

本社を新オフィスに移転しております。

  

■成長戦略

今後の成長戦略です。当社は、2030年1月期には売上高200億円、営業利益20億円を目指す目標を掲げております。2026年1月期である来期は3ケタ億円の売上を目指すため、第3四半期と第4四半期と準備を進めてきました。

 

事業成長イメージです。当社は「学園化」のビジョンを掲げて、「人と事業」が継続して成長し、助け合える環境をしっかりと作っていく、という考えで活動を行っております。

 

学園化により「共に育ち、共に作り、共に生きる」コミュニティをしっかり作って、その中で育成されている人材が価値あるサービスを作り、社会貢献で豊かな社会を実現していく、というようなことを掲げて行動しております。

 

当社は、事業成長ということでは人材が成長の源泉です。学園化により従業員が最適なラーニングゾーンで学べる環境を作って、その従業員の成長が事業成長、そして社会貢献に繋がるような活動をしっかり行うことが事業を成長させていくと考えております。

 

またM&Aも重要な施策と考えております。我々のM&Aの戦略といたしましては、年1〜2件の中小規模の買収を行い、それを継続的に行っていくことを考えております。それにより、M&Aを常日頃行える環境作りを行うことによって将来、大型の案件にも問題なく対応できる組織力を培っていこうと考えております。

 

オンラインゲーム事業の成長イメージです。M&Aに近いものもありますが、基本的にはセカンダリーと呼ばれる、他社が作ったゲームタイトルの運営移管をしたり、共同運営に参加させていただいたりするものです。こうしたタイトルをいくつか積み上げて売上を伸ばしていく作戦を実行しております。『乃木坂的フラクタル』が2025年1月期前にジョインしております。

 

株主還元方針です。当社の株主還元については、自社株買いまた配当を通して、総還元性向30%を目標にしております。今期も第3四半期から自社株買いを実行しております。

 

最後にIRでは、英文の開示も開始しております。またIR情報については、発信力の充実も行っておりますので、ご興味があればご覧いただければと考えております。今後ともアピリッツをよろしくお願いいたします。

 

※読みやすくするため、一部表現などを変更しております。

株式会社アピリッツ
https://appirits.com/

会社情報

会社名
株式会社アピリッツ
設立
2000年7月
代表者
代表取締役社長 執行役員CEO 和田 順児
決算期
1月
直近業績
売上高84億2700万円、営業利益5億9900万円、経常利益5億9600万円、最終利益3億8600万円(2024年1月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4174
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