stuは、これまでよりも少人数でハイクオリティなアニメ映画製作を可能とする『3DレイアウトベースのAIアニメ制作パイプライン』の開発を開始した。
このパイプラインは、ハリウッドで豊富な制作経験を持つMegalisVFX FounderのDaniel Perez Ferreira氏と、国内トップクラスの技術基盤を持つCafeGroupと共同で進められており、今後の日本のアニメ制作基盤になりうる次世代型パイプラインを目指しているという。日本のアニメ業界が直面するアニメーターの高齢化や後継者不足、過密スケジュールといった人材不足の課題と、AI導入における作品ごとのスタイル安定性や監督の細かな意図の反映が難しいという課題の両方を解決する。
新しいワークフローは、3Dレイアウトを基盤とし、AIが一貫したスタイルでアニメを生成する。3Dレイアウトは手書き作画よりも制作ラインの拡張が容易で、監督の意図も明確に反映できるため、少人数でのハイクオリティな制作を可能とする。技術的には、LoRAやファインチューニングを用いて作品ごとのスタイルを長尺で破綻なく維持し、シニアアニメーターの知見をデータセットとして活用することで日本のアニメ表現を継承する。
また、プロンプト依存を排除し、3Dレイアウト作成段階で出力される画像情報と様々なAIモジュールを組み合わせることで、出力結果を精密にコントロールし、アーティストのこだわりを活かした高品質なアウトプットを実現する。さらに、プロフェッショナルな現場対応として、一括変換ではなく、カットごとの最適化や柔軟なポストプロダクション工程を設計している。
AIによる自動化で、膨大な時間とコストを要する制作工程を約3分の1まで圧縮することを目標とし、浮いたリソースをストーリー構築や世界観設計などの創造工程に再配分する。これによりクリエイターが物語と世界観に集中でき、より深い表現を追求できるようになる。小規模チームでの映画・長編制作も可能になり、これまで映像化が難しかった日本発IPの映像化を後押しする効果が期待される。
同社では、初心者向けツールではなく、大規模なアニメ制作現場で使えるハイエンドなプロ仕様のAIパイプライン構築を目指している。ハリウッド規模の制作ノウハウと、日本のトップアニメーターの美学を融合した体制で開発を進め、AIと人間の創造的協働による新しい映像表現を追求し、「AI時代のアニメーション制作スタンダード」を世界に提案していく方針である。
