声優事務所の81プロデュース、AI音声技術のイレブンラボジャパンと業務提携…「声」を守りながらコンテンツの多言語化を可能に

創業45年を迎える老舗声優事務所の81プロデュースは、この日(12月15日)、AI音声技術をグローバルでリードするイレブンラボジャパンと業務提携を行うと発表した。今回の提携では、81プロデュースが所属声優の声を必要に応じて随時イレブンラボへ登録し、イレブンラボは多言語化のためのプラットフォームと技術を提供する。イレブンラボの技術は、「声を守る技術」であるVoiceCAPCHA・デジタル透かし・C2PA準拠などにより不正利用を防ぐ仕組みを確立しており、元の声質やトーンを維持したまま29カ国語もの多言語に生成できる強みを持つ。

許諾を得たアニメやナレーションなどのコンテンツは、元の声優の魅力を損なうことなく多言語化され、世界中に配信される。これにより、「日本語の声優」と「多言語の声優」を組み合わせた新しい概念『ハイブリッド声優』が誕生し、声優の活躍領域が世界へ大きく広がる。社会的意義として、日本の文化を守りながらコンテンツ産業とグローバル市場の接続を支援し、従来の吹き替えによる多言語化のスピード・コスト構造を低下させ、海外市場での日本発コンテンツの競争力向上を支援する。また、声優自身の声の権利保護と新しい収益機会の創出、コンテンツ制作の負荷軽減による制作現場の生産性改善も図る。

【提携内容】
・81プロデュースは、所属する声優の声を必要に応じて随時、イレブンラボの技術を使って登録
・イレブンラボは登録された音声をもとに、許諾を得たアニメ/ナレーション/番組などのコンテンツを多言語化
・イレブンラボの技術を通して、元の声優の声はその魅力を損なうことなく、29カ国語もの多言語に生成される
・そのコンテンツがグローバルに配信され、世界中のファンが、元の声優の声のニュアンスを保ったまま各言語で作品を鑑賞可能になる

■81プロデュース 代表取締役社長:南沢 道義氏
「国産初のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』の誕生・放送から60数年の時間が流れました。アニメ産業は世界へ大きく羽ばたき、次々と話題作が生まれ声優業界も賑やかにその一翼を担ってまいりました。
まもなく私達81プロデュースは創業45周年の節目を迎えます。
その節目の年に「生成AI」問題は登場し、声の保護、アフレコ文化の継承、作品の多言語化、等をテーマに世界屈指のAI技術を持つイレブンラボさんと向き合うことになりました。
大平透さん、小原乃梨子さん、・・・・ご指導いただいた大先輩の声が蘇える!
そんな胸が熱くなるご提案もいただき、声優とAIは共存しコンテンツが拡大・発展する時代へ進むと思います。自分自身の日本語の声とAI技術で多言語化された声を持つ『ハイブリッド声優』が誕生します。私達の大切に育んできた芝居、技術、プロデュースが生成AIと向き合うことに、様々なご意見のある中で私たちは踏み出してみます。
次世代の仲間たちや後輩たちが安心して生成AIと向き合い、真のビジネスパートナーとなることを心から願っています。」

■イレブンラボ Japan & Koreaゼネラルマネージャー:田村 元氏
「日本の声優が持つ高い表現力と独自の文化は、世界のコンテンツ産業において非常に大きな価値を持っています。今回の取り組みは、その文化的資産を尊重しながら、最先端のAI技術を通じて新しいビジネス機会へとつなげるものです。
イレブンラボによる声を守る技術と、オリジナルの声を保ったまま多言語化できる技術の両輪を提供することで、作品のグローバル展開の加速、日本発のクリエイティブ産業のさらなる拡大を支援してまいります。」

近年、声優の声が無断盗用される事例が増加し、その保護が業界全体の喫緊の課題となっている。本提携は、この課題に対応し、日本語コンテンツをオリジナル声優の声質を保ったまま多言語化して世界に届けることを目指す。これは「日本語の文化」「声優のアフレコ文化」を守り継承しながら、声優の価値を世界に広げる文化的な挑戦としている。