
セガがリアル店舗を活用したIP展開を加速している。10月2日には、大阪・心斎橋PARCOに「SEGA STORE OSAKA」をオープンする。国内2店舗目、関西エリアでは初の常設店舗となる。
セガといえば、かつては全国にアミューズメント施設を展開していた。しかし、2020年にアミューズメント施設事業をGENDAへ売却し、現在は自社でゲームセンターを運営していない。
そのセガがいま、新たなリアルのユーザー接点として力を入れているのが「SEGA STORE」だ。
■「遊ぶ場所」から「IPに触れる場所」へ
セガは2025年から国内外で常設店舗やポップアップショップを展開。2026年4月には、常設店舗やポップアップショップの企画・展開・管理を担う「リテール部 セガストアチーム」も新設した。
背景にあるのは、ゲームを起点としてグッズ、映画、音楽、イベントなどへIPを広げていくトランスメディア戦略だ。2024年4月には「トランスメディア事業本部」を設立し、現在は「トランスメディア統括本部」として、自社IPの多角的な展開やブランドコラボレーションによるIP価値の最大化を進めている。
ストア事業も、その一環といえる。「SEGA STORE」は、単純にセガの商品を販売する店舗として設計されているわけではない。
「SEGA STORE TOKYO」では3Dホログラムディスプレイ「3Dファントム」を使った映像演出を行うほか、ゲームの発売や季節、イベントに合わせて照明やディスプレイを変更できる可変性のある売り場を採用。「SEGA STORE OSAKA」では、さらに大型の透過型両面LEDを導入する予定だ。商品を購入するだけでなく、店舗に足を運ぶこと自体がセガのIPに触れる体験になるよう設計している。
■ゲームセンターとは異なる「ファンとの接点」
ここで興味深いのが、セガがかつて持っていたアミューズメント施設との違いだ。ゲームセンターは、ゲームを遊ぶことを軸にユーザーを集める場所だった。そこにはアーケードゲームだけでなく、プライズ、イベントなどを通じてIPに触れる機会もあった。
一方、「SEGA STORE」が扱うのは、より幅広いIPだ。セガグループが持つゲームやキャラクターの商品を横断的に展開できるため、特定のゲームを遊ぶユーザーだけでなく、セガIPそのものに関心を持つファンを取り込める。
さらに、海外からの来店者が多いことを踏まえ、「欲しかった商品を確実に購入できる」ことも重視。限られた店舗スペースの中でも十分な在庫を確保できるよう、売り場自体にもストック機能を持たせている。
そしてもう一つ、リアル店舗ならではの役割がある。セガによると、店舗スタッフには各IPの担当者から作品の魅力や歴史、開発背景などを共有し、それを接客にも活用しているという。
つまり、店舗を介して「セガからファンへ」情報を届けるだけでなく、ファンとのコミュニケーションを通じて「ファンからセガへ」情報が戻ってくる構造を作ろうとしている。
リテール部 セガストアチームの菊地賢哉マネージャーも、店舗を単なる商品販売の場ではなく、ファンにセガの世界観を体験してもらい、同時にファンの声を受け取る「接点」と位置づけている。
■常設店とポップアップで「リアル」を使い分ける
セガは、常設店舗だけを増やしていくわけではない。常設店は、国内外のファンが継続的にセガの世界観に触れられる拠点として運営。一方、ポップアップショップでは地域ごとのストーリーを設計し、現地の反応やニーズを探る。
これは、リアル店舗を「販売チャネル」だけではなく、IPビジネスのマーケティングにも活用する考え方と見ることができる。
オンラインで商品を販売するだけなら、店舗を持つ必要はない。それでもセガがリアル店舗を広げるのは、ECでは作りにくい体験やコミュニケーションに加え、実際のファンと接することで得られる情報にも価値を見いだしているからだろう。
■「SEGA STORE OSAKA」は新たな拠点に
10月2日にオープンする「SEGA STORE OSAKA」は、大阪限定商品の展開も予定する。心斎橋という国内外から人が集まるエリアに店舗を構えることで、関西のファンだけでなく、訪日客を含めた海外ファンへの発信拠点としての役割も期待される。
ゲーム会社によるIPビジネスが、ゲーム、アニメ、映画、グッズ、イベントなどへ広がる中で、「ファンとどこで出会うのか」という問題も重要になっている。
アミューズメント施設という大きなリアル接点を手放したセガにとって、「SEGA STORE」はその代替というより、ゲームセンターとは異なる形でIPとファンをつなぐ新しい接点といえる。
今後、常設店舗とポップアップショップを国内外でどこまで広げ、そこで得たファンとの接点をIP展開にどう生かしていくのか。「SEGA STORE OSAKA」のオープンは、セガのトランスメディア戦略をリアルの側から見るうえでも、ひとつの節目になりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社セガ
- 設立
- 1960年6月
- 代表者
- 代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長執行役員COO 内海 州史/代表取締役副社長執行役員Co-COO 杉野 行雄
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)





