バンダイナムコの「周年」ページから見えるIP軸戦略…ファンだけでなくステークホルダーを巻き込む共通カレンダーに

バンダイナムコグループが、主要IPや商品、サービスの周年情報をまとめた「アニバーサリー」ページを公開している。ファンに向けた周年情報の一覧という位置付けにも見えるが、あらためて内容を見ると、同社が掲げる「IP軸戦略」を象徴する取り組みの一つとして捉えることができそうだ。
同ページでは、2026年に周年を迎える主なIP・商品・サービスを周年別に紹介している。例えば「テイルズ オブ」シリーズ30周年、「太鼓の達人」25周年、「銀魂」20周年、「TIGER & BUNNY」15周年、「アイドリッシュセブン」11周年など、ゲーム、アニメ、玩具、商品、施設など、バンダイナムコグループが長年にわたって展開してきた幅広いコンテンツが並ぶ。
さらに、単にIPだけを並べているわけではない。「ガンダムゲーム」の40周年や「NAMJATOWN」の30周年、「ポケモンキッズ」の30周年など、商品やサービスも含めている点が特徴だ。
■「周年」をIPを動かすきっかけに
周年というと、一般的にはファンに向けた記念イベントや記念商品の展開を想像しやすいが、IPを長期的に運用するバンダイナムコにとって、周年は単なる「過去を振り返る日」ではない。長く続いてきたIPに改めて注目を集め、新たな商品やサービス、イベントなどを展開するための重要なタイミングにもなる。
例えば、あるIPが30周年を迎えることが事前に分かっていれば、グループ各社が周年施策を検討できるだけではない。ライセンス先や商品メーカー、広告会社、出版社、映像関連企業、イベント会社なども、それぞれの立場から周年に合わせた企画を考えることができる。
そして、そうした企画がファンの目に触れることで、IPとの新たな接点が生まれる。つまり、周年を迎える→ IPに改めて注目が集まる→商品・ゲーム・映像・イベントなどが動く→パートナー企業も参加する→ ファンとの接点が増える→ IPが再び活性化する…という循環を作ることができる。周年は、IPを長期的に「そだてつづける」ための一つの起点になり得るわけだ。
■ファンだけでなく、従業員や取引先にも意味がある
このページのもう一つの特徴は、情報そのものが社外にも開かれていることだ。最大の受益者はIPのファンだろう。周年を知ることで、今後どのような記念企画が展開されるのかを期待できる。その一方で、従業員にとっても、自社グループがどのようなIP、商品、サービスを長年にわたって積み重ねてきたのかを俯瞰できる情報になる。
また、取引先やパートナー企業にとっては、より実務的な意味を持つ。「このIPは2年後に周年を迎える」という情報があれば、周年に合わせた商品やキャンペーン、イベント、広告などを早い段階から検討できる。周年情報が早く共有されるほど、外部企業が企画を準備する時間も確保できる。
その意味では、このページは単なる「周年一覧」ではなく、バンダイナムコグループと、その周囲の企業がIPを盛り上げるための共通カレンダーとして機能する可能性がある。
■「IP軸戦略」を具体化する一つの形
バンダイナムコホールディングスは、中期計画において「IP軸戦略」をグループの重要な戦略として掲げている。その
根底にあるのは、IPを起点として玩具、ゲーム、映像、音楽、ライブイベント、ライセンスなど、グループ内外のさまざまな事業をつなぎ、IPの価値を最大化していく考え方だ。
そう考えると、「周年」ページは、そのIP軸戦略を非常に分かりやすい形で表現している。一つのIPについて、バンダイナムコグループの一社だけが周年施策を行うのではなく、グループ各社、外部パートナー、メディア、そしてファンまで、それぞれが異なる形で参加できる。
つまり、周年を一つの「イベント」として閉じるのではなく、IPを中心としたエコシステム全体を動かすきっかけにするという発想だ。
■長寿IPを「資産」として活用するために
バンダイナムコのIPポートフォリオを見ていると、10年、20年、30年、40年以上続くコンテンツが数多く存在する。しかし長寿IPだからといって、自動的に価値が維持されるわけではない。新しいファンとの接点を作り、既存ファンにも新しい楽しみ方を提供しながら、継続的にIPを動かしていく必要がある。
周年は、そのための分かりやすい「理由」になる。
30周年、40周年といった節目があれば、過去のファンが戻ってくるきっかけにもなり、新しい世代がIPを知るきっかけにもなる。そして、そこにゲーム、商品、映像、イベント、コラボレーションなどを組み合わせることで、IPとの接点を増やすことができる。
バンダイナムコが掲げる「IPの可能性を拡げる」という考え方を、周年という分かりやすい仕組みで実践しているともいえる。
■「今年の周年」だけではなく、その先を見る
今回の周年ページを見ていて興味深いのは、掲載されているIPを「今年の記念企画」の情報として見るだけではなく、今後数年間のIP展開を考える材料としても使えることだ。
例えば数年後に周年を迎えるIPであれば、グループ内では企画を準備し、外部企業も商品やイベントなどの提案を検討できる。
そして、その情報をファンも知ることができる。これは、IPホルダーが一方的に情報を発信する従来型の周年施策とは少し違う。周年という未来の予定を共有することで、ファンやパートナーを含めたステークホルダーが、それぞれの立場からIPを盛り上げる余地を作っているからだ。
バンダイナムコの「アニバーサリー」ページは、一見するとファン向けのシンプルなコンテンツだ。しかし、その背景には、長期的にIPを育て、グループ内外のさまざまなプレイヤーをつなぎながらIPの価値を高めていく、同社のIP軸戦略の一端を見ることができる。
「周年」は過去を祝うためだけのものではない。次の数年間、IPをもう一度動かすための起点にもなる。その意味で、バンダイナムコが周年情報を一覧化して公開していること自体が、同社のIPビジネスに対する考え方を示す興味深い取り組みといえそうだ。
▼周年を迎える主なIP・商品・サービス一覧
https://www.bandainamco.co.jp/group/anniversary.php
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会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
- 設立
- 1955年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 宇田川 南欧
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイ
- 設立
- 1950年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 竹中 一博
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1491億5500万円、営業利益122億4100万円、経常利益134億4600万円、最終利益99億4700万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 浅古 有寿
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆3482億4600万円、営業利益1895億1700万円、経常利益2019億2300万円、最終利益1406億5100万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコフィルムワークス
- 設立
- 1976年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 浅沼 誠
会社情報
- 会社名
- 株式会社BANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ)
- 設立
- 2018年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 榊原 博
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1815億9300万円、営業利益312億2700万円、経常利益318億2500万円、最終利益225億3300万円(2023年3月期)