
ドリコム<3793>は、主力タイトル『Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ、ウィズダフネ)』の成長と並行し、「Wizardry」ブランド全体の経済規模拡大を進めている。ゲームの運営に加え、過去作の移植や出版、アニメ、グッズなどを組み合わせ、IPの魅力を多方面から引き出す考えだ。2027年3月期第2四半期の決算説明会では、ブランド展開の進捗とともに、今後5年間で広告費など100億円規模を投じる方針を示した。
■『ウィズダフネ』上期売上は前年同期比12.9%増 2周年施策も好調
『ウィズダフネ』は、2027年3月期上期の売上高が前年同期比12.9%増となった。8月には全世界累計400万ダウンロードを突破。10月15日からは2周年施策を開始し、好調な滑り出しとなった。
2周年施策の売上速報値は、10月1日から28日までの累計で15億円。前年同期の12.9億円を16%上回り、過去最高の月次売上を見込む水準に達した。2周年施策は11月後半まで続く予定で、会社側は第3四半期も前年同期を上回る推移を見込んでいる。
モバイルゲームはリリース初年度が売上のピークとなり、その後は経年による減少は避けられない――これはモバイルゲーム業界ではほぼ常識になっていることだが、『ウィズダフネ』についてはリリースから2年経過しても成長が続いている状況にある。

一方、上期に実施した初の他社IPコラボでは、既存ユーザーの継続や休眠ユーザーの復帰が進み、イベント期間中のデイリーアクティブユーザー数はイベント前と比べて約30%増加したという。ただし、広告投下に対する新規ユーザーの獲得効率には課題が残り、1人当たり売上(ARPU)も社内で想定していた水準には届かなかった。
内藤裕紀社長は、初の他社IPコラボを通じて、新規インストールや復帰、ARPUへの影響を把握できたと説明。今後は新規ユーザーの獲得を狙うのか、既存ユーザーにより楽しんでもらうことを重視するのか、実施結果を振り返りながら検討する考えを示した。
■ゲーム単体にとどまらず、ブランド全体の経済規模を拡大
ドリコムが目指すのは、『ウィズダフネ』単体の成長だけではない。過去作や派生作品、出版、アニメ、グッズなどを組み合わせ、「Wizardry」ブランド全体の経済規模を拡大する戦略を進めている。
同社は「Wizardry」シリーズの一部作品の著作権と国内外の商標権を取得し、ブランド管理を担っている。展開の中心となるのが、運営型モバイルゲームの『ウィズダフネ』と、ノベル・コミック・アニメへと展開する『ブレイド&バスタード』だ。さらに、シリーズの過去作や派生作品をバックカタログIPとして活用し、多方面からブランドの魅力を引き出す。
2026年はシリーズ45周年にあたり、9月15日の「ウィザードリィの日」に合わせて過去作のサウンドトラック配信や記念グッズの販売などを実施。10月には『ブレイド&バスタード』のコミック2作品を同時発売したほか、同作のアニメ化も発表している。さらに、スーパーファミコン版『Wizardry VI 禁断の魔筆』の移植発売も予定しており、過去作を現在の環境で楽しめる形にしながら、シリーズ全体への接点を増やしていく。

こうした展開の背景には、ブランド全体を盛り上げることが、主力ゲームにも好影響をもたらすという考えがある。内藤社長は、IP全体を盛り上げることで『ウィズダフネ』にも効果が及び、相乗効果を発揮できるとの見方を示した。

■関連売上高は48億円規模に 今後5年間で100億円規模を投資
ドリコムの説明資料によると、「Wizardry」関連売上高は2023年3月期の0.2億円、2024年3月期の1.8億円から拡大し、2025年3月期には48億円、2026年3月期には100億円規模となった。ここには『ウィズダフネ』のほか、『ブレイド&バスタード』のノベル・コミック、シリーズのグッズやライセンス売上などが含まれる。
同社は今後5年間で広告費など100億円規模を投じ、IPの魅力を引き出す商品展開と事業間の相互送客を通じて、経済規模のさらなる拡大を目指す。

ただし、投資を拡大すれば自動的に成果が得られるわけではない。『ウィズダフネ』では、2周年施策が好調に推移する一方、新規ユーザーの獲得効率やARPUに課題も見られた。ブランド全体の認知拡大を、ゲームの新規ユーザー獲得や継続利用、収益へとどこまで結び付けられるかが重要になる。
内藤社長は、同社がこれまで権利者とのコミュニケーションを継続しながら、権利関係への理解を深めてきたことにも言及した。複雑な権利関係を整理し、ブランドの管理基盤を整えてきたことが、多方面への展開を支える要素となっている。
ゲームの運営とブランド全体の育成を両輪とする「Wizardry」戦略。今後は出版・アニメ・商品化などの展開を通じてブランドの接点を増やし、その成果を主力ゲームにも還流させられるかが注目される。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高175億4700万円、営業利益4億800万円、経常利益3億1800万円、最終利益2億1300万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793