【インディーゲームの現在地】130年の老舗が見つめるインディーゲーム 松竹ゲームズは「熱量」で作品を選ぶ

京井勇樹氏
京井勇樹氏

映画や演劇、歌舞伎などを手がけ、130年にわたってエンターテインメントを届けてきた松竹。そのグループが、インディーゲームのパブリッシング事業「松竹ゲームズ」を始めて、およそ2年が経過した。

開発チームを持たないパブリッシャーとして、海外タイトルを中心に幅広い作品と向き合ってきた同社は、どんな基準で作品を選び、どのように届けているのか。担当者の熱量を重視する選定の裏側や、パブリッシングのための取り組み、来週発売を控える『夢幻桜楼閣』のことまで、松竹の京井勇樹氏に話を聞いた。

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映画・演劇からゲームの世界へ。松竹がインディーゲーム市場を選んだ理由

――: まず、映画や演劇などをメインにしてきた松竹さんが、ゲームパブリッシング事業に参入した理由やきっかけを振り返っていただけますか?

京井氏: 松竹は総合エンタメ企業として様々な事業を行ってきましたが、新規事業を広げていく思いで、ゲーム事業、特にインディーゲームの事業に絞って展開しよう考えたのが発端でした。もともと弊社全体の課題として、グローバルなマーケットにもっと飛び出していきたい考えはあったのですが、映画や歌舞伎、演劇などは国内マーケットが中心で、外へ出て行くにはハードルが高い部分がありました。
その点、ゲーム事業はグローバルで多数の人々が購入して交流する非常に大きなマーケットであり、魅力的だったのです。
もう一つは、これまでデジタルコンテンツと掛け合わせた展開があまりなかったため、インタラクティブなコンテンツをやってみたかったというのも大きな理由です。

――: 演劇なども海外のファンはいらっしゃるとは思いますが、実際に来てもらう、あるいは海外公演を行うとなるとハードルがありますね。

京井氏: そうですね。 少し昔の話になりますが、演劇も映画も興行を中心としていたため、コロナ禍で非常に大きな打撃を受けました。 もちろん興行は重要ですが、デジタルを通じてグローバルに広げられるコンテンツには大きな可能性があるという話が社内で出たことも、参入の大きな理由です。

――: これまでの映画や演劇、アニメなどで培ったノウハウが、ゲーム事業に生かされている部分はありますか?

京井氏: すごくあると思っています。 タイトルや作品を知ってもらうためのプロモーションやマーケティングの考え方ですね。 映画や演劇とは少し違うかもしれませんが、「作り手がいて、届けるマーケターがいて、お客様に知ってもらう」という流れは、エンタメコンテンツにおいて共通している部分が多いです。 エンタメコンテンツの届け方という点で、一貫性のあるノウハウは生かせていると感じます。 また、松竹自体が興行やオフラインのイベントを行ってきたので、ゲーム事業でもそういった展開を積極的に行っていきたいと考えており、横の繋がりを生かした取り組みもできています。

――: その中でインディーゲームに目をつけた理由は何でしょうか? 例えば社内で、スマートフォンゲーム、あるいは大作タイトルを検討する声はありませんでしたか?

京井氏: 社内で検討しようという声は確かにありました。 ただ、松竹ゲームズ自体は開発チームを持っておらず、異業種からの参入であるため 、自分たちで開発するという選択肢にはなりにくかったという背景があります。 大きなタイトルの場合は、1本あたりに長い開発期間とリソースを割く必要があります。 しかし、事業として様々な人たちと関わりながら広げていくことを考えた際、まずはインディーゲームのサイズ感で、広くお付き合いを広げていくことが重要だと考えました。
ゲーム市場に一歩だけ足を踏み入れるより、いろんなタイトルと関わっていくにはどうすればいいかを考えたとき、ちょうどインディーゲームに勢いがありましたし、インディークリエイターさんとの「クリエイティブファースト」という考え方が、私たちのマインドや市場の両方にフィットすると思ったからです。

――: 他のエンタメ業界では老舗ですが、ゲーム業界においてはルーキーになるかと思います。強みのアピールなど、どう攻めていったのでしょうか?

京井氏: まず評価していただけたのは、130年間、他のエンターテインメントをきちんと続けてきたことでした。 文化をつくってきた実績が認められ、「ゲーム事業の経験は少ないけれど、まずは話を聞いてみよう」と思っていただけました。
また、日本でのパブリッシングに興味を持ってくれる海外の方も多いです。 海外の方々と話していても、日本やアジアを非常に重視してくださっていると感じます。 もちろん、私たち自身もゼロからやるだけでなく、様々な方々に協力していただきながらゲームのマーケティングを勉強してきました。 長い間エンタメ業界でやってきたことが、結果として大きな信頼に繋がっていると感じます。

――: ゼロベースから始めるのとは、やはり信頼感が違いますね。

京井氏: そうですね。 ご一緒させていただく際は、その信頼を裏切らないように精一杯やらせていただいています。

インディーゲーム選定の決め手は「情熱」

――: インディータイトルの選定プロセスや基準について教えてください。

京井氏: 基本的にジャンルは全く固定しておらず、幅広く選定しています。 結果的に、海外のタイトルとご一緒させていただくことが多いですね。
明確な基準を設けていない中でも、タイトルがうまくフィットすれば、私たちとしては映画やアニメ、演劇などのメディアミックス展開ができることが強みになります。 ゲームとして強い世界観を持っている作品は、他のメディアに展開したときにも魅力を失わずに面白い伝え方ができると思うので、そういった強い世界観を持った作品に出会いたいと考えています。

――: 作品やクリエイターの方々とは、どのような場で出会うことが多いのでしょうか? SNSやイベントなどでしょうか?

京井氏: ゲームショウや海外のイベントなどに足を運んでご挨拶したり、SNSやSteamなどから直接お声がけしたりしています。 また、他の方からのご紹介もあります。 イベントで知り合って、そこから関係が広がっていくことが多いですね。

――: 松竹さん側の「目利き」というか、直感を大事にされている部分もあるのでしょうか?

京井氏: おっしゃる通りです。 チーム全員でプレイして、「これはどうだろうか」と話し合って決めています。ですから企画を持ち込まれる際は、デモ版があるとありがたいですね。 そのデモから製品版がどうなっていくのかを想像し、ラインナップと照らし合わせながら決めていきます。 最終的にはフィーリングというか、「このタイトルをやりたい!」というマーケターや担当者の情熱をすごく大事にしています。

――: クリエイター側からの売り込みなどもあるのでしょうか?

京井氏: はい、全く問題なくありますし、そういったお話を伺ってパブリッシングが決まったタイトルも実際にあります。

――: なるほど。ただ、もちろん全てがOKというわけにはいきませんよね。 選定において「ここは絶対にクリアしておいてほしい」という基準はありますか?

京井氏: 明確な数字があるわけではなく、私たちのメンバー側に「このタイトルを絶対にやりたい」という人がいるかどうかが大きいですね。もちろんビジネス的な要素として、市場においてヒットしそうか、差別化要因やマーケット規模などはしっかりと見ます。 しかし、良い作品はたくさんあるため、最終的にそれらの基準を上回るのは担当者の熱量です。 クリエイターさんも命をかけて開発しているので、私たちも「一緒にその作品に向き合います」と宣言できる担当者がいるかどうかが、非常に大事なポイントになります。

実際に「この作品をやりたいです」と担当者が熱望し、2、3ヶ月前にパブリッシングが決まったタイトルもあります。そこは非常にテンポが早いですね(笑)。 最終的なベースとして、クリエイターの熱量と一緒に動きたいと思える人間がこちら側にいるかどうかが、最も重要なポイントだと思っています。

――: お話を伺っていて難しそうだなと思うのは、クリエイター側は売り込むくらいですから絶対に自信があるし必死ですよね。 断るのはなかなか難しいのではないですか?

京井氏: そうですね。しかし本当に申し訳ないのですが、私たちにもリソースの限界があります。 良いタイトルだなと思っていたら、他のパブリッシャーさんで決まったと聞くことも多いです。 インディー開発者さんたちのパブリッシングやマーケティングに対する目線がどんどん上がっており、営業活動なども非常に上手だなと感じます。 ですので、最終的にはお互いのタイミングとパッションの部分で選んでいくしかないですね。

――: 最近では東京ゲームショウに出展されていましたが、ユーザーとの距離感や手応えはいかがでしたか?

京井氏: 今回、松竹は初めてインディーブースではない一般ブースに出展したのですが、手応えはすごくありました。その場で松竹のことを初めて知った人も含めて、タイトルを遊んでくれる人が絶えなかったですし、TGS自体がたくさんの方が来るイベントなので、どう遊んでくださるのかを見る場として非常に貴重な機会でした。日本の開発者さんは自分でイベントに出ることもありますが、海外の開発者さんのゲームが日本のユーザーにどう遊ばれるのかをリアルで見る機会はあまりないんです。生でどんな人が並び、どんなところを遊んでくれるのかを見られるので、できる限り多くのタイトルを出そうというのが今回の趣旨でした。

――: やはりリアルで表情が見られるのは違いますか?

京井氏: 全然違いますね。数字だけだと分かりづらい部分がありますし、ゲームショウで色々なゲームがある中で私たちのブースを選んで遊んでくれるというのは相当な期待値があってこそだと思うので。どういう方々に遊んでもらえるのかを日本で知れるのはすごく良かったです。

――: 逆にゲームショウなどで個人開発のゲームをチェックしたりすることはありますか?

京井氏: めっちゃあります。一般ブースをまわりつつ、ビジネスマッチングの場としてもゲームショウは非常に魅力的だなと毎回思います。

映画・アニメで培ったノウハウを生かす松竹流パブリッシング

――: 実際にパートナーになった後のことについて、松竹ゲームズさんとしては、主にどのような部分をサポートしていくのでしょうか?

京井氏: 大体パブリッシングと呼ばれるものはほぼ全て網羅していると思います。 プロモーションであれば、メディアへのリーチ、インフルエンサーさんとの連携、SNSやコミュニティの運営などです。 昨今はショート動画などでいかにゲームを見せていくかが重要なので、そういった素材を一緒に作っていくことなども一通り行っています。
他には、ローカライズや移植(ポーティング)、QA(品質保証)などのサポートも実施しています。 また、私たちは中国や欧米エリアにもパートナーがいるため、日本だけでなくグローバルな展開もサポートさせていただいています。

――: プロモーションにおいて、キービジュアルなども重要になってくると思います。 そのあたりはクリエイターさんが用意したものを使っているのか、それとも皆で別途作っているのでしょうか?

京井氏: クリエイターさん発信のケースが多いですね。 「こう見せたい」「こういうビジュアルを持っていきたい」という明確な要望をお持ちのことが多いです。 もちろん、いくつかバージョンを変えてABテストをしてみようか、といった提案をちょこちょこと行うことはあります。 しかし基本的には、顔になる部分やロゴなどは、クリエイターさんのデザインやアートワークを大切にしたいという思いがあります。

――: 作ることにしか興味がなくて、デザイン面は完全にお任せ、みたいな方はいらっしゃらないんですか?

京井氏: 皆さんデザイン面まで非常にしっかりと作り込んでいらっしゃる方が多くて、そこはすごいなと思っています。 たまたま私たちが話している方々がそうなのかもしれませんが、「こう見せたい」という明確なビジョンをお持ちなのだと感じます。 もちろんこちらから「こういうカラーリングはどうですか」「明るさはどうですか」と提案することはありますが、開発しながらもよくそこまで時間を割けるなと、とても感心しています。

――: ゲームは総合芸術ですから、イラスト、映像、音楽の全てを自分一人でやっている方もいますしね。

京井氏: そうですね。クリエイティブに関しては私たちが作ることもあるのですが、ロゴのローカライズなど、きちんと共有しながら二人三脚で作っていっている感覚です。

――: もし「ビジュアルなどは全然作れませんが、いいアイデアはあるんです」という人が来た場合、デザイン面でのサポートもされるのでしょうか?

京井氏: もちろんサポートします。 過去には映画などで自社でポスターを作っていた実績もあるので、「こういう配置はどうですか」といった提案はいくらでもできます。

――: これまで様々な形のプロモーションを行ってきたと思いますが、特にこれがユーザー側に刺さったな、という事例はありますか?

京井氏: 刺さった事例で言うと、海外のタイトルに日本の声優さんをキャスティングして、ボイスオーバー(吹き替え)をしていただいたことですね。 日本やアジア圏では、日本語のキャラクターボイスがつく形になります。 私たちは元々アニメなどで様々な展開を行ってきたノウハウがあったため、そういったところからボイスオーバーを実施し、マーケティングの起点にできたことは非常にうまく機能したと感じています。 ボイス周りをリッチにできるというのは個人開発だと難しい部分でもあるため、そこは「松竹らしさ」になりますね。

『MiSide -ミサイド-』では花岩香奈さんが1人9役を演じたことでも話題になった
『MiSide -ミサイド-』では花岩香奈さんが1人9役を演じたことでも話題になった

――: 開発者さんもすごく喜んでくれそうですね。

京井氏: 開発者さんは喜んでくれますし、私たちもアニメを作るようにオーディションを行ってボイス周りを作っていくのは、やっていて良かったなと思える施策ですね。また、これはメディアミックス展開にも繋がる可能性があり、意識して取り組んでいます。

「まずは知ってもらうことが大事」―ゲーム実況もIP展開につながる重要な一歩

――: プロモーションの面で言うと、今はインディーゲームが増えてきており、数に埋もれてしまう危険性も常にあると思います。 そのあたりはどのように対策や考えを持っていますか?

京井氏: 対策のしようはないですね(笑)。 Steam Nextフェスだけでも何千本とありますから。 ただ、私たちとしてはインディーゲームのパブリッシングにおいて、「芯があるゲーム」であることをご一緒する際のポイントにしています。 それを他のゲームとは違う魅力としてうまく伝えられるかどうかを、すごく大事にしています。 「このタイトルの一番新しいポイントは何だろう」「他と違って、ユーザーさんに時間を割いてもらってどういうプレイ感が得られるだろう」といったことは徹底的にこだわり、きちんと打ち出していかなければいけないと常に感じています。 マーケティングの中でも、特にカロリーを割いて取り組んでいる部分です。

――: 開発者さんが大事にしたいポイント、「ここは見せたい」という部分をしっかりヒアリングするようにしているのでしょうか?

京井氏: そうですね。そのポイントがすなわち、開発者さんが見せたいゲームの一番良いところだと思うので。 そういった部分をしっかり聞いて、宣伝に盛り込んでいくという形です。 インディーゲームは開発者さんとユーザーの距離感が近いと思うので、そこをきちんと届けられることがファンベースを作っていくことに繋がるのではないかと考えています。 地道に積み上げて、タイミングを見極めてやっていくしかないと思っています。

――: プロモーションというと、最近はVTuberやストリーマーがゲームをプレイしても、視聴者は見るだけで満足してしまって売上には繋がらないのではないか、と言われることもあります。 そのあたりは宣伝になっているとお考えですか? あるいは、見て満足されてしまっていると感じることはありますか?

京井氏: 私たちとしては、しっかりと宣伝になっていると思っています。 まずは知ってもらうことが何より大事です。 知ってもらえれば、実際にゲームをプレイする人が少なかったとしても、将来的にメディアミックスやIP展開をする時に「あれ知ってるね」となります。 見て満足する人も多いとは思いますが、プレイしたことがない人も知っている状態を作ることで広がっていくと思うので、まずは知ってもらうことがすごく重要ですね。 IPとして長期的に見ていくことが大切で、そもそも知ってもらわなければSteamでクリックすらされません。 知っていて、会話に出してもらうことがすごく大事だと考えています。

――: メディアミックスまで話を広げると、「YouTubeでこれだけ人気です」という実績が一つのアピールポイントになるわけですね。

京井氏: 結果的に私たちにとっても、今後の展開に繋げるための一つの指標やステータスになると思っています。 そこは長期的なお付き合いをしていきたいという考えのもと、取り組ませていただいています。

コンシューマー展開とパッケージ版が持つ意味

――: 具体的なタイトルの話になってしまうのですが、直近のプロモーションの手応えや、印象に残っているものはありますか?

京井氏: 直近だと、11月5日に発売する『夢幻桜楼閣』というゲームですね。電猫遊戯さんという日本のデベロッパーさんとご一緒させていただいていて、発表してからここまで漕ぎ着けるのに3年ぐらいやってきたんですよ。開発者さん自身はもう少し長い期間やられてきたと思うのですが、混み合っている市場とはいえ、発売前になってウィッシュリストなども伸びてきているので、きちんと盛り上がりを届けられているのかなと思っています。

――:『夢幻桜楼閣』はSwitch版も同時発売ですよね。

京井氏:はい。Switch同時発売というのは、元々開発者さんにもパブリッシャー側にも具体的に想定していなかったんです。どうしていくかを話し合う中で、操作感や爽快感がライトユーザーというか、あまりゲームをしない層でも面白がれると感じたので、色々調整しながら進めてきました。結果的にそれがいろんな方々の目に触れるきっかけになってきているのかなと、肌で少しずつ感じています。

――: 埋もれないようにするという意味では、コンシューマー展開も一つの戦略としてありますよね。

京井氏: まさにそうです。インディーゲームがコンソールで世の中にで出る例も増えているとはいえ、Steamに比べればまだ少ないですし、タイトル次第ではありますが、パッケージ版を出したりもします。お店に並ぶというのは、知ってもらうための戦略の一つかなと思いますね。

――: パブリッシャー目線だと、パッケージの価値についてどのようにお考えですか?

京井氏: パッケージがファンアイテムになっているんだろうな、とは個人的にすごく思いますし、パッケージを作る時はよりたくさん売るためと言うより、手元に置いておきたい人向けに作っているのは事実です。
ただ、あれば確実差別化できるポイントになりますし、最近はデジタルでもデジタルコンテンツにデジタルサインをつけるなど、色々な買い方や取り組みが増えています。マーケットに合わせていける余地は全然あるんじゃないかと思います。

――: 逆にクリエイターやデベロッパー側から「コンシューマー展開したい」「パッケージ版を売りたい」といった要望はあるのでしょうか?

京井氏: 全然あります。海外の方々とやっていても「日本でパッケージを売りたいから作ってくれないか」という要望はありますね。

――: パッケージ版で利益を上げたいというより、ユーザーにとっての「ご褒美」やモノとして残る価値を求めているのでしょうか?

京井氏: そうだと思います。利益以上に、モノとして残る価値を追求しているのだと思います。
私たちもせっかくパッケージにするなら、特装版のようなものがあった方が買う人も作る人も喜ぶし、私たち自身も欲しいと思うので、その内容にはこだわります。

松竹ゲームズが目指す「作品と長く付き合う」パブリッシング

――: 松竹ゲームズが立ち上がってから2年間、一定の成功を収めていると思いますが、新しく見えてきた可能性や今後に繋がるものは何か感じられましたか?

京井氏: 最初は日本やアジアのマーケティングを担当することが多かったのですが、最近はグローバル全体を任せてもらえることが非常に多くなってきたと手応えを感じています。一方で、タイトルが多くプレイヤーも多い市場で、パブリッシャーとしての存在意義や「なぜ松竹ゲームズなのか」を打ち出す難しさも感じた2年間でした。

やっていることは他のパブリッシャーと大きく違うわけではない中で、私たちの一つの切り口は、クリエイターさんが作ってきたゲームの魅力を理解し、長くファンを育ててIPにできるかという点だと思っています。そこを丁寧にやっていくことは口で伝えづらく目に見えづらい部分ですが、3年、4年と続けていくことで理解してもらえるようになると思っています。課題も多いですが、引き続きパブリッシングに向き合って頑張っていきたいです。

――: 直近、例えば2026年のインディーシーンを見ていて、何か感想はありますか?

京井氏: 面白いタイトルが増えたと思います。一方で、売れたタイトルのライフサイクルが短くなっている気がします。瞬間風速で話題になっても、次のタイトルがすぐに出てくるんですよね。インディーゲームの数が増えて、一つの話題から次の話題へと移るのがすごく早くなったと感じます。

――: ゲームを遊ぶというより、消費しているような…。

京井氏: そうですね。実況を見て満足してしまうという話もありましたが、そういう感じになってしまわないか心配はあります。もちろんセールで長く売れることもありますが、それと同時に初動でどれだけいい印象を持ってもらえるかもすごく大事だなと。

ウィッシュリストの数や、最初の同時接続数がどれだけ出たかを見られる時代になり、この2年で流れがさらに早くなったと感じます。ただ、開発者さんにとっては自分の作品を長く続けたいはずなので、そこに向き合うパブリッシングが問われる時代ですね。

――: ヒットしたゲームが出るとすぐに似たゲームが山のように出ますが、埋もれた作品を見つける難易度は上がっていると感じますか?

京井氏: 感じています。売れたタイトルに追従する人たちもいますし、AIなどもあって作品数が増えているのは間違いないので、その中でいい作品に出会えるかは本当に難しく、時の運みたいなところもあるのが事実です。

――: そういった「〇〇ライク」なゲームはパブリッシングする際、弾いたりしないのでしょうか?

京井氏: そこは全然弾きません。意図してそれを取り入れているのであれば、その「〇〇ライク」の先にどういうものをやりたいのか、そこが個性的かどうかの話だと思います。

――: 逆に言えば、クリエイターには「その先の部分」をプレゼンしてほしいと。

京井氏: 「面白そうだからやりました」ではなく、取り入れた上で「自分がやりたいことはこうなんだ」という部分に説得力やパワーがあるタイトルは魅力的だと思います。

――: 最後に、パブリッシャーを探しているクリエイターの方々に向けてメッセージをお願いします。

京井氏: いつでもオープンなので、気軽に声をかけてください!イベントで声をかけていただくのも大歓迎です。ただ私たちにもリソースの限界はあるので、すぐにはご一緒できないかもしれませんが、気軽にご連絡いただけたらと思います。多くのタイトルをパブリッシングさせていただきたいという思いもありますし、できる限り一つの作品と長いタイムラインでお付き合いできるのが私たちの持ち味にしていきたいところです。今はタイミングが合わなくてもいずれ合う可能性は絶対にあるので、お気軽にご連絡ください。


――: 本日はありがとうございました。

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松竹株式会社
https://www.shochiku.co.jp/

会社情報

会社名
松竹株式会社
設立
1920年11月
代表者
代表取締役会長 会長執行役員 迫本 淳一/代表取締役社長 社長執行役員 髙𣘺 敏弘/代表取締役 副社長執行役員 武中 雅人
決算期
2月
直近業績
売上高982億4900万円、営業利益61億7300万円、経常利益63億4500万円、最終利益52億3600万円(2026年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9601
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