以前、各国AppStoreトップセールスを比較した記事を掲載したが、今回はその5回目に当たる。1月8日以来で、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、中国の「App Store」のランキングをまとめてみた。
総論としては、これまで世界的にフリーミアム化が進むのかという問題意識から継続的に見てきたのだが、各国のフリーミアムコンテンツのランクインタイトル数を示したのが下の表だ。あくまでこれまで不定期に記事としてまとめたものだけを使っているので、自分で書いておいてなんだが、お世辞にも信頼性が高いデータとはいえないので注意されたし。
上の表を見ると、以前に報告したように、日本で特にフリーミアム化が進んだことがわかるだろう。有料の落としきりのコンテンツはわずか2タイトルのみになってしまった。また、もともとフリーミアムの比率の高かったアメリカ、英国、中国、フランスではあまり変化はない。有料比率の高かったドイツでもフリーミアムコンテンツの比率が少しずつ高まっていることが伺える。サンプルのとり方も不定期だし、対象国やランキングも50位くらいまで取るべきなので、断定的には言えないが、世界的にフリーミアムが主流になりつつあるのかもしれない。
ヒットタイトルの傾向を見ると、各国で特殊性が出ているが、日本はやはり非常に特殊な市場という印象を受ける。例えば、「DragonVale」や「スマーフビレッジ」、「Texas Poker 」、「Poker by Zynga 」といった世界的なヒットコンテンツは、日本ではランキングに入っていない。コンテテンツもフィーチャフォン時代の特徴を色濃く残したタイトルが多い。フィーチャフォンのユーザーがスマートフォンに移行するにつれて、徐々に日本のガラケーコンテンツの文化がスマートフォンにも入ってきた、というべきなのかもしれないが。
各国の状況は以下のとおり。
■アメリカ: 20タイトル中、有料のコンテンツの占める数は、前回比3タイトル減の4タイトルとなった。フリーミアムの比率は、日本についで高くなっている。日本とは異なり、最近になって急速に高まってきたわけではなく、周期的な変動と見なしたほうがいいかもしれない。下のグラフは、有料・無料アプリのタイトル数の推移を示したものだ。「Dragon Vale」や「Temple Run」といったコンテンツが人気だが、ここ最近、Storm8系のブラウザゲーム系の人気も再燃している動きも注目である。
■イギリス: 20タイトル中、有料コンテンツの占める比率は4タイトルとなった。前回から2タイトル減となった。とはいえ、米国と同じく、フリーミアムが増加傾向にあるわけであはなく、季節的な変動と見るべきだろう。「Dragon Vale」や「Poker by Zynga」など米国で人気となっているタイトルがこちらでも人気だが、唯一異なるのはサッカー系のコンテンツが人気になっている点であろう。
■日本: 20タイトル中、有料コンテンツは2タイトルのみだった。前回から2タイトル減。こちらは以前書いたようにフリーミアム系コンテンツが増加する傾向がはっきりとでている。他国と異なりポーカーや箱庭系、育成系の比率が低く、「GREE」や「Mobage」で人気となった系統のバトル・カード系ゲームが上位を占める。他国でも近代の戦争ものやマフィア系のゲームが人気だが、日本はファンタジーや歴史物の比率が高い。
■中国: 20タイトル中、有料コンテンツは8タイトルとなっている。「スマーフ・ビレッジ」や「Fruit Ninja」、「Infinity Blade II」などが海外でも人気コンテンツが入っているほか、三国志を題材にしたコンテンツ、近代戦争もの、幅広いコンテンツが人気となっている。PCオンラインゲームが人気のせいか、PCブラウザゲームから移植・データ連動したコンテンツも人気だ。中国市場は興味深いマーケットとなっている。
■ドイツ: 20タイトル中、有料コンテンツが9タイトルとなっている。 少しずつフリーミアムが増えている。「Zynga Porke」や「Texas Poker 」、「Dragon Vale」、「Smurf’S Village」が人気となる一方、ゲームロフト系の有料タイトルも上位に入っている。トラビアン型のMMOブラウザゲーム「Lords & Knights」(日本語版も出ている)なども人気である。
■フランス: 20タイトル中、6タイトルが有料コンテンツとなっている。上位10タイトルに絞ると、有料コンテンツは1タイトルのみ。「Zynga Porke」や「Texas Poker 」、「Dragon Vale」、「Smurf’S Village」が人気だが、「Diamond Dash 」や「Lords & Knights 」なども高い人気を誇っている。ドイツとともにMMORPG「Order & Chaos© Online 」も上位に連ねている点などは興味深いところだ。
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632