【決算まとめ】ゲームソフト大手6社中4社が営業増益
前の期(2011年3月期)は「伸びるソーシャルゲーム、低迷する家庭用ゲームソフト」という図式が鮮明だったが、この期は、各社の事業展開に違いが出てきた。コナミのようにソーシャルゲームに注力して収益を伸ばした会社がある一方、家庭用ゲームソフトをメインに伸ばしたコーエーテクモHDのようなケースもある。またスクウェア・エニックスHDやバンダイナムコHDのように両部門の収益を伸ばした会社もあった。
以下、各社の動向をまとめておこう。
(注)コナミは、米国会計基準を採用しているため、経常利益はない。
■カプコン<9697>
カプコンは、売上高16%減、営業利益13%減と減収減益となった。前期に大型ソフトを大量投入した反動が出たことに加え、当初予定していた主力タイトル「ドラゴンズドグマ」の発売が次期にずれ込んだことが響いた。モバイルコンテツについては、売上高56%増、営業利益74%増と大幅に伸ばした。『みんなとモンハンカードマスター』と『モンハン探検記 まぼろしの島』が会員数がそれぞれ100万人を突破したほか、海外では『スヌーピー ストリート』と『スマーフ・ビレッジ』が好調に推移した。ビーラインタイトルは、国内外合せて5600万件のダウンロードを突破した。
■コーエーテクモホールディングス<3635>
コーエーテクモHDは、売上高10%増、営業利益74%増と大幅に利益を伸ばした。「無双OROCHI 2」や「戦国無双3 Empires」、「Winning Post7 2012」といった主力タイトルが順調に推移した。共同開発タイトルの「ワンピース 海賊無双」や「ポケモン+ノブナガの野望」も収益を押し上げた。ただ、ソーシャルゲームのあるオンライン・モバイル事業は、売上高3%増、営業利益19%減となり、収益が伸び悩んだ。家庭用ゲームソフトとの連携などの試みを行なっており、このあたりが成否のカギを握りそうだ。
■コナミ<9766>
コナミは、売上高3.0%増、営業利益97%増と大幅な増益を達成した。主力の家庭用ゲームソフトの売り上げが前年比でマイナスとなったものの、「ドラゴンコレクション」や「戦国コレクション」、「プロ野球ドリームナイン」を中心とするソーシャルゲームが大きく伸びた。SNS関連の売上高は367億円となり、第4四半期は100億円を超えており、他社を圧倒する売上となった。さらに、「遊戯王トレーディングカードゲーム」などトレーディングカードゲームも寄与した。
■セガサミーホールディングス<6460>
セガサミーHDは、売上高0.3%減、営業利益15%減と減収減益となった。パチンコ・パチスロを手がける遊技機事業では、液晶を中心としたリユースなど継続的なコスト低減策が奏功し、増益を確保したものの、家庭用ゲームソフトの不振が響いた。『Mario & Sonic at the London 2012 Olympic Games』や『ソニックジェネレーションズ 白の時空』、『ソニックジェネレーションズ 青の冒険』など複数のタイトルを販売したが、主に欧米での新作販売が低調だった。家庭用ゲームの構造改革や減損損失なども計上した。
■スクウェア・エニックスホールディングス<9684>
スクウェア・エニックスHDは、売上高2.1%増、営業利益46%増と増収増益を達成した。家庭用ゲームソフト「ファイナルファンタジーXIII-2」と「Deus Ex:Human Revolution」が順調に販売を伸ばしたことに加え、「戦国IXA」や「ファイナルファンタジーブリゲイド」のコンテンツ課金収入が継続して伸長した。アミューズメント施設も収益を押し上げた。また経常利益については、為替差損が大幅に減少したためで、純利益は前期に計上した特別損失が今期は計上されなかったことによる。
■バンダイナムコホールディングス<7832>
バンダイナムコHDは、売上高15%増、営業利益111%増と大幅な増益となった。ゲームを中心とするコンテンツ事業を中心に、玩具を取り扱うトイ・ホビー事業、アミューズメント施設事業がいずれも増益だった。IPをうまく活用している。家庭用ゲームソフト「DARK SOULS」が欧米で人気になるとともに、国内では「テイルズ オブ エクシリア」、「ワンピース海賊無双」、「AKB1/48 アイドルとグアムで恋したら…」などが人気だった。ソーシャルゲームでは、「機動戦士ガンダム」シリーズや「ワンピースグランドコレクション」などが非常に好調だった、としている。
2013年3月期は、任天堂の据え置き型の新型ハードや、急成長を遂げ収益の柱となったソーシャルゲームとの連携などがポイントになりそうだ。やや伸び悩みの傾向が見られたコーエーテクモHDのソーシャルゲームも2013年3月期に入り、「三国志12」と「100万人の三国志」との連携や、独自プラットフォーム展開などを行なっている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460