【インタビュー】ガンホー『三国テンカトリガー』が“放置ゲー”の新たな遊び方を提示! 放置する「対戦」「マルチプレイ」とは…今後の実装内容を開発陣に直撃

ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が贈るスマートフォン向け放置型ゲーム『三国テンカトリガー』。現在同作では、「対戦」や「マルチプレイ」を含む大型アップデートを控えている。一見カジュアルな印象が持たれる放置型ゲームだが、ガンホー社は今回の大型アップデートで同ジャンルの新たな遊び方や可能性を提示する。
そこで本稿では、『三国テンカトリガー』の開発・運営を務めるガンホーの田口氏と原氏のおふたりに、大型アップデートの内容を含む、2015年における今後の展望を中心にお話を伺ってきた。
■そもそも『三国テンカトリガー』とは
本作は、三国志演義の世界で、魏・呉・蜀に分割された“テンカ”を統一することを目的とした放置型王道三国志ゲーム。プレイヤーは、能力が異なる300名以上の「武将」を戦略的に使いこなし、自分だけの軍団を作り上げ、中国全土に散らばるすべての城を攻め落として“テンカ”を手中におさめることを目指していく。
「武将」を選んだらあとは待つだけの放置型ゲームのため、わずかな空き時間でも手軽に楽しめるのが魅力だ。登場する「武将」や「戦場」には、すべて詳細データが付属しているため、三国志にあまりなじみのない人でも読んでいるだけで三国志に詳しくなれる。
また、サウンドには、ゲーム音楽を忠実に再現するというスタイルで動画サイトなどでも活躍中の「サカモト教授」を起用。勇ましくも優雅なサウンドが本作の世界をよりいっそう盛り上げてくれる。






■「大決戦(仮)」は『三国テンカトリガー』が目指す“最終的なマルチプレイの形”

株式会社ガンホー・オンライン・エンターテイメント
開発ディレクター 田口 敏之 氏(写真左)
サービスプランナー 原 和矢 氏(写真右)
――:本日はよろしくお願いします。はじめにおふたりの『三国テンカトリガー』におけるご担当を教えてください。
田口敏之氏(以下、田口):開発ディレクターを務めています。スケジュールを立てたり、ゲームに新しい機能を取り入れたりと、おもに開発現場を見ています。とはいえ、『三国』ではチーム全体で考えて開発していく体制になっています。
原和矢氏(以下、原):私は開発を見る田口とは異なり、運営側のプランナーとなります。今後のアップデートやキャンペーン・イベントなどの運営施策が中心になっています。
――:今回「Social Game Info」では、初めて本作の開発陣に話を聞くことで、改めて『テンカトリガー』シリーズの開発経緯をお聞かせください。
田口:前身となる『戦国テンカトリガー』を開発した頃までさかのぼりますが、じつは当初『テンカトリガー』は全世界をテーマにした軍事的なシミュレーションゲームでした。戦国もあって、三国もある感じだったのですが、それらを戦国にギュッと凝縮したのが『戦国テンカトリガー』となります。
――:ただ、コンセプトは「放置型ゲーム」ですよね。
田口:そうですね。私自身ゲームは好きですが、なかなか遊ぶ時間が無くて、あまりやらなくなってしまいました。そこで考えたのが「放っておいても遊べるゲーム」、いわゆる放置型ゲームでした。
――:なるほど。そして『戦国』から続編『三国』に開発が至った経緯などは。
田口:当初は『戦国』の大型アップデートを考えていたのですが、あまりにも規模が大きくなったので、「それならば新しい作品を1本作ったほうがいい」ということになり、このプロジェクトが立ち上がりました。開発の際は『戦国』で得たノウハウを活かしつつ、内容もグレードアップしていきました。
――:それでは、ここから2015年に実装予定のアップデート情報について伺っていきます。まず「対戦」モードですが、『戦国』にもあったようなかたちでしょうか。

一方、新たに実装する『三国』の「対戦」モードでは、事前に対戦相手が分かるようになり、相手の編成を把握して戦略を練ることができるようになります。また、「対戦」では“攻める側”と“守る側”というふたつの立て付けを用意しており、後者は「対戦」モード実装後に追加アップデートするかたちで取り入れていきたいと考えています。
――:攻める側、守る側ですか。
田口:はい。役割は単純で、攻める側はセットした軍団同士で戦い、守る側は自分の防衛軍団を都市に配置することになります。攻める側は相手のHPを全部削りきったら勝ちで、防衛側は時間以内に守り切ることで勝利となります。「対戦」モードでは、こうしたふたつの要素が入っています。
また、対戦の際には、ある程度のプレイヤー情報は表示されるのですが、じつは大将以外は全て隠れている状態で、相手がどんな編成になっているか分からないようになっています。そこで新要素の「偵察」というコマンドを選ぶことで、相手が編成している武将が分かるにようになり、そこから相手の能力を封じるなど事前に戦略を変えることができるようになります。ちなみに、防御側は相手が誰なのか分からないため、事前に罠を仕掛けて妨害することができます。
なお、今のところ「偵察」には兵糧(スタミナ)を消費することを考えています。「対戦」モードでは報酬として対戦コイン(仮称)がもらえて、これを積み重ねることでランクが上がり、段階に合わせて特別なアイテムが取得できます。あとは対戦コインを使ったくじも考えています。
――:「対戦」モードを実装する際に、何か気を配ったことなどはありますか。
原:分かりやすさを重視したUI(ユーザーインターフェイス)を心掛けました。本作はテキストベースのゲームのため、勝敗などの結果がパッと見では分かりづらいところがあります。そのため、結果の見やすさなど、様々な部分で改善を行いました。また、報酬もユーザー様に喜ばれるようなラインナップとなっています。
――:また、武将には隠しパラメータも存在するとのことですが。
田口:ええ。じつは、今までも「運」や「防御力」といった各武将には隠しパラメータが存在しました。こちらを今後のアップデートで開放して、価値を見出していきます。例えば「運」では、純粋に戦場の報酬で良いものが出やすくなったり、多く出るようになったりするような感じです。もちろん、編成の武将の数によりパラメータも全部加算されていくため、その効果は上がっていきます。
――:装備に関するアップデートについてはいかがでしょうか。
原:現在武将はひとつしか装備できませんが、それらを増やしていきます。パラメータの増減はもちろんですが、装備品に特技を付与していくことも考えており、より武将を拡張していく楽しみがあります。もちろん、合成や売却の実装も予定しています。
――:放置型ゲームには珍しい「マルチプレイ」の実装も予定しているとお聞きしました。
田口:「マルチプレイ」では、自分が攻め込んでいる戦場に、ほかのプレイヤーがお手伝いに来てくれる「レイド戦場」を予定しています。このほか、複数人で利用可能なゲリラショップの実装も検討しています。これは、たとえばショップを前の方が使った後だと、購入・売却物が変化したうえで次にショップを利用する方にまわってくるという形です。「マルチプレイ」の実装により、これまで以上にほかのプレイヤーの存在を感じられたらと思っています。
――:ちなみに「対戦」「マルチプレイ」など、今後実装されるコンテンツに付随して、何かキャンペーンやイベントなども変化していくのでしょうか。

また、ゲーム内には特技レベルという要素があるのですが、「対戦」の報酬にどんなキャラクターの特技レベルでも1上げてくれるアイテムの用意も検討しています。「対戦」モードは、参加する価値のある報酬を用意しています。
――:これまで「対戦」「マルチプレイ」と聞いてきましたが、もうひとつ「大対戦(仮)」なるコンテンツも今後のアップデートで考えているとお聞きしています。
原:はい。まだ名称は仮なのですが、この「大対戦」では各勢力ごとに戦う大規模な対戦モードを想定しています。三勢力に分かれたプレイヤーたちは、まさに三国志の地図上で戦いを繰り広げていくことになり、「魏の陣地が広がった」「呉の陣地が攻められている」など、勢力ごとに白熱した対戦が味わえます。「大対戦」は、我々が目指す『三国テンカトリガー』における、“最終的なマルチプレイの形”として開発を進めています。
田口:今回発表したアップデートのなかで、最後に実装を予定しているのがこの「大対戦」です。三国志ゲームに相応しい、各勢力が長期的に戦い続けられるようなコンテンツを開発していきます。
――:ちなみに、三国は自動的に振り分けられるのでしょうか。
田口:そちらに関しては、現在調整中です。ユーザー様によっては不公平になりかねない状況にもなるため、そうした形には基本的に無いように気を配りながら実装を進めていきます。
――:楽しみにしております。また、2014年9月の配信から現在まで、ユーザーからはどのような反響がありますか。
田口:『戦国』から続くシリーズ作品のため、ゲーム内容は好評をいただいています。やはり本作は放置型ゲームのため、なかなか楽しくなるまでに時間がかかってしまいます。ただ、そこを一度乗り越えてしまうと「あ、このゲーム面白い!」という瞬間に多くのユーザー様が直面するようです(笑)。
原:また、先日のアップデートでは、初心者手引きというシステムを追加しました。この手引きでは、「いま兵糧がMAXだから出陣しよう」「すでに武将が帰還しているから確認しよう」などのメッセージが表示され、プレイヤーに対して具体的な行動を示してくれるようになっています。このように、導入部分からつまずかないような施策を取り入れています。
我々のチームは、必ずお客様からのご意見は全て目を通しています。チーム全体で「今何が問題になっているのか」をきちんと把握して、逐次解決していく体制で進めています。
――:それでは、最後に「Social Game Info」読者にメッセージをお願いします。

田口:『三国』『戦国』に対する私の理想は、新しいコンテンツを実装したあとでも、基本は「ゲームを放ったらかしにしても大丈夫」であることです。2015年は、そうした遊び方を逐次拡充していきますので、ぜひ、お楽しみください。
原:『テンカトリガー』は、おもちゃに例えると知恵の輪です。解いていく過程が楽しくて、一度解き方が分かるとより楽しみ方が広がり、また次の知恵の輪に挑戦したくなるようなゲーム性になっています。とはいえ、そもそも知恵の輪が分からない方もいるため、2015年はひとつひとつ丁寧にコンテンツの魅力を伝えていき、これからも多くのユーザー様に楽しんでもらえるように努めていきたいと思っています。
――:本日はありがとうございました。
(取材・文:編集部 原孝則)
■『三国テンカトリガー』
(C)GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森下 一喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高1036億円、営業利益174億9100万円、経常利益200億1300万円、最終利益111億7100万円(2024年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765