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【イベント】『アストロノーカ』20周年イベントで明かされる魅力の神髄とは…害獣バブーの遺伝的アルゴリズムにAI学会が注目!?

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モリカトロンは、1月15日に、『アストロノーカ』の発売20周年を記念する、メモリアルトークイベント「アストロパーティー2019」を開催した。20年の時を経て、『アストロノーカ』に詰め込まれたAI技術の全てが公開された本イベントの内容をレポートしていく。

そもそも『アストロノーカ』という作品は、1998年8月27日に、エニックスが発売したプレイステーション用の育成シミュレーションゲームだ。「アストロパーティー2019」を開催するにあたり、スクウェア・エニックスも協力している。



会場となった渋谷のトークライブハウス「LOFT9 Shibuya」では、トークライブの開催に合わせて、開発者たちが原案したコラボメニューの販売も行われた。

 

本イベントには、『アストロノーカ』製作当時のスタッフ、プロデューサーの齊藤陽介氏、ゲームデザインを手がけた森川幸人氏をはじめとした総勢9名が登壇し、『アストロノーカ』製作当時のエピソードについて語り合った。


▲イベントの進行役を務めたのは、10社以上の取締役を兼任するゲームプロデューサーの成沢理恵氏(写真左)。齊藤陽介氏(写真中央)、森川幸人氏(写真右)も、ともにイベント開始から終了まで登壇していた。


▲現在は『ドラゴンクエストビルダーズ』シリーズのプロデューサーを務める藤本則義氏。関係者としてイベント観覧に来ていたが、成沢さんに促されて、来場者に挨拶していた。

イベントの第1部では、事前に用意した『アストロノーカ』のプレイ動画を見ながら、成沢氏、齊藤氏、森川氏が本作の内容を振り返っていった。



『アストロノーカ』は、宇宙農家(アストロノーカ)となったプレイヤーが、宇宙野菜を育て、全宇宙野菜コンクールでの優勝を目指すという育成シミュレーションゲームだ。

当時、農業をテーマにしたシミュレーションゲーム自体が珍しかったが、『アストロノーカ』は、多様なパラメータを持つ野菜同士の交配や、ゲーム内の仮想ネットワーク「アストロネット」や、害獣バブーとのトラップバトルなど、斬新なシステムが盛り込まれた前衛的な内容だった。


▲登場する野菜は全部で36種類。野菜には大きさや重さといったパラメータが設定されており、種を交配させることで、こうしたパラメータを受け継いだ、より品質の高い野菜が生産できるようになる。


▲アストロネットには、コンクールの情報といった世界観をフォローする情報や、交配のヒントなど、プレイの助けになる情報が届く。

なかでも、注目を集めたのが、野菜を食べにくる害獣バブーと、それを撃退するためのトラップバトルだ。トラップにより、バブーのやる気を削いだり、時間が経過することで、バブーが諦めて帰っていくというシステムになっている。


▲トラップを配置できる範囲は限られていたり、電力が必要となるため、配置できる数は限られている。

ここで重要となるのが、バブーはトラップに引っかかることで、学習及び成長をしていくという点だ。落とし穴にかかれば、脚力が強くなりジャンプによって飛び越えられるようになる。ジャンプ台で飛ばされれば、重さが増して跳ねにくくなる。

しかも、トラップは突破するだけではなく、アゴの力が強くなれば破壊したり、一度引っかかったトラップを嫌い、迂回して回避するようになるなど、多様な反応を見せる。


▲進化していくバブーに対し、有効なトラップを探りながら、新たなコンボを考案するなど、果てない戦いに熱くなったプレイヤーも多いはず。

プレイ状況によって、無限の種類が生まれてくるため、なかなか全貌が明らかにならなかったバブーたちだが、今回のイベントの2部では、バブーに仕込まれたAI、"GA(遺伝的アルゴリスム)"にまつわる話が繰り広げられた。


▲第2部からは、スクウェア・エニックスのAIリサーチャーである三宅陽一郎氏も登壇した。

バブーの進化は、詳細なパラメータを設定していたわけではなく、初期ステータスだけを用意し、そこからは遺伝的アルゴリズムを基にした、世代交代による進化を繰り返しているということが、本イベントで初めて明らかにされた。


▲GAによって進化を繰り返すバブーには、無限の種類が生まれる。これは、当時だけでなく現在においても珍しい仕様だ。


▲進化を繰り返していくバブーとのバトルを思いついた要因として、森川氏は夢の島のハエ問題が参考になったと語っている。

このGAというものは、生物の進化の仕組みを再現するAIであり、適者生存の原則に則りながら、交配と遺伝による進化や退化を繰り返していく過程で、突然変異を発生させることもできる。


▲GAの仕組みを、わかりやすくまとめた図とともに、森川氏と三宅氏が解説した。


▲自然界の進化の仕組みと、GAの仕組みを比較した図。『アストロノーカ』でも、バブーの集団のなかで交配が繰り返されていたわけだが、これまでその詳細は明かされてこなかった。

実際にゲームをプレイしているなかでは、バブーの集団がいるというデータや数値は見えず、畑にやってくるバブーの情報だけが見える。ある日突然に、これまでと種類の違うバブーがやってきても、それが遺伝や突然変異によるものという想像もつかないプレイヤーも多かったことだろう。

当時も、このAIの凄さに気付く人は、プレイヤーだけでなくゲーム開発者たちの間でも少なかったようで、その点をなかなか評価されず悔しい想いをしたと、森川氏は当時の胸中についても語っていた。そんななか、このAIに注目し森川氏を高く評価していたのが、三宅氏だったそうだ。


▲バブーの進化の仕組みの詳細は、秘匿されているからこそ面白さに繋がっている。この作品のトラップバトルの面白さは、相手が正体不明であり、相手の可能性が未知数だからこそ実現できているものなのだ。


▲0と1で構成される、バブーの遺伝子マップも公開された。

撃退されることで進化を続けていくバブーだが、彼らへの対策として、登壇者一同はあえてトラップにかけないという手法も紹介した。あえてトラップをしかけず、野菜を食べさせることで、バブーは大きく弱体化する。

この攻略法自体は、当時からプレイヤーのなかでも使われた手法ではあるが、この手法について森川氏は、たまには野菜を食べさせてあげるという行為は、バブーとの共生であり、この共生も『アストロノーカ』のテーマのひとつであると語った。まさに自然と共に生きる農家らしさが、この攻略法には込められていたのだ。


▲トラップバトルの内容が及ぼす、バブーへの影響を表にしたもの。ゲーム中ではもっと複雑な計算が行われている。この表でいうと、大きくプラス評価を得たバブーは弱体されるということ。

バブーの生態について、森川氏が作った当時の開発資料も公開されたが、それはゲームの開発資料というより、もはや数学や生物学のノートといった内容。開発陣ですら、何を書き記したものなのか、わからなくなってしまったものもあるようだった。



▲野菜の交配パターン製作のために使われたであろう、メンデルの法則らしき表も見える。

初期集団のパラメーターや、遺伝子座といった表も公開されたが、最早内容を正確に把握しきるのは難しいほどの、非常に複雑な内容だった。これらをみながら、三宅氏は改めて、『アストロノーカ』のAI技術の高さに驚いていた。



▲内容は理解できなくても、これだけの複雑な内容を用意していたことからも、このAIに森川氏がどれだけの熱量を持っていたのかがうかがえる。

当時、『アストロノーカ』のAIは、ゲーム業界ではあまり注目されていなかったことは前述したが、その一方で人工知能の専門家たちからは高い評価を得ていた。まだまだゲームというものに対する偏見もあった時代に、人工知能関連の論文のなかで『アストロノーカ』が取り上げられていた。



▲森川氏と三宅氏は、人工知能関連の書籍も多数執筆している。

このことからもわかる通り、『アストロノーカ』に搭載されたGAは、当時のAI業界において最高峰の技術だった。そして、これだけのAIがゲームシステムと完全に融和しているのは、今も『アストロノーカ』だけであると三宅氏は熱く主張している。



この後の第3部ではさらに、『アストロノーカ』開発に携わった宮本茂則氏、白佐木和馬氏、野間口修二氏、坂本和也氏、神保直明氏も加え、開発の裏話について語っていった。


▲写真左から、齊藤陽介氏、成沢理恵氏、坂本和也氏。


▲写真左から、野間口修二氏、神保直明氏、白佐木和馬氏。



▲写真左から、宮本茂則氏、森川幸人氏、三宅陽一郎氏。

第3部では、実際に使用していた資料をまとめたスライドだけでなく、もう2度と見られないであろう現物もいくつか登場し、その度に来場者たちから歓声があがった。


 

デザイン案といった資料だけでなく、齊藤氏が作成した企画書も取り上げられた。中には、「農家の友」と題した、回覧板のような企画案も書かれており、この宇宙なのに小規模というイメージは、ゲーム内のアストロネットにも引き継がれていく。

 
▲この頃から、バブーという害獣が登場することは考えられていた。企画された当時から『アストロノーカ』において、バブーは中核を成す重要な要素だった。

宇宙野菜やバブーのデザイン案が公開されたときには、多くの来場者がカメラやスマホを手に、写真撮影を始めた。このかわいらしくも奇妙なデザインも、『アストロノーカ』の魅力のひとつだ。



▲SF感のある野菜のデザインに苦労した白佐木氏。普通の野菜の2割は残したいという思いがぬぐい切れなかったと語っており、その様子はデザイン画からも伝わってくる。


▲バブーのデザイン案。害獣とは言いつつも凶悪さはなく、可愛らしいものばかり。実際にゲームをプレイしていて、野菜をかじられたところで、どこか憎めない。なんとも不思議な存在だった。

主人公や、ヘルパーロボットのピートのデザイン用のラフでは、ゲーム中に登場していない、主人公の素顔も描かれていたが、これがゲーム中に出てたら売れなかったかもしれないという結論に達し、会場中が笑いに包まれた。




この後も、ゲーム画面の構成案や、当時『アストロノーカ』を紹介したメディアの記事など、様々な資料を振り返っていった第3部も終了し、本イベントは実に2時間もの間『アストロノーカ』の話題が繰り広げられていた。それでも、本作のファンにとってはあっという間の時間だったに違いない。来場者にとっては忘れられない思い出となっただろう。



何よりも、第2部で明かされたGAの秘密には誰もが驚いたはずだ。これ程までに高度な技術が使われていることが、知られていないにも関わらず、20年もの間愛され続けてきた『アストロノーカ』。人を夢中にさせるものの裏には、多くの技術や工夫が盛り込まれているのだと痛感する内容だった。

最後に、イベントを締めくくるにあたり、登壇者の面々は是非とも『アストロノーカ』シリーズを続けていきたいと、後継作の制作に対して意欲的であることを示した。期待の声をあげ続ければ、現代の技術を吸収し、さらなる進化を遂げた『アストロノーカ』に出会える日がやってくるかもしれない。

 
(取材・文 ライター:宮居春馬)



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