【インタビュー】アカツキの裏側を大解剖! 同社の発明を支える基盤組織「Think@」と「CAPS」とは?


各メーカーとタッグを組み、有名IPタイトルのスマートフォンゲーム化を成功させているアカツキ<3932>。アカツキが手がけるタイトルの、ヒットの要因は何か……?
 
そんなアカツキの秘密を探るべく、Social Game Infoでは社内の方々に実施したインタビューや対談を連載形式でお届けしていく。今回は、主に業務推進を行う部署「Think@(シンカ)」のリーダーである小崎卓也氏と、品質管理などを行う部署「CAPS(キャップス)」のリーダーである安納達弥氏を招き、同社特有の組織体制ついて語っていただいた。なお、今回は、アカツキのゲーム事業を統括する戸塚佑貴氏にファシリテーションを務めていただいた。アカツキでは、ゲーム開発において重要となる検証やリスクマネージメントをどのように行っていくのか、その真髄に触れていきたい。
 

▼【聞き手】アカツキ 執行役員 ゲーム事業本部 事業本部長の戸塚佑貴氏(写真左)
執行役員 ゲーム事業 事業本部長。上智大学 理工学部卒業後、大手IT企業に新卒で入社し、2012年にアカツキへ参画。責任者として複数のゲームプロジェクトの立ち上げを担当。2017年より、ゲーム事業全体を統括。
▼【ゲスト】Think@(シンカ)リーダーの小崎卓也氏(写真中央)
▼【ゲスト】CAPS(キャップス)リーダーの安納達弥氏(写真右)

 

■クリエイティビティを促進させる「Think@」と「CAPS」の存在

 
戸塚佑貴氏(以下、戸塚):スマホゲームビジネスは、今や1タイトルを開発するのに5億~10億を超えるものも出てくるほど規模が膨れ上がりました。運営チームは100人規模になる場合もあり、お客様の人数も数十万人を超えるビジネスです。そういった状況では、企業として果たさなければならない責任も増えますし、規模の拡張により複雑性も増してきます。
 
事業としての難易度が上がる中で、プロデューサーやプロジェクトリーダーに全責任を負わせるのは酷なこと。その対策として、各プロジェクトが一層「クリエイティビティに注力できるように支援」する機関として立ち上げられたのが「Think@」と「CAPS」です。
 
本日は「Think@」と「CAPS」のリーダーを迎え、アカツキを支える基盤組織について話していきたいと思います。まずは、二人の自己紹介をお願いします。
 
小崎卓也氏(以下、小崎):「Think@」という「プロジェクト横断的に、業務推進を行うチーム」のリーダーをしております。私自身は、前職はコンサル会社で業務改善をしていて、その後、アカツキにジョインしました。
 
安納達弥氏(以下、安納):「CAPS」という「動作検証・カスタマーサポートチーム」のリーダーをしております。僕は元々エンジニアで、ほぼ創業時からアカツキと関わりがあります。ちょうどブラウザゲームからネイティブアプリにシフトしていく中で製品の品質を担保していくチームを結成するという話が出て、そこから「CAPS」のリーダーを担当することになりました。
 
戸塚:まず、「Think@」の仕事から聞いていきたいと思います。小崎さん、「Think@」について説明してもらえますか?
 
小崎:「Think@」とは「プロジェクト横断的に、業務推進を行うチーム」です。各プロジェクトが抱える課題を解決する、例えば、大きな不具合の対応や、法的リスクのチェック、業務フロー改善など、プロジェクト進行上の「問題解決」サポートに特化した横串チームです。
 
加えて、事業部全体の「基準」作成をしています。例えば、問題が起きた時にどのように情報共有するのか、だれがオーナーとなって推進するのかといった点などが記されたガイドラインや基準を作成します。固い「ルールづくり」というよりも、「コミュニケーションの道づくりをする」イメージで仕事をしています。
 
戸塚:「Think@」というチームを作るとき、ミッションやネーミングは時間をかけて考えましたよね?
 
小崎「作り手が好きなことに集中できる」を最重要のミッションとして、先ほど紹介したようなサポートをしています。「Think@」は、読み通りアカツキのゲーム事業にシンカをもたらすチームとして命名しました。その「シン」には「深」「進」「新」「伸」という4つの意味が込められているのですが、作り手が好きなことに集中できるために、4つの軸で支援しますという想いを込めて部署名が付けられています。
 

戸塚:「Think@」には、この1年で加速度的に制度や仕組みを整えてもらいました。以前は、複数のプロジェクトで似たようなミスが発生したのですが、「Think@」がハブとなりプロジェクト間で知見を共有できるようになったおかげで、社全体として同じようなミスや事故が減少しています。「Think@」が複数のプロジェクトの集合知として機能することで、全てのプロジェクトに情報が反映されるようになったことは大きな成果だと思います。
 
ともすれば、リスク対策はクリエイティビティや創造性の発揮とぶつかってしまうこともありますが、アカツキの「Think@」は柔軟性やメンバーとの信頼関係を構築してますよね。リスクにもきちんと対策しながら、各プロジェクトの創造性や主体性も尊重されているというバランスが素晴らしい。
 
各プロジェクトのメンバーがクリエイティブに専念してもらうために、「Think@」では具体的にどんな工夫をしていますか?
 
小崎:過去、プロデューサー陣は、起こしてしまった不具合への対応やお客様の対応に、日々多大な時間を割いているという背景がありました。その背景から、インシデント対応には力を入れています。
 
トラブルが発生した際は、経験者だと上手く解決しやすいということもあり、プロジェクトリーダーが判断に迷った際には、経験を積極的に提供して一緒に問題を解決しています。また「Think@」が事業部のハブとなって法務や検証カスタマーサポート、エンジニア、デザイナーやディレクターといった色々な職を巻き込み、質の高い解決を行っています。インシデントは、対応次第では足が長くなり、マインドシェアもとられがちなため、この類は優先して支援しています。
 
また、あるプロジェクトでは不具合の推移を分析して、問題が発生しそうな場合の仮説提案もしています。チーム横断的な経験と第三者的なチームだからできる品質評価を行い、プロジェクトにフィードバックしています。
 
戸塚:安納さん、「CAPS」はどんなチームか説明してもらえますか?
 
安納:「CAPS」では、顧客とアカツキの製品の満足度を追求するために、製品の品質の担保とお客様のサポート業務を主に担っています。我々が提供する製品は、すべてが想定通りに不具合なく、正しく動かなくてはいけません。各製品が世に出る上で正しく動作するかどうかという「①.動作検証」と、楽しんでもらえるようなものになっているか?という「②.バランスチェック」、そしてリリース後にお客様が困った時の「③.カスタマーサポート」の役割を担っています。単純な工程の一部としてではなく、お客様に一番近い存在として「CAPS」という機関からも、お客様に感動体験を届けるということを大切にしています。
 

安納:アカツキでは、2013年に『サウザンドメモリーズ(千メモ)』というオリジナルタイトルがリリースされ、大きなヒットとなりました。ですが、その当時は検証やカスタマーサポートの専任担当がおらず、ディレクターやプランナーが業務を兼任する形で全てに対応しておりました。
 
そんな中、主戦場がブラウザゲームからネイティブアプリに移行するタイミングで、検証という専門性がより必要になってくると感じました。部門としていずれ100人を超える規模の検証組織を持ち、安心で安全な製品をお客様に提供しなくてはいけない。そこで、私がトップに立ち、文化形成をして積み上げていこうという話が持ち上がったのが「CAPS」設立のきっかけです。
 
熱心に遊んでいただけるお客様からのご意見は、本当に貴重なものです。熱意を持って接していただけるお客様を失ってしまうと、会社にとって大きな損失にもなりますので、こちらも当時からしっかりと魂を込めてお客様対応を行ってきました。「CAPS」は、その精神性が受け継がれるチームになっていると思います。
 
戸塚:プロジェクトチームにクリエイティビティを発揮してもらうため、検証部門である「CAPS」を独立させましたが、はっきりと分けすぎることで対立構造にならないように凄く気を付けていますよね?
 
安納:役割として分かれている部分はあるものの、「CAPS」からも動作チェックを行う人が完全にプロジェクトの中に入り込んでいるので現場のクリエイターたちと一体感を持てています。こうした協力体制やコミュニケーションがしっかり取れているのは弊社の特色だと思います。プレイヤーの声に最も共感し、一番近い存在として、企画者や実装者とフェアに話し合いをしモノづくりを行なっています。
 
戸塚:安納さんはエンジニアだった経験もあり、開発の方たちの気持ちも分かるという点は大きいですね。
 
安納:業務を進めるうえでは、ディレクターやプランナーの気持ちを汲み取り、一緒に考えるというスタンスで進めています。エンジニアリングの知識をプラスすることで、創造性も働きやすくなっているのだと思います。
 
戸塚:検証の業務が膨大化してしまい、検証が終わらないから仕様を減らす、リリースを伸ばすというということもありえますが、そういった際に、エンジニアリングの知見が役立つことはありますか?
 
安納:はい。現在「CAPS」では、エンジニアを配属して検証のオペレーション自体の効率化を測るシステムを開発するという試みをしています。こうしたエンジニアリングで業務改善を目標にするチームを立ち上げました。例えば、何かを比較するような検証は人間の目よりコンピュータの方が遙かに速くて正確です。今まで人力で解決してきた部分をより少ない人数で効率良く、精度も高められるよう改善しています。エンジニアの経験があるので、効率化しやすそうなところの勘は働く気がします。
 
戸塚:逆に、これからも人の力が必要になってくるのはどのような部分でしょうか?
 
安納:ゲームは複雑なので、ゲーム内部の複雑な挙動に基づいたチェックは、現状では完全な自動化が難しいと感じています。例えば、キャラクターの動きやスキル発動時に想定しているエフェクトや値が正しく機能しているかは、現状では状況に応じて人の目でチェックする必要があります。お知らせに代表される、文言、表記については人が「どう感じるか」という読み手の感情、「ホスピタリティ」が必要な箇所であり、人がチェックする必要があると思っています。この辺りは、知見を溜めて数年後にさらに効率化をしたいですね。まだまだ効率化や自動化に対して伸びしろがある領域ですので、エンジニアリングで品質を上げるというのチャレンジは続けたいです。
 

■人材育成システムとしてもゲーム事業をドライブする「CAPS」

 
戸塚:「CAPS」ではゲーム事業部の育成支援も行っていますよね。
 
安納:そうですね。「CAPS」では新卒も中途も採用しており、将来はゲームプランナーやディレクターになりたいというような方々が多数入社されます。しかし、未経験でゲームを作る過程を理解していない状態で企画やディレクション、プロデュースというのは非常に難しいので、まずはお客様と最も距離が近い動作検証やカスタマーサポートを担当している「CAPS」を登竜門として機能させています。ゲーム運営において最終の行程である検証やカスタマーサポートを経験することでゲーム開発の過程や運営の全体を理解してもらい、その後エンターテインメントのプロとして色々なゲーム運営や開発で活躍していただきたいという想いがあります。
 
戸塚:そもそもアカツキにはアットホームで人を大事にする社風があるのですが、「CAPS」というチームはその中でも特に人材やお客様を大切にしている部門だと感じます。そんな安納さんが人材を大切にするうえで意識されているポイントはありますか。
 

安納:「会社で何をやりたいのか」、「どういうふうになっていきたいのか」という想いをしっかりと持った人たちにチャンスを与えられるようになると良いと思っています。もちろん、スキルや知識を持っていることは大切なことですが、より一層熱い想いを持っている人が大切だと考え、採用でも想いを大切にして、選考を行っています。
 
戸塚:「CAPS」には、独自の行動指針として「CSのこころ(※)」というものが設けられていますよね。これはどのように生まれたのですか。
 
※「CSのこころ」
カスタマーサポート(CS)において大切にしたい価値観を1冊の行動指針にまとめたもの。「ユーザー様の思いに応え、ユーザー様の声を社内に届ける」「プロダクトに込められた思いを、ユーザー様にきちんと届ける」「開発チームとユーザーの皆様との架け橋になる」を叶えるため、①先読み力、②内容、表現の正確さ、③誠実な姿勢、④効率的調査と緊急対応の迅速さ、を行動指針として掲げている。
 
安納:チームができてから、「チームの想いを言葉にする」という点は一貫して行っています。最初の頃にカスタマーサポートチームの向かうべき方向性、目指すところを言語化するものとして「CSのこころ」というものを作りました。日常業務とスケジュールに追われる日々が続くと、時にネガティブな考えを持ったりと大切なものを忘れがちです。特に、カスタマーサポートはお客様と直接触れ合う仕事ですので、チームの大切にしていることを常に忘れないようにするために言語化しました。今は「CSのこころ」の内容も少し変わり、更に「CAPS2030」というチームの2030年に向けての指針を策定してチームが一眼となって未来に進んでいけるような取り組みをし始めています。

最初の頃は「CSのこころ」と言っても、浸透度や理解度は低かったと想いますが、伝え続けることで想いは浸透していきます。最近ではその成果も感じられていますので、やはり伝え続けるということが重要ですね。
 
戸塚:「CSのこころ」を安納さんが初めて口にしたのは2014年頃でした。そこからずっとチームのメンバーに伝え続けて、今や3~4年継ぎ足し続けた秘伝のタレのような空気感で、非常に居心地が良いです。そんな空気感の「CAPS」だからこそ、繊細なバランス感覚を持った人材が育つのだと思います。「CAPS」に向いているのはどんな人材だとお考えですか?
 
安納:実際、前職はゲーム業界と異なる職種の方もたくさんいらっしゃいますし、業界未経験の方もたくさんいらっしゃいます。スキルや経験は大切なものですが、それよりも大切なのは熱い想いと夢や目標を持って困難も一緒に乗り越えられ、一緒にやり切れる人ではないかなと感じています。
 

小崎:アルバイトから正社員になったという人も多くいますよね。
 
安納:2012年頃にアルバイトとして入社された方は現在、プロデューサーとして活躍していますし、未経験の方が「CAPS」イズムを継承して、正社員になったりリーダーになったりしてチームを引っ張っていくという循環ができているのだと思います。
 

■ゲーム事業部内の橋渡し役でもある「Think@」

 
戸塚:「Think@」の方はどんなメンバー構成でしょうか?
 
小崎:「Think@」は少数精鋭で、今はコンサル出身者を中心に動いています。今後増やしていきたいとは考えていますが、少数精鋭という部分は変わらないかなと。
 
戸塚:「Think@」に所属するうえでは、どのような考えがポイントになるのでしょうか。
 
小崎:潜在的な課題を課題と認識し、解決に導いていけることですね。それを自立して推進できることはとても重要なポイントとなってきます。あとは、「CAPS」同様に想いの強い方が良いですね。「作り手を支える」「開発者を裏で支援しているけれど、自分の想いものせたい」という仕事のスタンスがある方は合うと思います。
 
あと大事なのでは、「守り」のリスクマネージメントが「攻め」のゲームの面白さを極力削がないかという観点を常に持って、どうすれば課題を解決できるかを一緒に考えられることだと思っています。課題を解決するための答えを出すだけなら簡単ですが、ゲームの肝となる部分を曲げてしまうような答えでは作り手が浮かばれません。お互いの最善策を導き出せるよう一緒に話していくことが大事です。
 
戸塚:今の話から、単に課題解決のみを目的にしているわけではないということが強く伝わりました。「Think@」は組織間の橋渡しの役割も担ってくれていますね。
 
小崎:はい、橋渡しは「Think@」として大切な仕事のひとつだと考えています。組織間の情報共有や柔軟な支援体制はアカツキのゲーム事業部の強みと思っています。会社が大きくなると縦割りの力が働きやすいですが、そうならないように、今後も組織間をつなげる役割をしていきたいです。

 
 
安納:開発者としては、問題を見つけて発信したときに「Think@」が拾ってくれるという安心感もあるので、より伝えやすくなっているのだと思います。
 
戸塚:そういった柔軟性は、アカツキとしての特性でもありますよね。
 
小崎:「CAPS」なら検証、「Think@」はリスクマネージメントと、それぞれ担っている役割はありますが、枠を作ってしまうと縦割りの会社になってしまいます。ですが、弊社では全員一緒に良い物を作るという想いを持っているからこそ、そうした柔軟性が持てるのではないでしょうか。自分の領域はあるものの同じ想いを持ってそれぞれが重なり合った結果、成果を出せているという点がアカツキらしいところかなと思います。
 

■成長とともに複雑化する業務の中で見据える今後の課題とは

 
戸塚:冒頭に、スマホゲームの開発も規模が拡大しているという話をしましたが、企業としても規模が大きくなるにつれ経営陣や執行役員、部長(GM) といったいわゆる上の立場の方々が現場をすべてコントロールするのには限界があると思います。
 
むしろ、「Think@」や「CAPS」をはじめ、様々な部署のリーダーが大枠の戦略や企業文化、人の特性を全て理解して主体的に進めていく方が成果は出るのかなと。アカツキは、創業時からその信念を持っていたのですが、ここ最近は特に多くのメンバーが文化に適応しつつ、各々の個性や専門性を自分らしく発揮しはじめ、価値につながっていると感じます。
 
小崎:会社が大きくなるほど効率化が求められるので、自分の組織の役割を果たすことに意識が向きすぎないよう注意しなければいけませんね。弊社も今後ラインが増えた場合、必然的に会社に属しているという意識が薄れてしまう可能性はありますので、そこをどう解決していくかはひとつの課題になるでしょう。
 
安納:組織の拡大に伴い人材育成もしなければなりませんし、組織が大きくなっても大切な部分や良いところは残すことが大事です。
 
小崎:人材育成の面では「CAPS」の真似をしたいと思うところがあります。最初は数人規模から始まった「CAPS」ですが、今は100人を超える規模になりました。それでも、安納さんがそれぞれのメンバーとコミュニケーションを取っているという点は見習うべきところだなと。「検証」という仕事とではなく、「人」と相対しているチームだと感じました。
 
安納:その点に関しては、やはり全員から話を聞きたいという想いはあります。ただ、自分が取れる時間も限られていますので、これ以上組織が大きくなることを考えると、自分が全てを見られなくなった時に一緒にチームを作っていく仲間、フォローしてもらえるような仕組みや体制を作っていくことを考えなければいけません。それがなければ、「CAPS」としてのチームの考え方も浸透しなくなってしまうんです。一緒にチームを作っていけるメンバーがいれば組織が大きくなっても大切なものを継承していけますし、想いを伝えていくこともできると思っています。
 

戸塚:リーダーたちが協力し合って対応し、全員が知恵をこらして考えていく組織の世界観がベストですよね。しかし、これは一筋縄ではいかないと思います。僕は、権限を委譲する時にはプロジェクトリーダーに「ここを自分の会社だと思ってください」と伝えるようにしています。どうやって全体的にサポートしていき、協力し続けられる組織にするかは今後のポイントだと思っています。
 
安納:「CAPS」では、検証の際にゲームの面白さを客観的に考察してディレクターにフィードバックする仕組みの作成や、ゲーム好きなプランナーを輩出するなど、業務の難易度は上がっています。
 
小崎:「Think@」も今、ゲーム部門のCFO的な能力を持つ人材が欲しいと伝えられています。新しいゲームビジネスを始める際には協業先と契約をしてWin-Winの関係になるようにしなければいけません。なので、プロジェクトファイナンスや互いが全力を出し合えるような契約関係を適切に結ぶ必要があります。
 
戸塚:安納さんも小崎さんも、次のフェーズが見えているからこそチーム全体の能力アップが求められていますよね。
 
ちなみに、アカツキでは「2030年までに多くの人の心を動かす偉大な企業のトップ4に入りたい」という目標を掲げているのですが、最後におふたりから2030年までの目標に対する想いを話していただけますか。
 
小崎:時代によってリスクは形を変えています。ですので、仕組みを作ったら終わりではなく、今のゲームビジネスが大きく変わっても、対応できるような人材を育てていきたいです。

また、これは部署というより個人の観点ですが、今よりももっとアカツキの社会ビジョンが広がっている世界にしたいです。具体的には、2030年には”アカツキ”という言葉が新た概念の一般名詞として浸透するような世の中です。今の組織の枠以上にできることを探して、そのような世の中を実現していきたいです。
 
安納:僕は、会社が目指す方向に自分たちもきちんと向かっていきたいと考えています。偉大な目標を追うために大切なのは「人」です。会社の目標に向けて一緒に走って行ける人材を「CAPS」で採用して育てていきたいですし、ともに新しい2030年の世界が見られるといいですね。
 
アカツキの作り出すものに触るお客様に、しっかりとアカツキの想いを感じ取ってもらい、感動体験を得てもらえる良いものを作ることが大切です。世の中の人たちに想いを感じ取ってもらえるものを担保していくというのが僕らの役割なので、責任を持って担保していけるようになりたいです。
 
戸塚:「Think@」や「CAPS」といった基盤組織の力で、アカツキのゲーム事業部をより力強くドライブしていきたいです。そして、時代を超えて愛される、心動かすプロダクトを次々と提供する企業として、エンターテインメント産業の中で存在感を示したいと考えています。本日はありがとうございました。
 
 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
(編集協力 ライター:谷山義人)
 

企業サイト

採用ページ

株式会社アカツキ
http://aktsk.jp/

会社情報

会社名
株式会社アカツキ
設立
2010年6月
代表者
代表取締役CEO 香田 哲朗
決算期
3月
直近業績
売上高243億3600万円、営業利益57億円、経常利益52億700万円、最終利益13億4200万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3932
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