エキサイトが上方修正 手堅い戦略は高く評価できるかと

 エキサイトは、9日、今3月通期の連結業績予想を上方修正し、売上高103億8000万円(前回予想103億5000万円)、経常利益1億3100万円(同6400万円)、当期純利益1億円(同2000万円)とした。  上方修正の要因について、同社では、売り上げがおおむね計画通りに推移する一方、費用の抑制が可能になったため、としている。また特別利益として計上される固定資産売却益が予想を上回った見通しになったという。  同社は、今期より、オンラインゲームの運営や音楽レーベル事業から事実上撤退する一方、翻訳サイトや手芸サイト、レシピサイト等のコンテンツに広告や課金を導入するほか、エキサイトブログにも広告を表示させる等、事業の選択と集中を行っていた。 【短評】  エキサイトは、ポータルサイト「エキサイト」を一種の集客媒体・広告媒体と位置づけ、ポータルサイトの会員ユーザーにオンラインゲームや出会い系、接続サービス、FX、消費者金融等、様々なサービスを提供することで収益を拡大させていこうという戦略であったと思われます。ぼくは、かつてのライブドアの戦略に似ていると感じました。が、この戦略は、あまりうまくはいきませんでした。

 エキサイトが上場したのは2004年11月。調達した資金を活用し、新規事業への進出やM&Aを積極的に行い、2006年3月期には経常利益7億3700万円、当期純利益9億9600万円を計上しました。しかしながら、新興市場バブルの崩壊や投資先企業の不振に伴い、投資有価証券の評価損の計上を余儀なくされただけでなく、本業であるポータルの広告単価が低下し、2008年3月期には赤字転落、翌期には20億円を超える当期純損失を計上しました。  こうした状況を受け、2010年3月期より、これまでの拡大戦略を修正し、事業の選択と集中を進めてきました。オンラインゲームについては、当初は自社運営に集中する方針でありましたが、サービス開始間もない「スペルボーン」の運営を中止したほか、「フリフオンライン」の運営権をガーラ社に譲渡しました。  エキサイトは、競合他社に比べて優位性を持つコンテンツあるいは収益性の高いコンテンツにリソースを集中し、収益を稼ぐという手堅い戦略を採用しているかに見えます。僕は、この考え方は基本的に正しいと思います。株式市場での注目度は高くはありませんが、今後の同社の事業展開は注目する価値がありそうです。  また、株価はかなり割安な印象も持っています。有利子負債ゼロ、現預金29億円という堅い財務体質に対して、時価総額は20億円弱(2010年8月16日現在)となっております。親子上場であるうえ、板が薄くて売買困難な銘柄ですが、3万1000円台前半なら買ってもいいいかなと感じておりますが。。。